発達障害のグレーゾーンの方は障害者手帳をもらえない?取得の方法や支援を受けるコツを詳しく解説

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特性が見られるものの、発達障害*と確定診断されない状態の「グレーゾーン」に該当する方のなかには、障害者手帳をもらえないか悩んでいる方も多いと思います。グレーゾーンでも困難を抱えていることには違いないので、可能なら障害者手帳を取得して支援を受けたいですよね。

そこで本記事では、グレーゾーンの方が障害者手帳の取得に向けてできる対策や取得の手順と注意点、さらに障害者手帳がなくても受けられる支援について詳しく解説します。

発達障害のグレーゾーンの方は障害者手帳をもらえる?

「グレーゾーン」とは、発達障害の症状や特性がいくつか認められるものの、診断基準をすべて満たすわけではないために、発達障害という確定診断が出ていない状態のことです。例えば、ADHD(注意欠如多動症)の傾向がある場合、医師からは「診断基準は満たしていませんが、ADHDの傾向が認められます」といったように伝えられることもあります。

ただ、診断基準を満たしていないからといって、症状が軽いことを表すわけではないことも事実です。

グレーゾーンは正式な診断ではなく、障害者手帳申請の条件を満たしていないため、障害者手帳を取得することはできません。障害者手帳には身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の3種類がありますが、いずれも取得には医師による診断書が必要です。


グレーゾーンの方が障害者手帳を取得する方法

発達障害のグレーゾーンに該当する方が障害者手帳を取得するには、発達障害の確定診断を受けて診断書を発行してもらう必要があります。

発達障害の診断基準には明確な数値的指標がなく、DSM(精神疾患の診断・統計マニュアル/最新版はDSM-5-TR)という診断基準に基づいた問診が中心になっているため、診察時のやりとりだけでは特性や困りごとを伝えきれず、診断がつかないケースも考えられます。

そのため、診察の結果に納得できない場合は、1回の診察で終わりにせず、別の医師に相談するセカンドオピニオンも検討してみましょう。また、診察前に日常生活での困りごとやエピソードをメモしておき、医師に正確に伝えられる準備をしておくことも大切です。

発達障害の方が取得できる障害者手帳

発達障害は2000年以降に診断が増えてきた「第4の障害」です。
このため、発達障害者への障害者手帳はすでにある3障害(身体・知的・精神)の支援制度に後から組み込まれる形になりました。つまり発達障害”専用”の障害者手帳はありません。

ただし、知的に遅れがない場合は「精神障害者保健福祉手帳」を、知的に遅れのある発達障害の人は「療育手帳」を取得できます。

以下で精神障害者保健福祉手帳と療育手帳の概要や、取得の条件などを詳しく見ていきましょう。

精神障害者保健福祉手帳

精神障害者保健福祉手帳は、一定程度の精神障害の状態にあることを認定する手帳です。発達障害などの精神疾患により、日常生活や社会生活における制約がある方が取得の対象となります。等級は1級から3級まであり、等級に応じて税金の控除や医療費の軽減、公共交通機関の割引など、生活の負担を軽減するさまざまなサービスを受けられます。

申請には、医師が作成した診断書が必要です。また、手帳の有効期限は2年間で、更新時には再度診断書の提出が必要となります。

療育手帳

発達障害のある方で知的障害も合わせてある場合は、「療育手帳」を取得するのが一般的です。知的障害と言うのは自治体によって定義が異なりますがおおむねIQが70以下とお考え下さい。

療育手帳は障害の重さによって等級が分かれています。
例えば東京都の「愛の手帳」は1度が「最重度」、2度が「重度」、3度が「中度」、4度が「軽度」となっています。

「療育手帳」は障害福祉課などの市区町村の窓口か、もしくは直接都道府県の障害者福祉センターなど(18歳未満は児童相談所)でIQテストや面接をして判定を受けます。
判定には、幼いころの様子をよく知る家族の同行や、幼いころの様子がわかる学校の通知表などの資料の提出が求められることがあります。

判定から1~2ヶ月で結果が届き、手帳が交付されます。手帳の更新があるかどうかや更新のタイミングは自治体によって大きく異なります。

精神障害者保健福祉手帳の取得の流れ

「精神障害者保健福祉手帳」は3つの等級に分けられていて、障害が最も重い場合は「1級」、中程度だと「2級」、最も軽い場合は「3級」と認定されます。
ちなみにKaienの登録者では3級と2級の割合がおよそ 3:1 です。1級の人は少数です。

取得の流れ

精神科受診

初診から6ヶ月経過後に手帳申請ができます。申請を希望する場合は事前に主治医に相談しておくとスムーズに手続きできます。

診断書作成

市区町村の窓口(障害福祉課など)で申請書と指定の診断書書式を受け取り、主治医に診断書作成を依頼します。

申請

申請書に必要事項を記入し、診断書・証明写真・官製はがきを添えて市区町村の窓口に提出します。

審査

通常2~3ヶ月で審査結果が通知されます。

交付

交付されたら市区町村の窓口で手帳を受け取ります。

発達障害を事由とした「精神障害者保健福祉手帳」の申請は、首都圏の各都県では概ねスムーズに認定・交付されています。(当社調べ)
申請したが取得できなかったという事例は過去数千人の支援をしていて数例というのが実際です。

一方で、これまでうつ病や統合失調症などの事由での申請が多かったために、発達障害を理由とした申請がスムーズに進みづらい自治体が残っている可能性もあります。
お住まいの地域でこれまで発達障害の人の手帳判定でどんな傾向があったか主治医や支援機関に前もって確認することをお勧めします。

精神障害者保健福祉手帳を取得する際の注意点

精神障害者保健福祉手帳の取得で覚えておきたいのは、前述の通り2年ごとに更新があることです。更新の際に申請書や診断書を提出して、現在の障害の様子を改めて確認してもらい、再判定を受けることになります。そのため、障害状況の変化に応じて手帳の等級が変更される可能性がある点に注意が必要です。

精神障害は状況が良くなったり悪くなったりと変化することが少なくありません。元々この手帳は精神障害のある方向けにつくられているので、2年に一度の確認が必要とされるわけです。

発達障害は先天的で、根本的に治癒するものではありませんが、精神障害者保健福祉手帳の

認定の仕組み上、2年ごとの更新と状況の確認は必須になります。

療育手帳の取得の流れ

療育手帳の取得の流れは以下の通りです。

取得の流れ

申請

市区町村の窓口(障害福祉課など)または都道府県の障害福祉センターなど(18歳未満は児童相談所)で申請・判定予約を行います。

判定

都道府県の障害福祉センターなど(18歳未満は児童相談所)でIQテストや問診・面接を行います(2~3時間程度)。

審査

通常1~2ヶ月で判定結果が通知されます。

交付

市区町村の窓口または郵送で手帳を受け取ります。

療育手帳を取得する際の注意点

療育手帳の取得時に注意したいのが、地域によって認定基準に差があるということです。療育手帳の認定区分は、障害の程度や特性に応じて「A(重度)」と「B(それ以外)」に区分されますが、自治体によっては区分が細分化されている場合があります。

例えば東京都では1度(最重度)、2度(重度)、3度(中度)、4度(軽度)の4段階、大阪府ではA(重度)、B1(中度)、B2(軽度)の3段階に区分されています。

そのほかにも、療育手帳は原則として更新が不要であること、精神障害者保健福祉手帳と併せて取得できる場合もあることも覚えておきましょう。

発達障害のグレーゾーンの方が受けられる支援やサービス

発達障害などの障害がある方を対象にした支援やサービスは多くありますが、なかには、以下のように障害者手帳を持っていない方でも利用できるものがあります。

それぞれの支援機関の概要は以下の通りです。

  • 発達障害者支援センター:発達障害の方とそのご家族に生活・就労に関するアドバイスや支援を行う。
  • 就労移行支援事業所:障害のある方が一般就労を目指すための支援を行う。
  • 自立訓練(生活訓練):障害がある方が自立した日常生活を送れるようになるためのサポートをする。
  • 障害者就業・生活支援センター:障害のある方が職場に定着しやすくするための支援を行う。
  • ハローワーク:障害のある方向けの求人情報の提供や、就職活動のサポート等を行う。
  • 地域若者サポートステーション:主に就業経験の少ない若者に対して、職業訓練や就職活動のアドバイスを提供する。

Kaienの支援サービス

Kaienでも、精神医学や発達心理学に基づいた「就労移行支援」と「自立訓練(生活訓練)」を実施しています。

就労移行支援では仕事に必要なスキルや知識の習得、就活支援、就職後の定着支援など、就労に向けたトータルサポートを行います。自立訓練(生活訓練)では、障害の理解を深めたうえで、安定した生活を送る知識やコミュニケーションスキルなどの習得を目指します。自立訓練(生活訓練)で就労や生活に対する自信をつけてから、就労移行支援に移行する形をとってもOKです。

どちらも多くの場合、自己負担なしで利用できるので、就職や転職の悩みや日常生活に困りごとがある方は、お気軽にご相談ください。

グレーゾーンの方は手帳がもらえなくても利用できる支援の検討を

発達障害のグレーゾーンに該当する方は、仕事や日常生活に困難を抱えているにも関わらず、確定診断をしてもらえないため状況の改善が難しいというジレンマがあります。

そんなときは、Kaienの就労移行支援や自立訓練(生活訓練)など、障害者手帳がなくても利用できる支援サービスの利用を検討してみてください。専門知識を持ったスタッフと対話するなかで、今まで知らなかった選択肢が見えてくるかもしれません。

Kaienでは見学会や体験利用を随時無料で開催していますので、興味のある方はぜひご連絡ください。

*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます。

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