就労移行支援事業所Kaien横浜の大野です。
毎月、Kaien利用者の就職実績を定期発信している「Kaienマンスリーレポート」。今回も最新の就職実績をお伝えします。
7月の就職者数は9名 2016年の就職者数が80名超に
7月のKaien全体での就職実績は9名でした。見事就職された9名の皆さまおめでとうございます!2016年1月から数えた就職者数はすでに80名を超え、昨年を大きく上回るペースです。
また今年就職された方の就職後の定着状況についても、概ね順調です。数名の体調不良等のやむをえない事情を除けば、ほぼ全員が順調に勤務を継続することができています。定着支援の職場訪問を通じて卒業生が、生き生きと活躍されている様子を見ることは、私たちスタッフにとってもご褒美のような業務の楽しみとなっています。
就職1年後も95%以上が離職することなく安定勤務
就職開始してから、一定期間経過した後もその就職先に勤務を継続している割合を「定着率」と言います。就労支援がうまくいっているかどうかの状態をはかるうえではとても重要な指標ですが、実はその”一定期間”については調査によりばらつきがあることはご存知でしたでしょうか。
多くの就労移行支援事業所などのウェブサイトでは定着率80%や85%という数字をよく目にしますが、ほとんどの事業所は就職後3か月や6か月経過後の定着状況を集計しているようです。
Kaienでは1年後の在職実績をカウントしており、より長い指標で実績を集計していますが、2015年の集計結果は約95%でした。半年間で80%と1年間で95%、ぱっと見た際の数字上では15%の差ですが実態としてはかなり差が大きいであろうことが想像されます。
また、ハローワークなどを通じて就職した精神障害者のうち44%の方が1年以内に離職する(つまり定着率56%)という調査結果もあります(参考:保健医療学学会公表調査結果)。Kaien出身の方の定着率が、一般的なものと比較してどれほど群を抜いて高いかが、ここからも見て取れるかと思います。
Kaien定着率95%の秘訣
それではなぜ、これほどまでにKaienを経由して就職する方の定着が順調なのでしょうか。もちろん様々な要因が重なっているので一概に言うことはできませんが、ここでは2つに絞ってお伝えします。
①業務内容と強みが合致しているから就職先で評価される
就職先で退職となる可能性の一つに、解雇や契約満了などによる雇止めが考えられます。実際に離職を経験した発達障害当事者のみなさんにお話を伺うと、仕事の中でミスやトラブルを頻発してしまったことが離職の原因になってしまうことが多いようです。ミスの要因は個別の状況により様々ですが、一様に感じるのは「そもそも苦手な部分が出やすいお仕事をしている可能性はないか?」ということです。
発達障害の有無に関わらず、自分の適性を見極めるということはだれにとっても難しいものです。Kaienの就労移行支援では、事務や軽作業など多様な業種・職種をプログラムを通じて体験し、自分の得意分野と苦手なことを見極めることを支援します。実際に仕事を「試着」するような体験を通じて、適性にあった業務内容や就業環境を見定めたうえで応募先を選ぶことにより、就職後も高い業務パフォーマンスを発揮し、かつミスも少なく日々業務ができるので、雇い主からの雇用解除が少ないのだろうと考えています。
②就職に対して納得感が高いから自分から辞めない
もう一つ退職となる原因に、「自ら退職する」ということがあります。客観視や想像力を働かせることが苦手なことが多い発達障害の方に、よく見られる離職の仕方のひとつです。
もちろん高い給与を目指したり、キャリアを積むために転職にチャレンジすることは一概に悪いということはありませんが、客観的に見て「もっと続ければいいのになぁ」と思う場合でも、「ほかに自分に合った仕事があるのではないか?」や、「より高い給与を目指せるのではないか?」という迷いや不安が、あまり建設的ではない退職になっていることが多いように思います。
一方Kaienを通して就職された方は、前述したとおり様々な業種職種を体験しているので「自分の適性に合った仕事に就くことができた」という納得感をもって就職することができているので、就職後もあまり迷いを持たずに、目の前にある仕事に集中して取り組むことができるのではないかと考えています。
新作が続々リリース 発達障害に特化した職業体験プログラム
Kaienの職業体験プログラムは、日々の就労支援の現場での気付きや学びをふんだんに取り入れながらゼロから自社開発している、完全オリジナルの大人の発達障害に特化した就労支援プログラムです。すでに50をゆうに超えるプログラムがありますが、日々目まぐるしく変わる雇用状況にキャッチアップすることができるように、立ち止まることなく続々と新しいプログラムを開発し続けています。
プログラムに参加するご利用者の皆さんも試行錯誤しながら進めていただくのですが、我々作る側も悪戦苦闘しながら制作します。実際の職場のリアル感を追及しつつ、発達障害の特性を加味して学びが多いプログラムを作るのはなかなか大変な作業です。今日も「仕事は計画的に進める」ということに主眼を置いた新プログラムを実施しており苦戦している方も多いようですが、その分学びも多くなることを願っています。
Kaienの職業訓練プログラムの詳細については、Kaienご利用説明会 にてお伝えしています。ご興味ある方は是非一度ご参加ください。