Kaienでは、人事ご担当者様に向けて人材活用や障害者雇用を取り巻く情勢など、日頃の採用活動に役立つ最新情報をメールでご案内しています。
発達障害*の人を雇うともらえる助成金
前回は”障害者”、すなわち障害者手帳を取得している人を企業が雇用した時(している時)にもらえる助成金を詳しく紹介しました。(こちら) 復習をしますと、①「納付金制度」に基づき一定割合以上雇っている企業がもらえる助成金と、②「特開金制度」にもとづき新たに雇い入れた時に企業がもらえる助成金の2つがありました。
ともに障害者手帳がキーワードですので、発達障害の人の雇用でも、障害者手帳を取得している人なら、①・②のいずれにも当てはまる可能性があります。今回は「障害者手帳がない人」を雇用した時にどうなるかを考えてみましょう。
特開金にある”発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース”
実は答えは前回のブログの中にすでにあります。特定求職者雇用開発助成金(特開金 とっかいきん)の一つである”発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース”は、「障害者手帳」を取得することがこれまであまりなかった発達障害の人や難治性疾患の人を雇い入れた企業に給付される助成金です。
【参考】厚労省PDF 発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース
額は障害者手帳がある人に比べると半分(障害者手帳のある発達障害のある人の雇用 最大240万円 → 手帳のない発達障害の人の雇用 最大120万円)ということ。以前は発達障害の診断だけでは障害者手帳が出づらかったものの、最近は出やすくなっている点もあり、実はハローワークで問い合わせても「過去にこの助成金の適用はほとんどないです」というお答えを頂いたことがあります。
当社にご依頼いただいた場合の就職でも、つまりハローワークではなく当社経由でも、制度上は雇入れ企業に助成金が出るのですが、当社実績はいまだゼロになっています。
手帳のない、在職中の発達障害者への助成金は…
企業人事の方の中には、「弊社にも障害者枠ではないが、既存社員に発達障害と思われる人がいるのだが助成金がないか」と考えられる方もいらっしゃるかもしれません。実際に当社でそのようなご質問を受けたこともございます。
残念ながら、障害者手帳がある場合は既存社員を障害者雇用にカウントすることも出来、助成金にもつながるわけですが、障害者手帳が無い方については発達障害の診断があるだけでは助成金などの制度は当社の知る限りはありません。もちろん発達障害の疑いがある程度では使える助成制度は無いでしょう。
シリーズの中で今後触れようと思いますが、お金ではなく雇用管理の支援・相談機関としては、当社のような障害福祉事業を行っている民間企業(Kaien 法人窓口:rep@kaien-lab.com)の他にも、独立行政法人の高齢・障害・求職者支援機構の組織である 地域障害者職業センターなど、障害者手帳を持たない社員の相談にも乗ってくれる機関があります。
問題は大きいはずの職場の発達障害
発達障害の人がどのぐらいいるかは様々なデータがありますが、少なくとも数%、人によっては10%という方もいます。これだけの割合ですと職場の発達障害に関してはどの企業でも向き合うべき問題と思われます。女性の活躍や、介護・育児の社員の活躍、に次ぐぐらいの割合の社員が発達障害的な特徴があることが予想され、抑うつで苦しむ社員よりも多い可能性もあるからです。
しかし本記事で見てきましたとおり、発達障害の雇用に関する行政からの資金的なサポートはほとんどない状況です。今後も職場の発達障害については助成金で対応することは難しく、採用方針や配置・雇用管理手法によって戦力化することを考える必要がありそうです。本シリーズでは企業人事の方が知りたい・考えたい点により切り込んでいきたいと思っています。
【関連ページ】
*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます
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