発達障害のある新大学生向け 入学直前プログラムを開催しました

~「大学デビュー講座」開催レポート~
HOMEスタッフブログ発達障害のある新大学生向け 入学直前プログラムを開催しました

Kaien/ガクプロの藤・末吉です。3月28日・29日の2日間にわたって、発達障害*のある新大学生向け 入学直前プログラム『大学デビュー講座』を開催しました。ご本人向けの「学業編」「バイト/就活編」「学生生活編」「女子学生編」そして、親御様向けの「夜の部」も開催させていただきました。

初の試みでしたが、大学入学にあたって不安を感じることは多かったようです。少しでも安心して入学してもらえるように内容を構成しました。

勉強についていけるか不安「学業編」

学生生活の中心となる「学業」。当日は、履修登録について、レポート・試験対策、スケジュール管理などについて、この春大学を卒業したばかりの先輩のお話も交えながら紹介しました。

参加者からは、「レポートを出し忘れたら、退学になってしまう?」「文系と理系の学部で、授業の取り方は違うの?」「試験の内容はどんな感じ?」などたくさんの質問が寄せられました。

初の試みでしたが、大学入学にあたって不安を感じることは多かったようです。少しでも安心して入学してもらえるように内容を構成しました。

初めての体験「就活・アルバイト編」

多くの参加者が未体験のアルバイト。どんなアルバイトがおすすめか、アルバイトの探し方などについてご紹介しました。お給料のことや、採用されやすいバイト/されにくいバイトの話では、「え~!」という驚きの声も上がっていました。

後半は、よりアルバイトへのイメージを高めてもらうためにバイトの面接を想定して練習をしてみました。また、「アルバイト先のお皿を割ったら弁償しなければならない?」など、バイトで良くある状況への対応をご紹介しました。

アルバイト情報誌を使って、チャレンジできそうな求人を探す練習のようす。「居酒屋でも、清掃だけならできるかな?」「採点のアルバイトならいいかも!」など、苦手を避けながらアルバイトを探してみました。

アルバイト情報誌を使って、チャレンジできそうな求人を探す練習のようす。「居酒屋でも、清掃だけならできるかな?」「採点のアルバイトならいいかも!」など、苦手を避けながらアルバイトを探してみました。

大学生ならではの生活を知ろう「学生生活編」

大学生になると、自由な時間が増えます。生活リズムのつくり方や友達作り、サークルの選び方やSNSについて…話題は尽きません。

大学通学中の先輩から、リアルな大学生活を聞いた参加者の皆さん。「大学生ってみんな髪を染めるの?」「SNSで友達ってつくれるの?」「インカレのサークルって何?」など、具体的な質問がたくさん出ました。

グループでの活動として、お菓子を食べながら雑談の練習もしてみました。出身地の話、高校の話、中には恋人を作るコツなどの話題で盛り上がるグループもありました(お菓子を食べることとおしゃべりすることの同時並行が難しく、最初はあまりお菓子を食べずにお話しすることに集中している人が多かったです)。

おしゃべりとお菓子を食べることの同時並行が難しかったですが、話はとても盛り上がりました

まったりとガールズトーク「女子学生編」

女性ならではの悩みを話し合う「女子学生編」では、身だしなみや持ち物、異性同性との距離感を中心に取り上げました。身だしなみに関しては、大学生になるとお化粧をしたり、髪を染めたりする人も多く、オシャレな同級生も出てくるため、どうすればいいのか不安を感じる人もいました。しかし、先輩がかなり具体的にノウハウを教えてくれました(どこで服を買えばいいかを調べるにはどうするかなどです)。「カットソー」や「パンプス」など初めて聞く単語も多かったようで、実際に現物を見て理解していきました。

異性同性との距離感の取り方については、悩みがどんどん出てきました。「芸能人に興味がないので話についていけないときは?」「男子とどのくらい距離を取れば?」など、ゆったりとおしゃべりしながら考えていきました。

親御様向けの会では…

2日間で行った講座のダイジェストを実施しました。「授業担当の先生との相性はどのように見極めればいいか?」「通学のモチベーションをどのように保てばよいか?」「先生に配慮を申し出るべき?申し出るとしてもどのように?」「レポート作成は、親が介入していいの?」など、多くのご質問を頂戴しました。

実施して改めて感じたのは、親御様もご不安がおありだということです。高校までは何とか親御様ができる範囲で宿題のサポートをしたり、忘れ物をしないようにチェックをして学校に送り出せていた場合でも、大学に入ると変化が大きすぎて、親御様も対応しきれないことがあります。少しずつご本人が対応できるようになるのが理想ですが、現代の学生生活は情報量がとても多く複雑化しています。失敗させないように石を取り除くというよりは、ご本人が前に進んでいけるためのサポートは存分にして良いと思います、というメッセージを込めて実施しました。

参加者の声と次回開催

ご本人様
  • 早速4月に入学式があるので、いい形で本番を迎えられるようにしたいです。このプログラムは大学生活のプロローグなので!!
  • SNSやレポートの書き方が良く分かりました。
  • 大勢の中で雑談するのが苦手なので、今回の会に参加できて良かったです!
  • 女子会もあるなら男子会も…。
  • 新しい環境に踏み出すのがとても不安でしたが、今回の講座で少しでも大学のことを知れて不安を和らげることができました。
保護者様
  • とても具体的な内容で、ひとつひとつの話が参考になりました。
  • 入学直前で不安になっている時期にこのような講座を開いてくださってありがとうございました。また、本人の困り感が具体的になってくる夏休み頃に開催していただけるとありがたいです。
  • 入学してみないとわかりませんが、学校側と話してみたいと思います。
  • 大学の学生生活は私たちが過ごした頃のものとは大きく異なる部分もあり、大変参考になりました。

ということで、次回開催は夏休み頃にできればと考えています。

関連ページ

*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます