業務があふれそうなときどうする?

発達障害の人の視点で議論してもらいました ~キスド会 2018年6月 開催報告~
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奇数土曜日開催の在職者向けの当事者会「キスド会」では、発達障害ならではのお悩みに、スタッフや参加者が知恵を出し合って解決策を探っています。ここでは、そこで話し合われた会話を参加者の承諾をいただき記事にしています。今回は「業務があふれそうなときの対策」について議論しました。

期待されるとそれに応えようとして抱え込んでしまう

Aさん) 自分は今、特例子会社で働いているのですが、いろんなことを任されています。それがつもりにつもると、夕方あたりに軽くパニックになってしまうことがあって。キャパオーバーにならない程度に仕事をこなす方法はないかなと思って、テーマとして提案しました。自分は一人でいつも抱え込む傾向があります。自分がやらなきゃならないとか、自分は期待されてるからちゃんとやらなきゃいけないなと思うと、パニック気味になってしまうことがあって。

Bさん) そうなのですね。パニックになる気味になると、Aさんはどのような状態になるんですか? もし業務があふれそうになったら、上司に「今は無理です」とか言ったほうがいいのでは?

Aさん) そうですね、焦っていたときに「忙しいので話しかけないでください」と言ってしまったことがあります。後で反省して、最終的には謝ったりはしたんですが…自分の中で限界が認識できていなくて。もっと業務量について早く言えばよかったのかな、相談すればよかったかもな、という反省があります。

いっそのこと「わざと」ミスをしてみる!?

Cさん) キャパオーバーって、なってみるまでわからないものですよね。僕も今そうなっている状況です。仕事振ろうにも、他の人も仕事を抱えている状態で…まあでも、他の人に相談しながらなんとかやってくしかないのですけれど。

Dさん) 私も以前常にキャパオーバー状態だったことがありました。SEとして働いてたんですけど、残業が多くて、労働基準法なんて、そんなものあるのかっていうくらい残業してたんです。限界がきて結局転職したんですけど、その転職前に最後に上司に言われたのは、「お前は残業しても大丈夫な奴だと思ってた」でした。何を言うのかこの上司は、ていう感じなんですけど(笑)。

スタッフ) それはその上司は許すまじ、ですね。

Dさん) まあ、私もコミュニケーションとってなかったのがいけないんですけど。上司には期待されてて、自分も頑張ろうと思って頑張り続けた結果、それが「頑張ってる」じゃなくて、「残業しても平気な奴」なんだって単に思われてた、というのがわかって。どっと疲れてしまいました。そこで、ちょっと極端な方法なんですけれど、上司に業務があふれそうだってことをわかってもらうために、わざとミスをするっていうのはどうでしょうか。顧客情報の流失とか、そういう洒落にならないミスだとアウトですが、これならちょっと注意されるくらいだなっていうくらいのミスです。

一同) おおー!

Eさん) それは劇薬ですね。むしろそれができるなら結構器用なんじゃないですか(笑)。

Dさん) はい、高度なやり方だと思うので私もやったことないです(笑)。でも、出世したいならともかく、細く長くやっていきたいのであれば、あえてちょっと手を抜いてみて、上司から「最近どうしたんだ?」って話にもっていけたらいいのではないかなと思って。

Eさん) 僕はちょっと違う考えです。だんだん年を取っていく中で、お金がすべてってわけではないけれども、やっぱりお金は大事だから。家族をもちたいとか、定年後どうなるとか考えていって、その中で自分の収入がどのくらい必要かなっていうことは考えています。だから、自分の人生とか年齢の流れの中で、どのくらい頑張るか、キャリアアップを目指すかを考えて、キャパを自分から上司に伝えた方がいいんじゃないかな

少しだけ負荷をかけてキャパを広げる

Bさん) 自分も多く業務を任されると、内心焦ってきます。なので、最近は業務をなるべくノートに書きだして可視化出来るようにしています。頭の中で処理をするとそれで混乱してしまいますし、業務が終わっても「本当にちゃんとできたかな?」と心配になってしまって。それが積み重なっていくとキャパオーバーしてしまいます。余裕がある業務とか、いつも行っている定型的なものでしたら大丈夫なのですが。でも、可視化すると終わったっていう確認ができるし、安心できるので、ちょっとは混乱は抑えられるかなと思います。

Fさん) 私は急な業務が発生したときにアドレナリンが出ているなと思ってます。「ああ、ヤバイ。今、焦っている。メッチャ焦っている。私、焦っている」と思って、深呼吸する。ここでまず焦っている自分を認めます。落ち着いて、優先順位を自分の中でつけて、他の人に「今、こういう風にやろうとおもっているんですけど、これでいいですか?」と確認します。仕事も繁忙期と閑散期があるので、繁忙期のときは「今忙しいな、焦ってるな」と思いながら仕事をしています。かなり疲れますけれど。でも、その結果、自分のキャパが広がった気がします。

スタッフ) そうですね、ある程度負荷がかかると、自分のキャパが結果的に広がることもありますしね。まとめに入りますが、本日出たのが大きく分けてふたつです。一つは、業務があふれそうになる前に相談するということですね。案外他の人は、自分がキャパオーバーになりそう、なっているということに気づかないことがありますから。もうひとつは、業務があふれないように仕事を効率化したり、あるいは少しずつキャパを広げることでした。ただ、なかなか自分の限界ってわからないものですよね。特に、限界ギリギリまで頑張りすぎちゃうタイプの人は要注意です。どなたか、最後にコメントをしてくださる方、いらっしゃいますか?

Gさん) 私が印象に残ったのはキャパを広げるという話です。今、工場勤務をしていて、工場の中でも細かい業務が多いんです。でも、細かいからといって時間をかけていいかというとそうではない。この工程を30分以内に収めなければいけない。そうしないとほかの業務ができない。でも、それを現在は35分や40分くらいかけてしまっていて…上長から指摘されている状態です。言われ続けて「すみません、私適性ありません」って謝っています。でも、続けていると少しずつですけれど、自分の中に改善がみられていくんですよ。

向いていないのは事実だと思っていますし、限界もあると思っています。けれど、自分の中で110%とか、120%の状態にし続けることで、キャパが広がることもある。だから、ちょっとだけ無理をして続けるのもありかなと思いました。今日は参加して良かったです。ありがとうございました。

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監修者コメント

業務でパンクしそうになると、上司らから「なんで早く言わなかったの」「抱え込むのをやめて」など注意され、さらに落ち込む、みたいなことが多いと思います。

日ごろからコミニケーションをよくとるように、と言われますが、どうすればよいのか、分からないですよね。朝昼夕と休み時間のタイミングで「今自分がどういう仕事をしていて」「どういうことで困っている」「自分一人でできそう、もしくは援助が欲しい」を雑談を交えて、話すとよいです。何度も言って、迷惑ではないか? そんなことはないですよ。

もしそれで上手くいかなかったら、医師や支援者に相談してみてください。違う突破口が見つかるかも知れません。


監修 : 益田 裕介 (医師)

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