”普通って何?” Kaien流の発達障害当事者会「キスド会」を大阪で初開催

Kaien社長ブログ
HOMEスタッフブログ”普通って何?” Kaien流の発達障害当事者会「キスド会」を大阪で初開催

新年明けましておめでとうございます。2019年のKaienもいつもと同じ目標。「発達障害*の支援で尊敬される、刺激を与えられる、楽しく新しいサービスを提供していく」です。

今年の仕事始めは大阪で。昨年(2018年)夏にオープンしたKaien大阪天六で、初めての当事者会「キスド会」を開催しました。Kaienの就労移行支援の利用者・修了者は別に懇親会(サロンと言っています)も開催していますが、Kaienのサービスを一切使ったことがない方でも参加できる当事者会となっています。これまでは首都圏のみの開催でしたが、ついに体制が整い、大阪でも開催することができました。

※キスド会とは?…奇数週土曜日開催の在職者向けのKaien流の当事者会です。発達障害の人が抱えるキャリアについての悩みや課題を皆で話し合うものです。

大阪初開催となった1月5日(土)では、自己紹介の後に次のような候補から3~4つのテーマで90分間話し合いました。

  • オープンで働く場合、自分の得意分野でなくても大丈夫?
  • 配慮してもらいたいことを、受け取ってもらいやすく伝える方法
  • 自分の調子(体調気分)が悪い時に、それらを棚にあげて勤務を完了するコツ
  • 働き心地の良い職場環境を作るために普段から自分でできることは?
  • 苦手だけれどもどうしてもかかわらないといけない人との関わり方
  • 障害者枠だと知らない人から困ったことをされている。対処法は?
  • 自分の感情がすぐに分からずに後からわかる。それが原因で対処が遅れる。どうしたらそれが無くなるかがわからない。
  • 自分の思っていることを相手にうまく伝えられない
  • 発達障害であることを家族や友人にカミングアウトすべきかどうか。何を基準に判断するか?
  • 対人関係での対応の仕方、乗り切り方、自分との違いの埋め方
  • 仕事での先読みができないのだが、その場合の対応、行動は?
  • 物事へのマイルールが厳しすぎることへの対応。
  • 相手が忙しそうにしている時に質問する方法
  • 指示されたことが理解できなくて、聞き返してもなぜ今の説明でわからないのかとよく言われて困っている
  • 家族に自分の状況を理解してもらえない
  • 気分の浮き沈みを抑えて、業務に集中する方法

実は録音をして(個人特定ができないように加工して)ウェブサイトにアップしようとしたのですが、録音編集中に削除してしまうという愚行を犯してしまい、、、せっかくの学びが共有できないのです。ごめんなさい…。

が、個人的に納得したのが「普通って何なのか?」という話題。NHKでも「ふつうってなんだろう?」が放送されて反響があったと聞いた通り、発達障害の人にとって「普通」は人生の大きなテーマですよね。

もちろん「普通は多種多様だから、ちょっと違ったからって気にするな!大丈夫だよ!」で解決する世界が理想ですが、理想はすぐには訪れないもの。理想を語りつつも、現実との行き来ができるような支援・接し方が重要だと個人的には思っています。

昨日も発達障害の人と接していて、

  • 普通(この場合は、その場にいる多数派が考える正解)という感覚が分かりづらい人 (ASD的な特性ですね)
  • 普通はわかるのだけれども、その普通に自分が合わせることにものすごくエネルギーを使い疲れる人 (こだわりという観点からASD的でしょう)
  • あるいは普通はわかるのだけれども、ついつい衝動的に行動してしまって、いつの間に普通からズレてしまう人 (ADHD的な特性ですね)
  • そもそも普通というところを意識してしまっている自分自身について違和感や嫌悪感がある人 (発達障害を越えて、外国人やLGBTQなどの少数派の人が感じやすい深いテーマだと思います)

などの見解が出てきました。何が正解というわけでもなく、自分を偽らずに、のびのびと発言する場があるのはとても重要なんだなぁと感じた次第です。

大阪では月1回の開催となります。ご関心のある方はまずは当社の説明会にいらして頂ければと思います。

文責: 鈴木慶太 ㈱Kaien代表取締役
長男の診断を機に発達障害に特化した就労支援企業Kaienを2009年に起業。放課後等デイサービス TEENS大学生向けの就活サークル ガクプロ就労移行支援 Kaien の立ち上げを通じて、これまで1,000人以上の発達障害の人たちの就職支援に現場で携わる。日本精神神経学会・日本LD学会等への登壇や『月刊精神科』、『臨床心理学』、『労働の科学』等の専門誌への寄稿多数。文科省の第1・2回障害のある学生の修学支援に関する検討会委員。著書に『親子で理解する発達障害 進学・就労準備のススメ』(河出書房新社)、『発達障害の子のためのハローワーク』(合同出版)、『知ってラクになる! 発達障害の悩みにこたえる本』(大和書房)。東京大学経済学部卒・ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院修了(MBA) 。 代表メッセージ ・ メディア掲載歴社長ブログ一覧

*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます