Kaien社長の鈴木です
先日のTwitter。当社も関わったやりとり。起業やフリーランスについて。
発達障害に起業・フリーランスが向くか?
向く人もいますが、そうでない人が多いのは事実だと思います。
ただ「起業・フリーランス」ってかっこよく響きますし、希望ですよね。
一部支援者でその甘さを上手に使い、過度な夢を起業が向かない人にも抱かせているケースは、当社も危惧しています。 https://t.co/LrYHtrxDe4
— ㈱Kaien @発達障害の方と一緒に社会を前進させる!就労移行支援事業に加えて新たに生活訓練準備中 (@KaienJp) December 13, 2019
Twitterでは実際行動することの難しさを現実的に考えていらっしゃる方が多いという印象でしたが、今日はこのテーマについて考えていきます。
世の中の起業家は確かにADHD的
世間を賑わす創業者を見ていると、やはり多動で衝動で行動力が有り、発想力が半端ない人が多いです。
既にADHDを公表されている起業家も米国を中心に多数いますし、「まとめサイト」的なところを見るとADHDの起業家は様々に取り上げられています。
「まとめサイト」の真偽は怪しいとしても、”普通の人”と違うことをするためには何らかの違う発想や違う行動力が必要で、そこには発達障害*的な力が必要なのは確かかもしれません。
調査(米 2018)でも起業家にADHDが多いことが判明
実は研究機関による調査でも、起業家にADHDが多いことが明らかにされています。
「起業家とその家族における精神状態についての調査」Michael A. Freeman(カリフォルニア大学サンフランシスコ校)など
The prevalence and co-occurrence of psychiatric conditions among entrepreneurs and their families (画像もリンク先から)
これをみると、10人に3人はADHDにもなります。
また比較されている起業家以外のグループと比べると、その差(29% vs. 5%)がADHDだけかなり大きいことがわかります。
どうやらADHDの人に企業経営者が多い、しかも自分で起業した人が多いのは本当かもしれません。
✕ADHD→起業 ◯起業→ADHD
ただし決して「ADHD→起業」ではなく「起業→ADHD」であることは理解したいです。
つまり、ADHDの特性があったら全員が起業に向いているというわけではなく、起業がうまく行った人の中にADHDの特性が活きた人が多かったと考えるべきでしょう。
またそもそも30%の人は抑うつ状態であることも表からわかります。自分もKaienを起業したのでよくわかりますが…小さな企業の経営はジェットコースターに毎日乗っているようなものですので、気分の浮き沈みや不安とは常に隣り合わせの職業ということは理解する必要があるでしょう。
得意も活かせるが、苦手も露骨に出る
また冒頭のTwitterでもある通り、フリーランスも含め起業というのは、会社の運営に関わるほぼすべての作業を自ら一人の力でこなす仕事でもあります。
ADHD的な良さが活きることは確かだとしても、ADHD的な苦手さ(計画を作る、嫌な仕事もこなす、時間通りに行政書類を出す、マルチタスクをする…)なども露骨に出る可能性が高いです。
起業で成功するには、周囲の環境に恵まれるなど、複数の条件が整う必要があるでしょう。
[参考] 発達障害に向く仕事・働き方 ADHD(注意欠如多動症)編 ADHD に起業やフリーランスは向きますか?
在宅就業への支援(フリーランス・内職)
最後にもう少し視野を広げて、自らのペースで働くフリーランス・内職、在宅就業まで考えてみます。
昨今ではクラウドソーシングなど雇われない働き方も広まってているため、手に職のある方は障害告知の必要ない働き方をしているのかもしれません。
ちなみに民間企業から障害者の方へのお仕事の発注を支援する制度(在宅就業障害者支援制度)は、実は2006年から存在します。しかし法制面でのメリットが薄いためか、ほとんど利用されていません。発注元企業数は年間10社前後です。[参考] 第82回労働政策審議会・障害者雇用分科会(資料) 参考資料2
もちろん在宅でするため、ご本人のペースで、周囲を気にすることがなく、仕事に集中できるという、発達障害の特性を活かせる可能性もあります。
一方で起業のところと同じで、在宅就業ですと苦手もモロに出ます。例えば、生活リズムを整えたり、気持ちの切り替えが難しかったりするタイプの方は、自らを律することが出来ず、より苦しむこともあるでしょう。
まとめ
今後、すべての人向けではないとしても、人手不足や働き方改革で、雇用以外の選択肢が今後広がるのは確か。
当社もフリーランス・内職・在宅就業・起業・副業など、新しいタイプの働き方も支援の出口として模索していっています。
自らの発達障害の特性も含めて、時代を上手に見極め、より良い職業人生を作っていきましょう。
※Kaienでは、自分の特徴・強みを生かして就職を目指す就労移行支援や、自立に向けた基礎力を上げる自立訓練(生活訓練)、また学生向けのガクプロというセッションを運営しています。それらの中でフリーランスや企業も含めた就職活動の方向性について経験豊富な専門スタッフがサポートしています。お悩みや課題がある方は、支援者による伴走をぜひご活用ください。
文責: 鈴木慶太 ㈱Kaien代表取締役
長男の診断を機に発達障害に特化した就労支援企業Kaienを2009年に起業。放課後等デイサービス TEENS、大学生向けの就活サークル ガクプロ、就労移行支援 Kaien の立ち上げを通じて、これまで1,000人以上の発達障害の人たちの就職支援に現場で携わる。日本精神神経学会・日本LD学会等への登壇や『月刊精神科』、『臨床心理学』、『労働の科学』等の専門誌への寄稿多数。文科省の第1・2回障害のある学生の修学支援に関する検討会委員。著書に『親子で理解する発達障害 進学・就労準備のススメ』(河出書房新社)、『発達障害の子のためのハローワーク』(合同出版)、『知ってラクになる! 発達障害の悩みにこたえる本』(大和書房)。東京大学経済学部卒・ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院修了(MBA)。星槎大学共生科学部 特任教授 。 代表メッセージ ・ メディア掲載歴</
*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます
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