BWAP2(Becker Work Adjustment Profile 2)

TEACCHに基づいた働く力を測る検査
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BWAP2とは?

BWAP2はベッカー職場適応尺度(Becker Work Adjustment Profile 2)のことで、2021年に早稲田大学の梅永雄二先生が日本語版に翻訳しました。

BWAP2では、仕事のハードスキルだけでなく、ソフトスキルの状態を把握することができます。ハードスキルとは、仕事そのものにかかわるちからのことです。たとえばExcelやWordを使いこなしたり、仕事で必要な機械を扱ったり…といったイメージです。ソフトスキルは日常生活を送るためのスキルやコミュニケーションなど、仕事に間接的に関わるちからのことです。たとえば挨拶をすること、体調を整えること、質問をすること…といったイメージです。

発達障害*のある方はソフトスキルの面で就労上の困難さを持つ場合が多い、と言われています。仕事を遂行するハードスキルはあるけれども、コミュニケーションが苦手で職場定着が難しかったり、段取りよく仕事に取り組むことが難しかったり…ということがあります。

BWAP2では発達障害のある方が困りやすいソフトスキルの面を評価し、検査対象者の今後の課題を整理することができます。また、評価の際は具体的にどのような状況が何点に当たるのかが細かく記載されているので、比較的簡便に検査対象者の状況を整理することができる点も特徴です。医療機関以外でも、就労移行支援の事業所等で活用することができます。

実施時間も15分程度で、検査をする人の日ごろの活動の様子(例えば就労移行支援事業所での訓練の様子)をよく知る人がチェックシートに評価を入れていきます。

BWAP2は就労移行支援事業所など、就職活動に取り組む人や就労のための準備をしている人や、現在就労していて働くうえでご自分の強み・弱みを整理したい人に役立ちます。

BWAP2でわかること

BWAP2では、実際に仕事をしている状況を観察し、以下の4つの領域で検査対象者の状況を確認します。

仕事の習慣・態度

たとえば、身体を清潔に保つことや、身だしなみ、時間を守ること、仕事へのモチベーションや仕事の遂行に信頼性があるか、といった点をチェックします。

②対人関係

たとえば、職場の人に礼儀正しく接することができるか、同僚と仲良くやっていけるか、感情の安定の様子、ルーティンの変更への対応の様子、といった点をチェックします。

③認知スキル

たとえば、言葉で説明された内容の記憶の状況や、読解力、判断力、計算力、自分の要求を伝えることができるか、といった点をチェックします。

④行動の遂行能力

たとえば、仕事のミスを修正できるか、仕事中の集中力、問題が起きた時に報告できるか、疲れやすさの状況はどうか、といった点をチェックします。

これらの項目をチェックすることで、検査対象者の職場への適応度や就労への準備性の度合いを整理することができます。

検査の活用方法

BWAP2の各領域の得点結果をもとに「職業能力プロフィール」を作成します。プロフィールは各領域の得点をグラフにしたもので、検査対象者の各領域の状態がどの程度の水準にあるのかが簡易的に示されます。

この結果だけをもとに、「就労移行支援を利用したほうが良い」、「一般就労を目指したほうが良い」という判断はされません。検査対象者の強みや弱み(十分にできていることと、これから練習や支援が必要なこと)を整理し、就労や就労訓練の目標を設定します。

たとえば、検査対象者の困りごとが「職場でのコミュニケーション」だとします。BWAP2の結果から「人間関係の中でも、特に感情の安定や上司からの指摘を受け入れることに課題がありそうだ」ということがわかったとしましょう。この結果から、「上司から指摘を受けた時に感情が高ぶったら、少し休憩をとって気持ちを落ち着かせる」という対処法を考え試してみる、といった使い方ができます。

このように、検査対象者の抽象的な困り感を細かく整理・言語化し、より働きやすい状態を目指すための目標設定をするためにも活用できます。

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*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます