CAARSとは?
CAARSは18歳以上を対象とした、ADHD症状の度合いを把握する心理検査です。
大人のADHD(注意欠如多動性障害)についてはこちらの記事もご参照ください。
CAARSはConnersによって開発されたADHDに関連する症状を測定する心理検査で、中村和彦先生が日本語版を監修しました。
検査は「自記式(検査を受ける人が自分で記入すること)」と「観察者評価式(家族や友人、同僚など最近の本人をよく知る人が記入すること)」にわかれています。自記式と観察者評価式の検査が常にセットで実施されるわけではなく、自記式のみを実施するというケースもあります。(可能な限り、1人以上の観察者による評価をあわせて取得することが望ましい、とされています)自記式と観察者評価式、いずれの質問も66項目で15分~30分程度で回答することができます。
CAARSはメンタルクリニックや病院の精神科、保健所など、心理検査を実施している機関で受けることができます。例えば大学生であれば、心理の専門家が在籍している学内の相談機関で受けられる場合もあります。
CAARSに含まれる項目
CAARSには以下の項目が含まれます。
- 注意不足/記憶の問題
- 多動性/落ち着きのなさ
- 衝動性/情緒不安定
- 自己概念の問題
また、ADHDの人とそうでない人を判別するための項目や、回答に一貫性があるか判別する項目もあります。そのほか、DSM-Ⅳ(アメリカ精神医学会が出版する精神疾患の診断基準・診断分類のこと)によるADHD診断基準に関連した項目も含まれています。各質問項目について、「まったく当てはまらない」~「非常に当てはまる」までの4段階で回答します。
どの項目の得点が高いかによって、今後の生活の困り感を軽減するために着目すべきポイントが明確になります。例えば、注意力に関する問題が顕著な人と、多動性に関する問題が顕著な人とでは、生活の中の困りごとや困りごとに対する対応策も異なります。検査を通して本人のADHD症状の程度を評価することで、ニーズに応じた支援を検討することができます。
もちろん、CAARSの得点のみで必要な支援を検討することはありません。検査に至るまで(あるいは検査後)の面談の中で、これまでの生活の様子や今抱えている困りごと等を医師や心理士と話し合い、検査結果も情報として活用しながら本人にとって必要な支援を検討していきます。
検査結果の活用方法について、次の項目で詳しく説明します。
CAARSの結果の活用方法と注意点
検査を受ける本人の自己評価と、周囲の人から本人への客観的評価を比較することで、本人の状態を詳細に評価することができます。
例えば、自記式の回答結果で本人は「自分は不注意傾向が強い」と強く感じていることが明らかになった場合でも、観察者評価式では「不注意な傾向は低いように思われる」と結果が出たとします。この場合、周囲の人から本人への評価と本人の自己評価にずれがある可能性があります。検査を通して周囲には気づかれにくい本人の困り感を明らかにできた、と考えることもできます。もちろん、本人の自覚するADHD症状が周囲からも認められる場合は、自己評価と観察者評価の一致率は高くなるでしょう。
注意点として、CAARSの得点だけでADHDの医学的診断がつくことはありません。ADHDを診断するための面接用ツールには、CAARSと同じくConnersが開発したCAADIDがあります。例えば、CAADIDを活用してADHDの診断を行い、症状の重症度(その人が持つADHD特性の様子)をCAARSにより詳細に検討する、という使われ方をすることもあります。
CAARSの結果は検査を受ける方がその時点で抱えている問題を整理し、ADHDのどのような特性を強く自覚している、あるいは強く表れているかを分析するために役立ちます。時期をあけて再度検査を受けることで、ADHD症状に対する何らかの治療・介入効果の経過観察に役立てることもできます。
医療機関等でCAARSを受けた場合、検査結果のフィードバックの際、詳しい結果や検査結果をどのように生活に活かしていくのかについて、医師やカウンセラーから説明があります。
回答状況や項目ごとの結果に着目して、検査結果を生活の中にプラスに活かしていきましょう。
【参考】中村和彦(監修)染木史緒・大西将史(監訳)CAARS日本語版マニュアル.金子書房
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