VPI職業興味検査とは
VPI職業興味検査はもともとアメリカで開発された検査で、キャリアプランニングや進路選択の際に自己理解や職業理解を深めるために役立てられます。検査実施には以下のようなメリットがあるとされています。
- 検査対象者の興味を明らかにしていく過程を通して無理なく職業の世界への関心を高めることができる
- 興味を手掛かりに、たくさんの職業の中から効率よく職業探索をすることができる
- 興味を生かせそうな職業領域や職業例の情報を得ることができる
- この検査を開発したHolland,J.L.(ホランド)の研究成果(RIASECの6つのタイプ)を生かして個人のタイプを分析することができる
主にこれから就職を考える大学生や求職中の方を対象に実施されます。
実施時間は採点を含めて20分程度で、160個の職業名に対して自分の興味・関心の有無を回答する比較的簡便な検査です。大学の就職課やハローワークなど、就職活動をサポートする支援機関で受けることができます。就職活動に際し、自分の職業への興味・関心がどのような傾向を持つのか、改めて確認し、整理するために役立ちます。
VPI職業興味検査でわかること
検査ではホランドが提唱する職業興味の6つの領域(RIASEC)に基づき、現在、自分がどのような領域の仕事や活動に高い関心を持つかを整理することができます。RIASECは以下の6つの職業興味の領域の頭文字をとったものです。
- Realistic(現実的興味領域):機械や物体を対象とする具体的で実際的な仕事や活動の領域
- Investigative(研究的興味領域):研究や調査のような研究的、探索的な仕事や活動の領域
- Artistic(芸術的興味領域):音楽、芸術、文学等を対象とするような仕事や活動の領域
- Social(社会的興味領域):人と接したり、人に奉仕したりする仕事や活動の領域
- Enterprising(企業的興味領域):企画・立案したり、組織の運営や経営等の仕事や活動の領域
- Conventional(慣習的興味領域):定まった方式や規則、習慣を重視したり、それに従って行うような仕事や活動の領域
1つの職業について、その職業と関連の深い上位3つの領域が割り当てられます(ホランドコード、と呼ばれます)。例えば、各種学校の先生のホランドコードのうち一つにはS領域(社会的興味領域)が含まれていることが多いでしょう。職業興味領域だけでなく、自分自身の特性について、その傾向を整理するための5つの傾向領域が設定されています。
- Co尺度(自己統制傾向):自己の衝動的な行為や考えをどの程度統制しているか
- Mf尺度(男性-女性傾向):伝統的な性役割にどの程度こだわりがあるか
- St尺度(地位志向傾向):社会的威信や名声、地位や権力をどの程度重視するか
- Inf尺度(稀有反応尺度):職業に対する見方がどの程度ユニークであるか
- Ac尺度(黙従反応尺度):どの程度幅広く様々な職業に関心を持っているか
たとえば消防士や花火師のように危険を伴う仕事への興味・関心が高い人は物事に思い切って取り組むタイプで、興味・関心が低い人は慎重なタイプかもしれません。そういった傾向はCo尺度の得点に反映されることがあります。
このように、自分自身の傾向を「職業名について関心の有無を回答する」ことで整理することができる点は、実施の際、自分の内面を直接的に尋ねられるよりも、気持ちの面で負担が少ないと考えられます。
検査の活用方法
皆さんはこの世の中にどのくらいの数の職業があるか考えたことがあるでしょうか。この検査を受けることで、自分の知る職業よりももっと多くの職業がこの世の中にあることを知ることになります。検査を受けることでこれまで出会ったことのない職業名を知り、働くことへの意欲や関心がより高まるかもしれません。また、VPIによってある程度、自分の関心のある職業領域を整理することができます。世の中に数多ある職業から自分の興味・関心に合わせて進路を考えるとき、VPIの結果を参考に効率的に職業を絞り込んだり、検索したりすることができます。
VPIの結果がもともと自分で感じていた職業領域への興味・関心と一致する場合もあれば、不一致の場合もあります。不一致の場合は、自分がこれまで気がつかなかった自分の特徴をあらわすものとして考えてみましょう。
VPIで示されるのは自分自身の職業領域への興味・関心であって、適職が示されるわけではありません。人によっては、興味・関心のある職業と向いている職業が一致する場合もあれば、不一致の場合もあります。VPIの結果をもとに、職業への興味・関心と向き・不向きを考えるきっかけにしてみましょう。例えば、身近な人にVPIの結果を共有して助言を受けたり、興味・関心のある職業について詳しい情報を収集したり、その職業につくために必要な手段を調べてみたりする、といったことが考えられます。
【参考】独立行政法人労働政策研究・研修機構 VPI職業興味検査
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