世界有数のプロフェッショナルサービス企業、アクセンチュア株式会社( https://www.accenture.com/jp-ja )は、職場の多様性と受容性が高い企業を認定するリフィニティブの「ダイバーシティ&インクルージョン・インデックス」で世界第1位を獲得するなど、ダイバーシティ&インクルージョンに積極的に取り組んでいる企業です。
日本での障がい者雇用の取り組みにおいては、世に先駆けてKaienと共同で、「精神・発達障がい*のある方が強みを生かして働くことを目的としたサテライトオフィス(以下、サテライト)」を設立しました。2019年に横浜の生麦、2020年に東京の立川、2023年11月には大阪の中津にサテライトを立ち上げました。現在は多くの社員が高い定着率で活躍しています。そして2024年8月には、大阪の弁天町に新しくサテライトを立ち上げます。サテライトは引き続き拡大を進めており、有能な人材の積極的雇用を図っています。
今回は、サテライトの現状と今後の採用にかける思いを、アクセンチュア株式会社 千代崎様と、スーパーバイザー(以下、SV)の深澤様に伺いました。
■アクセンチュアについて教えてください。
千代崎様)弊社は、世界49カ国・200都市 で70万人を超える社員が働いているグローバル企業です。日本でのビジネスの歴史も長く、前身となる事務所から数えると60年以上前からサービスを提供している会社です。
弊社では「力を合わせることで、これまでにない優れた力を生み出すことができる(together, we are greater than ever)」という信念のもと、様々な能力と文化、考え方、技術、経験を持った人材が相互に連携、協力して働く職場環境づくりを進めています。
アクセンチュアではその中で、障がい者雇用を重要なテーマとして位置付けています。日本でも幅広く障がい者雇用に取り組んでいますが、Kaienに常駐などのご支援いただいているのは、弁天町・中津(大阪)と立川(東京)と生麦(横浜)にある4拠点になります(※以下、弁天町・中津・立川・生麦サテライト)。
サテライトは精神・発達障がい*のある社員に特化したオフィスとして運営をしています。その理由は、障がい者雇用の就労環境の整備や職場づくりを一過性のものではなく、試行錯誤を繰り返し、持続的に日々のビジネスの中に組み込んでいく長期的な取り組みとして位置付けているためです。現在も、規模を拡大させながら一人ひとりがより高い価値を発揮する成長を続けており、事業に貢献する組織として社内から期待を寄せられるまでに成長しました。引き続きKaienと連携しながら、ニューロダイバーシティの取り組みとして更なる深堀りや拠点拡大を進めていくとともに、弊社で培った知見・ノウハウを広く社会に還元して、日本の障がい者雇用の発展に貢献していきたいと考えています。
■ サテライトでの取り組みの内容について詳しく教えてください。
千代崎様)サテライトでは、精神・発達障がい*のある社員にとって働きやすい環境を整備するとともに、「個の成長」と「仲間・社会への貢献」を感じられる職場づくりを進めています。2019年からの取り組みで、一人ひとりがチャレンジして成長しながらも安定して就労し、サテライト全体で高い定着率を実現しています。
業務については、難易度や業務の幅を広げていけるように、まずは多種多様な業務を用意し、「アクセンチュアの事業に対する貢献度の高さ(社内の業務量の多さなど)」と「障がいのある社員にとってのやりやすさ(定型化や納期の余裕があるなど)」の2軸で整理しています。その後、稼働できる社員と担当業務をマッチングしています。このような形で、これまでの累積で100種類以上の業務を遂行してきました。
■ 業務が100種類以上あるとお聞きして驚きました。業務の振り分けはどのようにされているのでしょうか。また、障がいのある社員が円滑に業務を行うための工夫があれば教えてください
深澤様)ここでは具体的に3つの取り組みをご紹介させていただきます。
① 一人ひとりの強みを活かす業務のマッチング
サテライト全体ではこれまでに100種類以上の業務を遂行してきました。PC上での定型・定常的な業務やAI等の最新技術に関連する業務など、幅広い領域の業務があります。弊社がお客様向けに提供しているコンサルティングサービスに、直接貢献しているような業務もあります。
業務の振り分けは、個人の得意や適性、習熟度、キャリア志向を考慮しながらマッチングを行っています。およその成長目安として、入社1年後には、少なくとも複数業務ができるようになることを目指しています。
② 業務遂行・健康維持の両面をアシストする体制
弊社社員のスーパーバイザー(以下、SV)がチームの業務を取りまとめているので、業務面で困ったことがあればSVに相談することができます。また、チームメンバーとお互いに成果物を確認し合い品質の向上を図るなど、チームで業務遂行するようにしています。体調面のアシストはKaienの支援員に相談できるサポート体制を整備しています。サテライトはKaienの支援員の方々と弊社メンバーのみでワンフロアを利用しているので、必要な時に随時相談することが可能です。
就労場所は、現在はオフィス勤務を中心としています。就業時間については、週30時間の短時間勤務からスタートすることも可能で、入社後にサポートを受けながら段階的にフルタイム就労を目指していきます。
③小さなステップで確実に成長を遂げる仕組み
小さなステップで少しずつ業務の難易度や専門性を高めながら、一つひとつの業務の習熟度を高める仕組みがあります。「業務時間」や「ミスの数」などを可視化し、成長を実感できるだけではなく、定量的に自身の成長を把握することもできます。また、長期的なキャリアのステップの整備も進めています。例えば、リーダー志向のある社員は自身の業務だけではなく、チーム管理などより高い役割を担っています。また、評価に応じて昇給・昇格も可能ですし、正社員として活躍している社員の実績も多数ありますので、自身の成長と長期的なキャリアの実現を目指すことが可能です。
■ オフィス勤務を希望しているメンバーが増えているとのことですが、それはどのような理由からでしょうか?
深澤様)コロナ禍になり、2020年3月以降、全員が在宅勤務をしていましたが、現在はほとんどの社員がオフィス勤務に戻ってきました。オフィス勤務をする一番の理由は一緒に働く仲間との対面での交流にあると考えています。実際にオフィス勤務をしてみると出社を希望する人が増えました。オフィスには障がいについて理解のあるSVやKaien支援員の方々がおりますし、他のメンバーにも遠慮なくオープンに障がいについての困りごとを話すことができます。また、チームで一緒に業務を進める機会も多いので、孤独を感じることがなく、チームの一員であることを感じながら安心して業務に集中して働くことができます。
■ サテライト設立時から現在で変わらない点と変わった点があれば教えてください。
千代崎様)設立当初から変わっていないサテライトの職場づくりに対する想いがあります。それは、精神・発達障がい*のある社員は適切なサポート環境の整備をしていけば、自身の能力を発揮して活躍できるという想いです。これまでのサテライトでの実践を通じて、今は確信に至っています。
変わった点ももちろんあります。例えば職場づくりの観点では、より高い成果・成長を目指すカルチャーの醸成や一人ひとりの意識・行動変容にシフトしています。サテライトの急拡大にあたり、組織発展として一般的にチャレンジングとされている「30人・50人・100人の壁」をそれぞれ乗り越えてきましたが、難所の乗り越え方として、ハード面からソフト面の変革に重点が移っています。具体的に、最近の施策事例を3つご紹介します。
1つ目は、サテライトのパーパス策定です。弊社のグローバル全体で共有しているパーパスをベースにサテライト社員の意見を取り入れて、自分たちのワクワクを掻き立てるような世界観として「テクノロジーと一人ひとりの創意工夫で事業に貢献し、世界中のニューロダイバーシティの組織・個人の可能性を拓く」としました。策定の後には、サテライト全体だけではなく、社員が自らチームや自身のパーパスを策定するようなことが起き、組織づくりについて当事者意識が芽生えてきています。
2つ目は、多面的な仕事観の涵養です。仕事においては自身の作業成果だけではなく、その先に事業への貢献や社会への貢献がありますので、その観点も持てるような取り組みを行っています。合わせて、コンプライアンスやセキュリティルールの遵守を日々当たり前に行うことで、成熟したビジネスパーソンとしての倫理・価値観を育んでいます。
3つ目は、感謝や思いやりに溢れるチームづくりです。過去の不安や不満が占めていた時には気が付かなかったけれども、感謝のコミュニケーションを増やすことによって、今、自分が得ているものに気付くことができるようになりました。また、発言のベクトルが内向きではなく外に向かうようになったことで、一緒に働く仲間へのコンパッション(思いやり)も増えてきたように感じます。このことはチームとしてより高い成果を出すことにつながるとともに、さらには社員一人ひとりが仲間とともに充実した職業人生を歩んでいくことにつながるのではないかと考えています。
■ 日頃、メンバーと直接業務のやり取りをしているSVの目から見て、サテライトでは現在、どのような方が活躍されているのでしょうか。
深澤様)本当に多くのメンバーが活躍しているのですが、ここでは2名をご紹介します。
一人目はAさんです。入社当時は時短勤務でしたが、SVやKaien支援員のサポートそして自分のキャリア目標に向けた努力の結果、現在では8時間フルタイムでの安定した勤務を続けています。業務面でも自分の目標に向かって挑戦する姿勢と諦めない気持ちを原動力にしてスキルを磨き、今ではチーム内の複数業務を管理するリーダーに成長しています。またメンバーの育成にも非常に大きく貢献しており、チーム内のみならずサテライト全体の社員やSVからの信頼を集めています。
二人目はBさんです。入社直後の頃は、控えめな性格と緊張とが重なり、自分の意見を発信することも業務の不明点について質問することもできない状態でした。クライアントへの請求書作成という1つの定型業務がアサインされ、最初はミスが目立ちましたが何度も業務マニュアルを読み込んだり、フィードバックを受けたり、自分のミスを分析したりすることにより、この業務を習得しました。一見地味に感じますが、このような努力を積み重ねることによって業務を習得するコツと自分の業務への自信を身に付け、今では10種類の業務に対応できるまでに成長しました。アクセンチュアは、みなさんに職場を「成長の場」としても捉えていただきたいと思っており、それぞれの個性や志向にあった成長をサポートしています。
■ 最後に応募を検討されている方へメッセージをお願いします。
千代崎様)特にパーパスへの共感と成長マインドのある方に、ぜひご応募いただければと考えています。これまでのサテライトの実践から、日々の業務に真剣に取り組み、業務を通じて少しずつでも成長し続けている社員は活躍しています。例えば、過去に就業経験がなくても、入社後の業務経験の中でSVや周囲の仲間のフィードバックを受けながら、自身の業務を改善している社員は業務遂行力を飛躍的に伸ばしています。まだまだ我々の活動も始まったばかりなので、皆で一つのパーパスに向けて、ご自身の成長と仲間、会社、社会への貢献を一緒に追求していきましょう。
深澤様)サテライトとしてのありたい姿は「仲間同士がお互いを尊重し、その仲間の存在や与えられた環境への感謝の心を持ち、仲間と共に成長することによりアクセンチュア全社そして社会に貢献し続ける組織」です。まだ道半ばですがサテライト設立後、ありたい姿に着実に近付いています。
取材協力:
アクセンチュア株式会社 人事本部 マネジャー 千代崎様
アクセンチュア株式会社 人事本部 深澤様
*発達障がいは現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます
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