障害認定を受けるには障害者手帳が必要?等級や申請方法、受けられる支援を解説

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障害認定は障害者手帳の取得が絶対条件と考えている人も多いのではないでしょうか。実は障害認定は障害者手帳の取得だけでなく、障害年金や障害支援区分の認定調査などでも認定され、それぞれの認定基準や申請方法も異なります。いずれにせよ、障害認定を受けるメリットは多いため、概要を理解していくことが大切です。

本記事では障害認定を受ける方法の中から、障害者手帳の取得によるメリットや申請方法について解説します。また、障害認定により受けられる支援サービスについても紹介していますので、参考にしてください。

障害認定とは

障害認定とは障害者手帳や障害年金、障害支援区分の認定調査など、それぞれ定められた認定基準を満たした人が受けられます。判定により障害の程度が軽度と判断された場合には、再認定となるケースもあります。また、申請すればすべての人が障害認定されるというわけでもありません。

障害者手帳の場合、種類にもよりますが等級に分類されており、区分によって支給される金額やサービス内容なども異なります。

障害者手帳の種類と申請方法

障害者手帳は3つの種類に分けられます。ここでは各手帳ごとに、対象疾病や等級、申請方法を解説します。障害者手帳の種類によって基準が細かに定められているため、一つひと違いを確認していきましょう。

身体障害者手帳

身体障害者手帳は身体の機能に障害があると認められた人に交付される手帳です。障害分類は視覚障害や聴覚・平衡機能障害など11項目あります。

等級は1〜7級に区分され、1級が最も重度で7級に近くなるほど低度となります。手帳の取得のためには、7級の障害のみでは対象とならないので注意が必要です。ただし、7級の障害が2つ以上あると判断されると等級の昇格もあり得ます。

身体障害者手帳の申請から交付までの流れは以下の通りです。

①必要書類の準備
住んでいる市区町村の福祉事務所か市役所の窓口にて、「申請書」と「所定の診断書・意見書様式」を受け取る。

②診断書作成
都道府県が指定した指定医に診断書(意見書)を作成してもらう。

③申請
窓口に申請書と診断書(意見書)、本人写真を提出する。

④判定と交付
判定後、市区町村の窓口で手帳を受け取る。

精神障害者保健福祉手帳

精神障害者保健福祉手帳は、一定程度の精神障害であると障害認定された人に交付される手帳です。対象疾患は統合失調症やうつ病などの気分障害、発達障害*などが該当します。等級は1〜3級に区分され、1級が最も重度となります。

精神障害者保健福祉手帳の申請から交付までの流れは以下の通りです。

①医師の診断を受ける
手帳の申請は初診から6ヶ月以上経過した日以後の診断書が必要。まずは医師の診断を受け、精神障害者保健福祉手帳を取得したい旨を主治医に伝えておく。

②診断書作成
住んでいる市区町村の窓口にて、「申請書」「所定の診断書様式」を受け取った後、主治医に診断書を作成してもらう。

③申請
窓口に申請書と診断書、本人写真などの必要書類を提出する。

④審査
申請後、約2~3ヶ月で審査結果の通知がくる。

⑤交付
市区町村の窓口で手帳を受け取る。

療育手帳

療育手帳は知的障害であると判定された人に交付される手帳です。障害区分は知的障害のみで判定機関は年齢によって異なり、18歳未満は児童相談所、18歳以上は知的障害者更生相談所で判定されます。

厚生労働省の判定基準では重度(A判定)とそれ以外(B判定/B1・B2)に区分されます。この判定基準は自治体によっては細分化される場合もあるので注意が必要です。

療育手帳の申請から交付までの流れは以下の通りです。

①申請
市区町村の福祉事務所や障害福祉担当窓口などで、療育手帳の申請をする。

②判定
自治体担当者が障害福祉相談所へ書類を送付する。

③審査
判定後、電話や書面により結果の通知がくる。

④交付
市町村の窓口や郵送などで療育手帳を受け取る。

発達障害でも障害認定を受けられる?

発達障害でも障害認定を受けられますが、障害者手帳の場合、発達障害専用の手帳というものはありません。発達障害の方が取得できる可能性のある障害者手帳は、精神障害者保健福祉手帳と療育手帳です。

2010年に障害者自立支援法が改正され、精神障害者の中に発達障害も含まれるようになりました。厚生労働省の精神障害者保健福祉手帳の障害区分では、発達障害が明記されており、判定基準をクリアしていれば手帳の交付が可能です。

また、療育手帳も対象の障害区分は知的障害ですが、知的障害を伴う発達障害の方であれば手帳交付の対象となります。

障害者手帳の障害認定を受けるメリット

障害認定を受けて障害者手帳を取得すると、大きく分けて金銭面と就労面でのメリットがあります。ここでは、それぞれのメリットを詳しく解説します。なお、一部、注意点も記載しているのでしっかりと確認しておきましょう。

障害認定により受けられる金銭的メリット

障害認定を受けて障害者手帳を取得すると、医療費の助成や税金の減免、割引サービスなどが受けられます。まず、医療費の助成では自立支援医療費制度や、重度障害者・高齢重度障害者医療費助成制度の対象となり、所得に応じて変動はありますが最大で1割程度の負担額にすることが可能です。

また、条件に合わせて税金の減免も可能で、所得税と住民税が控除されます。控除額は区分や条件によっても変わるため、詳しい金額は「障害者手帳とは?取得するメリットや申請方法、受けられる支援などを解説」で確認してください。

加えて割引サービスが充実しているのも魅力で、公共交通機関や水道料金、公共施設の入館料などが手帳の提示により通常よりも安く利用できるようになります。

障害認定により受けられる就労のメリット

障害者手帳を取得すると、障害者雇用での就労も可能となります。障害者雇用は一般の応募枠とは異なり、入社後に障害の程度に合わせた配慮を受けられる可能性が高くなるのが特徴です。

また、障害者雇用の求人を多く持っている就労サービスの利用により、自分の可能性を広げる手助けとなるのも大きなメリットでしょう。

注意点は、精神障害者保健福祉手帳と療育手帳は更新が必要な点です。精神障害者保健福祉手帳は2年間、療育手帳は18歳以上の場合は約10年となります。更新の際は障害認定を受けた際と同様に、申請や必要書類を準備するのに時間がかかりますので、事前に準備しておくと安心です。

障害者の就労をサポートする就労移行支援とは

就労移行支援とは障害者総合支援法で規定されている障害福祉サービスの一つです。主に、「職業訓練」「就活支援」「定着支援」を行っています。自分に合った仕事内容を職業訓練で見つけ、困りごとに対処するためのスキルの習得や就活サポートなどを通し、就労を目指します。定着支援では、入社後に様々な内容の相談に乗り不安を和らげるなどの手厚い支援が充実しているのも特徴です。

就労移行支援は障害者手帳がなくても利用できます。障害福祉サービス受給者証を取得すれば誰でも利用できるため、障害者手帳の取得が難しいグレーゾーンの人でも安心です。

就労移行支援は全国各地に事業所を設けており、支援内容や得意分野はそれぞれ異なります。利用の際は、雰囲気や習得できるスキルなど、自分の希望とマッチしているかどうかを考えながら選ぶようにしましょう。

Kaienの就労移行支援

Kaienでも就労移行支援を行っており、過去10年で約2,000人と高い就職実績を誇っています。就職率が86%と高いだけでなく、離職率が9%と低いのも魅力です。Kaienの主な支援内容は以下の通りです。

  • 職業訓練
  • 独自のカリキュラム
  • 豊富な求人を扱う就活サポート
  • 定着支援

職業訓練では、経理や人事などのデスクワークや軽作業など、100職種以上の実践的な訓練を行っています。中にはプログラミングやデザインなど専門スキルを伸ばす訓練もあり、豊富な選択肢の中から自分にあった職業を見つけることが可能です。また、実践的な訓練だけでなく、ライフスキルや就活講座などKaien独自のカリキュラムも組み込まれており、自己分析する場も提供しています。

また、豊富な求人があるのも強みで、発達障害や精神障害に理解のある200社以上もの企業の求人から選べます。障害者雇用での求人やKaienしか扱っていない独自求人も多いため、自分のスキルに合った求人に応募でき、選択の幅が広げられるのも魅力です。就職後の定着支援も充実しており、生活上や業務での問題や困っていることへのサポートも行っています。

障害認定により受けられる支援制度を上手く活用しよう

障害認定によって障害者手帳を取得できれば、金銭面や就労面など様々なメリットがあります。もちろん、障害者手帳の取得には障害区分に合わせて申請や認定などのステップが多く、取得は簡単ではありません。また場合によっては、障害認定の対象外となり障害者手帳がもらえない場合もあるということも覚えておきましょう。

しかし、障害者手帳がない場合でも、障害福祉サービス受給者証があれば、就労移行支援サービスの利用が可能です。中でも、高い就職実績を持つKaienの就労移行支援では、自分に合った就職が望めます。このように、障害認定により受けられる様々な支援制度を活用し、生活の充実を図ってみてはいかがでしょうか。

*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます


監修者コメント

精神障害者保健福祉手帳(以下「手帳」)は、就労継続支援(A型、B型)や就労移行支援の利用、および障害者枠での就労に利用できます。厳密には障害者枠での就労以外は、「障害福祉サービス受給者証」があれば利用できるのですが、コラム本文にあったように手帳には所得税・住民税の控除や、併せて申請すれば自立支援医療を受給できるなど、多くのメリットがあります。実際、私のクリニックで拝見している患者さんの多くは、長期の受診になると手帳の発行を希望されます。

手帳を作ると2年ごとに更新が必要な点や、精神病圏(統合失調症、(躁)うつ病、発達障害)でない疾患については、「重度かつ継続に関する意見書」(東京都では別紙になっています)が必要になるなど、やや複雑なシステムですので最初は分かりにくいと思います。ご不明な点はスタッフ、主治医、あるいは自治体職員にお聞きになると良いでしょう。


監修:中川 潤(医師)

東京医科歯科大学医学部卒。同大学院修了。博士(医学)。
東京・杉並区に「こころテラス・公園前クリニック」を開設し、中学生から成人まで診療している。
発達障害(ASD、ADHD)の診断・治療・支援に力を入れ、外国出身者の発達障害の診療にも英語で対応している。
社会システムにより精神障害の概念が変わることに興味を持ち、社会学・経済学・宗教史を研究し、診療に実践している。