大学を留年すると就活で不利になる?就活への影響とポイントを解説

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大学を留年した場合や留年しそうな場合、「留年は就活で不利になるの?」と不安を抱くこともあるのではないでしょうか。この記事では、大学で留年すると就活に不利になるかどうかについて解説します。

また、就活で留年がマイナスに受け取られやすいケースや、留年をしても就活をスムーズに進められるポイントについても詳しく解説します。留年で就活に不安がある方は、就活をうまく進めるためにも、ぜひ最後まで目を通してみて下さい。

留年と発達障害の関係

留年の就活への影響について触れる前に、留年と発達障害*との関係について解説します。留年に発達障害が関係している場合には、就労支援の福祉サービスを受けられる可能性もあるため、就活前に把握しておくことがおすすめです。

まずは留年の理由と発達障害の特性との関係を見てみましょう。

大学を留年する理由には、下記のようなものが挙げられます。

  • 授業についていけなかったから
  • 教職員や友人たちとの人間関係がうまくいかなかったから
  • 事故や病気、体調不良で授業に参加できなかったから
  • 部活やサークル、バイトに熱中してしまったから
  • 留学をしていたから
  • 就活をやり直したかったから

上記のような理由には、発達障害の特性が関わっているものも少なくありません。

例えば、発達障害では、下記のような特性から「授業についていけない」といったことがよく起こります。

  • 時間割を自分で組めないため、履修登録ができない
  • スケジュール管理が苦手で、レポート提出や試験対策が遅れてしまう
  • レポートの〆切や試験日など大事なことを忘れてしまう
  • 文字の読み書きに時間がかかってしまうことがある

その他でも、発達障害では、人の気持ちを推し測ったり共感したりすることができないという特性があり、人間関係がうまくいかないことも少なくありません。

また、気分の浮き沈みが激しく、体調不良となりやすいのも発達障害の特性の1つです。さらには、こだわりが強く興味のあることに没頭する特性もあることから、部活やサークル、バイトに熱中するあまり、単位を取り損ねて留年することもあるでしょう。

大学生活において、発達障害の特性からくる生きづらさや学びづらさがあるにもかかわらず、気づきや介入がない場合には、不登校から休学や留年、さらには中退につながることもあります。

留年に関する相談先

留年をしてしまった、あるいは、留年しそうといった場合の相談先には、次のようなものがあります。

  • 学生支援センター・学生相談室
  • 保健管理センター
  • 障害学生支援室
  • 医療機関

学生支援センター・学生相談室は、大学に設置されている学生生活全般について相談できる相談窓口です。学生生活における学業のほか人間関係や進路など、あらゆる悩みの相談が可能です。

保健管理センターは、病気やケガなどについて相談ができる大学に設置されているセンターです。身体的な病気やケガのほか、精神面の不安や悩みといった相談もできます。

また、大学によっては障害学生支援室を設置している大学もあります。障害学生支援室とは、

障害のある学生が、他の学生と同じように修学や学校生活が進められるように学内外連携して支援調整を行う部門です。発達障害で支援が必要な場合は、相談すると障害の特性に寄り添ったサポートをしてもらえます。

継続的に治療が必要になった場合や、発達障害などで生きづらさや学びづらさを感じている場合は、医療機関に相談するようにしましょう。

留年することによる就活への影響はある?

大学を留年したということだけで、就職できなくなったり、就職に不利に働いたりするといったことはありません。企業の求める人物像と合致すれば就職はできるため、留年をしていても、実際に就職に成功している人は数多くいます。

留年が就職に不利に働くかどうかは、留年の理由や留年した事実の伝え方によるといえるでしょう。

例えば、留学や資格取得など見識を磨くために留年したなど、前向きな理由での留年の場合には、就活でプラスに評価されることも少なくありません。また、留年後の過ごし方で大きな学びがあった場合などでも、ポジティブにとらえてもらえることもあります。

反対に、単に怠惰で授業をさぼって留年した場合などは、採用しても仕事をさぼるのではないかと警戒され、マイナスに評価されてしまうでしょう。

留年の理由やその伝え方次第で、留年はプラスにもマイナスにも働くといえます。

留年をしている場合は、就活で留年の理由について聞かれる可能性が高いため、マイナスの印象を与えないよう、事前にしっかりと対策をしておくことが大切です。

就活で留年がマイナスに受け取られやすいケース

就活で留年がマイナスに受け取られやすいケースにはどんなものがあるか具体的に挙げると、主に次の3つです。

  • 留年の原因や理由を説明できない
  • 同じ理由で留年を重ねている
  • 留年を周りのせいにしている

詳しくは次の通りです。

留年の原因や理由を説明できない

留年の原因や理由を具体的に説明できない場合、マイナスの評価を受けやすいといえるでしょう。

なぜなら、自分の行動を振り返って分析することができずに、同じ失敗を繰り返すのではないかと見なされてしまうからです。

社会人になって仕事をしていく上では、自分の行動を振り返り、分析し、改善していくことが必要になります。当初の計画通りにいかなかった場合には、その原因と理由を突き止め、同じ失敗を繰り返さないように改善に働きかけなければなりません。

同じ失敗を繰り返す人材と思われないためにも、留年の原因や理由を掘り下げて考え、具体的に伝えられるように準備しておくことがおすすめです。

同じ理由で留年を重ねている

同じ理由で留年を重ねている場合も、マイナスの評価を受けやすい傾向です。

毎年単位があと少し足りない、アルバイトをしすぎてまた留年したなど、同じ理由で留年を繰り返すと、失敗から学習をしていないという印象を与えます。仕事においても学習をすることなく失敗を繰り返すのではと、ネガティブにとらえられかねません。

留年した理由や原因を分析するだけでなく、改善に向けて行動する姿勢が重要といえるでしょう。例えば、留年の原因を踏まえて、卒業に向けた具体的な改善策を考え、実行するといったことが必要です。

留年を周りのせいにしている

留年を周りのせいにしている場合も、就活でマイナスの評価を受けやすいといえます。

「教授が厳しすぎて単位が取れなかった」「店長がバイトを休ませてくれなかった」など留年を他人のせいにしていると、仕事においてもミスを他人のせいにするのではと警戒されかねません。

留年を他人のせいにする人は、自分の行動に責任をもって動けないほか、チームワークの仕事で自分のミスを他人に押し付けかねないとの悪い印象を与えてしまうでしょう。

留年をしたのは自分自身であるため、原因はあくまで自分にあるとして、原因分析をしておくことが大切です。

留年した方が就活を進めていく上でのポイント

留年した方が就活をスムーズに進めていくためのポイントは次の3つです。

  • 留年について正直に伝える
  • 留年から得た学びや成果を伝える
  • 病気や体調面が理由の場合は現状や入社後の対策についても伝える

詳しくは次の通りです。

留年について正直に伝える

留年については、留年したことも留年した理由も、正直に伝えるようにしましょう。

採用面接では、上手に嘘をついたつもりでも、多くの学生を面接してきた面接官には見抜かれてしまいます。嘘が発覚すると企業に悪い印象を与えてしまいます。

また、留年したことを正直に伝えないと経歴詐称になり、内定取り消しや解雇の対象になる可能性もあります。

留年については嘘をつかずに、正直に伝えることが、採用までの過程においても、その企業で働くためにも賢明といえるでしょう。

留年から得た学びや成果を伝える

留年をマイナスととらえずに、留年から得た学びや成果を前向きに伝えることが、就活を成功させるためにも大切です。

大学生にとって留年は大きなダメージで、同期から大きく出遅れた印象を持つかもしれません。しかし、社会人になると数年といった差は、それほど大きな差ではなくなります。経歴や年齢よりも、仕事の成果自体が問われることが多いため、その後のがんばりや実力次第で挽回は可能です。

ネガティブにとらえずに前向きにとらえることで、失敗に負けない人、失敗から多くを学び次に活かせる人だといういい印象を与えることも可能です。留年をポジティブにとらえ、留年から得たことを積極的に伝えるようにしましょう。

病気や体調面が理由の場合は現状や入社後の対策についても伝える

病気や体調面が理由で留年をした場合には、現状や入社後の体調管理などについて伝えるようにしましょう。

病気や体調不良による留年はやむを得ないことととらえられ、マイナスに評価されることはほぼありません。しかし、採用側では、その求職者が入社後にしっかりと働けるのかどうか不安に思うことがあります。

そのため、求職者は、現在の体調がどうであるか、また、入社後にはどのように体調管理をしていくことを想定してるのかを伝えましょう。

求職者本人が、就業に向けて積極的に体調管理に取り組む姿勢を持っていると、企業側も安心して良い評価をすることができるといえます。

なお、留年時に休学をするケースもあるでしょう。その際は、自立訓練(生活訓練)を利用することで、休学中も生活能力の維持・向上を目指していくことができます。

自立訓練(生活訓練)について詳しくは、「自立訓練(生活訓練)とは?就労移行支援との違いや併用についても解説」の記事も参照して下さい。

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留年をポジティブにとらえてみよう

留年は、それ自体が就活に不利に働くわけではありません。留年のとらえ方や伝え方によってはプラスに評価されることもあります。

そのため、留年をネガティブにとらえず、ポジティブにとらえることが大切です。就活では、留年から得た学びや成果を前向きに伝えることが、成功の秘訣といえるでしょう。

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*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます。