時間の逆算ができないのは発達障害のせい?遅刻しやすい理由と対策を解説

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時間の逆算ができないために、遅刻や納期に間に合わないといったことを繰り返している人もいるのではないでしょうか。時間の逆算ができないのは発達障害*のせいである可能性があります。

以下では、時間の逆算ができないことと発達障害との関係について解説します。また遅刻しやすい理由と遅刻しないための対策についても紹介します。時間の逆算ができずにお困りの場合は、ぜひ最後まで目を通してみて下さい。

時間が逆算できないことと発達障害の関係とは?

発達障害の中には、注意欠如多動症(ADHD)など、時間の管理を苦手とするタイプの発達障害があります。

発達障害で、特に時間の逆算や時間の管理ができずに困りごとを抱える傾向があるのは次の2つのタイプです。

  • 注意欠如多動症(ADHD):絶えず動き回り紛失やミスを繰り返すなど、多動性や不注意といった特性を持つ発達障害
  • 自閉スペクトラム症(ASD):強いこだわりがあり、人と関わることが苦手な特性を持つ発達障害

ADHDの場合、物事の優先順位をつけて整理するのが苦手な上、目前のことに集中しすぎて時間など他のことを忘れることが多いため、時間を逆算して準備することが難しいといえます。また、ADHDで不注意性が強い人の場合、約束したことや予定したスケジュール自体を忘れてしまうことも少なくありません。

ADHDの人は逆算をするしないを別にして、段取り良くいかずに仕事や生活に影響が出ている可能性があります。

一方ASDの場合も、気になることに集中しすぎて時間を忘れてしまう傾向があるため、時間を守れない傾向があるといえるでしょう。ただし、ASDでは時間の逆算ができなくてもコツコツと職人的に作業を進められるため、問題が目立たないこともあります。

なお、ASDもそうですが、学習障害(LD)などの他の発達障害でも、ADHDの特性を併せ持つケースが少なくありません。そのため、多くの発達障害の人に、時間の逆算が苦手といった傾向があるといえます。

発達障害・ADHDの人が遅刻してしまう5つの理由

発達障害・ADHDの人が遅刻してしまうのは、その特性からといえます。特に次の5つの理由から遅刻してしまう傾向があります。

  • 朝起きられない
  • 予定を忘れてしまう
  • 目的地までの計画が苦手
  • 先延ばしをしてしまう
  • 別のことに集中過ぎてしまう

詳しくは次の通りです。

朝起きられない

ADHDなどの発達障害では、朝起きられないという特性を持つことから、遅刻をしてしまうこともあります。

ADHDなど発達障害の場合、睡眠障害を併発しているケースが少なくありません。睡眠障害で朝起きれなくなることがよくあります。またADHDの場合、過集中で夜更かしをしてしまうことも多く、そのため、朝起きれずに、遅刻をすることも少なくありません。

予定を忘れてしまう

ADHDなどの発達障害では、予定していたタスクやスケジュールをうっかり忘れてしまうといった特性があり、遅刻が多くなる傾向があります。

ADHDなどの場合、不注意性という特性があり、予定されていたことや頼まれていたことを、すっかり忘れてしまうといったことがよくあります。後からその予定や頼まれごとを思い出すことがあるものの、その時には、時間的に間に合わなくなっていることが少なくありません。その結果遅刻をしてしまうことが多くあります。

目的地までの計画が苦手

ADHDなどの発達障害では、目的地に到着するための計画を立てることが苦手で、目的地にうまくたどり着けないといった特性も見られます。このため予定通りに目的地に到着できずに遅刻するといったことがよくあります。

ADHDなどの場合、衝動性という特性があり、目的地については「とにかく着けばいい」と大雑把に捉え、ルートやかかる時間について確認せずに行動しがちです。

また、不注意という特性もあることから、そもそも目的地を勘違いしていたり、乗り換えを間違えたりして、なかなか目的地にたどり着かずに遅刻するといったことが少なくありません。

先延ばしをしてしまう

ADHDなどの発達障害の場合、約束していた予定でも、つい先延ばしにし、遅刻をしてしまう傾向があります。

ADHDなどの発達障害では、衝動性という特性から、気の進まないことを後回しにし、気になることを優先して行動する傾向があります。そのため、気の進まないことがどんどん先送りとなり、間に合わなくなることが少なくありません。

別のことに集中過ぎてしまう

ADHDなどの発達障害の場合、別のことに集中しすぎて、時間のことを忘れ、遅刻するケースが少なくありません。

ADHDなどの発達障害では、目前のことや興味のあることに没頭してしまい、他のことに注意が一切回らなくなるという過集中の状態になることが少なくありません。

過集中になると、時間の逆算はもとより時間のこと自体を忘れてしまいます。そのため、遅刻するといったことがよく起きます。

発達障害・ADHDの人の遅刻対策7選

発達障害・ADHDの人が遅刻を避けるための対策について、7つ紹介します。

  • 規則正しい生活を送る
  • 日常的な行動にかかる時間を把握する
  • アラームを設定する
  • リマインドしてもらう・リマインドの仕組みを作る
  • 遅刻しづらい時間に予定を入れる
  • 前日までに時間や持ち物を確認する
  • 前倒しで行動する

詳しくは次の通りです。

規則正しい生活を送る

規則正しい生活を送ることも、遅刻を防ぐことに役立ちます。

ADHDなどでは、集中しすぎて夜ふかしをしてしまって朝寝坊し、遅刻するケースも少なくありません。

こうした場合、起床時間と就寝時間を決め、それを守るように行動し、夜ふかしを避けるようにしましょう。夜ふかしを避けることで、朝寝坊を防ぐことができ、遅刻を減らすことにつながります。

日常的な行動にかかる時間を把握する

日常的な行動にかかる時間を把握することも、遅刻の軽減につながります。

例えば、食事や歯磨きなど日常的な行動にかかる時間を測定し、把握するようにしましょう。普段の行動にかかる時間について見積もれるようになると、目的地までにかかる時間や、準備にかかる時間についても、見積もれるようになります。

所要時間が見積もれるようになると、時間の逆算がしやすくなり、遅刻を減らすことに役立ちます。

アラームを設定する

遅刻を避けるためにはアラームを設定し、活用するのがよいでしょう。

例えば、過集中になってしまう場合でも、アラームを鳴らすことで、作業に区切りをつけるきっかけとすることができます。次の予定や準備に取り掛からなければならない時間について、アラームを設定しておくことで、遅刻を防ぐことができるでしょう。

また、予定を忘れてしまっている場合でも、アラームを鳴らすことで、予定を思い出すきっかけとすることができます。また、朝起きれないケースについても、アラームを活用することで、起床を促し、遅刻を防ぐことに役立つでしょう。

リマインドしてもらう・リマインドの仕組みを作る

遅刻を避けるためには、周囲の人にリマインドをしてもらうなど、リマインドの仕組みを作ることが大切です。

例えば、友人や家族に前日や当日にリマインドしてもらったり、カレンダーアプリのリマインダーなどを活用したりするなどして、予定をこまめに思い出せるようにしておきましょう。予定を忘れる傾向があっても、こまめに思い出せる仕組みがあれば、遅刻を防げます。

そのためにも予定が入ったら、すぐに友人や家族に予定を話しリマインドをお願いする、カレンダーアプリに予定を登録する、といったことを習慣づけることが大切です。

遅刻しづらい時間に予定を入れる

遅刻を防ぐには、遅刻しづらい時間に予定を入れることも役立ちます。

例えば、朝が苦手な人は朝に予定を入れないで午後にする、目的地を間違えやすい人は、通い慣れた場所での待ち合わせにする、というような工夫をするとよいでしょう。遅刻しづらい状況での約束とすることで、遅刻を防ぎやすくなります。

前日までに時間や持ち物を確認する

遅刻を防ぐには、前日までに時間や持ち物を確認しておくことも役立ちます。

ADHDなどの発達障害では、目的地までにかかる時間を確認したり、持ち物を確認したりすることのないまま行動してしまい、遅刻するケースが少なくありません。当日、想定上に時間がかかったり、忘れ物をしたりして遅刻しないためにも、前日までに時間や持ち物を確認しておくことが大切です。

前倒しで行動する

遅刻を防ぐには、前倒しで行動することもおすすめです。

目的地にたどり着けないといった理由で遅刻しがちな人は、前倒しで行動することで、想定以上に時間がかかっても時間内に到着できるようになります。また、予定が先であるほど、忘れやすくなるため、前倒しにすることで、予定を忘れて遅刻することを防げます。

さらに、予定を先延ばしてしまう傾向にある人も、前倒しで行動するように心がけることで、先延ばしによる遅刻を避けやすくなるでしょう。

時間が逆算できないとお悩みの人には自立訓練(生活訓練)や就労移行支援もおすすめ

時間の逆算ができずに遅刻や納期に間に合わないといった、生活や仕事の上でお悩みを抱えている場合には、自立訓練(生活訓練)や就労移行支援の利用がおすすめです。

自立訓練(生活訓練)とは、障害のある方が自立した生活を送れるように、生活で必要となるさまざまなスキルの向上や維持のための訓練を行う障害福祉サービスです。

自立訓練(生活訓練)は、時間を守って行動するなどの生活の基礎力を高めたい場合に役立ちます。例えば、訓練を通して、生活のリズムを整えるといった日常生活を営むのに必要なスキルの習得ができます。

自立訓練(生活訓練)の利用対象者は、地域生活を送る上で一定の訓練を必要とする65歳以下の障害者です。障害者手帳がなくとも医師の診断書があれば利用可能です。

また、就労上のお悩みを抱えている場合には、就労移行支援の活用もおすすめです。就労移行支援は、一般企業への就職を目指す障害のある方を対象に、就職に向けた支援を行う障害福祉サービスです。

何らかの障害の診断があり、就労意欲があって現在失業中の18歳から65歳の人が利用できます。就労に必要な能力の向上のための訓練の提供といった支援をしてもらえるため、遅刻や納期に遅れることなく働けるように能力を向上させていくことも可能です。

時間の逆算ができない悩みには自分の特性を踏まえた対策が重要

時間の逆算ができずに日常生活に支障があるという場合には、発達障害が関わっているケースもあります。

時間の逆算ができずに遅刻をしてしまう、納期に間に合わないといった事態を防ぐには、自分の特性を踏まえて対策を取ることが大切です。

対策にお困りの場合には、自立訓練(生活訓練)や就労移行支援の活用もおすすめです。

Kaienでは、発達障害や精神障害に理解ある企業200社以上と連携し、独自の求人紹介を行うなど就労移行支援、自立訓練(生活訓練)について豊富な経験と実績があります。

発達障害の強みを生かしたサポートが可能なため、自立訓練(生活訓練)や就労移行支援をご検討の際には、Kaienまでお気軽にご相談ください。

*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます。