就労移行支援の利用料はどれくらい?計算方法や自己負担上限額について解説

2025.1.23

就労移行支援は、職を離れている状態で利用することが多く、利用期間中はアルバイトも原則禁止されています。それだけに、利用料がどれくらいかかるのか心配する方もいるでしょう。

この記事では、就労移行支援の利用料や、無料で利用している方の割合、利用料の計算方法について解説します。また、工賃・給与の有無や昼食代・交通代の補助、利用期間など、就労移行支援についてよくある質問についても紹介しますので、参考にしてください。

就労移行支援とは?

就労移行支援は、障害のある方が一般企業への就職を目指すための、障害者総合支援法に基づく福祉サービスです。職業訓練や就職活動支援、就職後の職場定着支援などのサービスを受けられます。

就労移行支援の対象者は、以下のすべての条件を満たす方です。

  • 18歳以上65歳未満の方
  • 身体障害、知的障害、精神障害、または難病がある方(※障害者手帳がなくても医師の診断書があれば対象となる場合があります)
  • 一般企業への就職を希望し、働く可能性が見込まれる方

就労移行支援は、働きたい気持ちがあるものの、実務経験やスキルが足りないと感じている方に向いています。一般的な就職支援では得にくい障害特性に応じた専門的なサポートと、就職に直結する実践的な訓練を受けられるのがメリットです。

就労移行支援の利用料はどれくらいかかる?

利用料が気になり、就労移行支援の利用をためらう方もいるかもしれません。結論を先にいえば、多くの方は無料で利用しています。また、利用料がかかる方も負担を抑えられる仕組みとなっています。

就労移行支援の利用料がどれくらいかかるかについて解説します。

約9割の人が無料で利用している

就労移行支援の利用料は、以下の表のように、前年度の世帯収入に応じて自己負担額が設定されています。

区分世帯の収入状況収入のおおよその目安月額利用料の上限
生活保護生活保護を受けている世帯年収100万円以下0円
低所得住民税を支払っていない世帯年収300万円以下
※3人世帯で障害者基礎年金1級受給の場合
0円
一般1住民税を支払っている世帯年収670万円未満9,300円
一般2上記以外の世帯年収670万円以上3万7,200円

参考:厚生労働省「障害者の利用者負担」

約9割の方は、就労移行支援を無料で利用しているといわれています。利用料がかかる場合も、上限額以上の金額はかかりません。

1日あたりの利用料は、おおむね500円~1,200円です。就労移行支援の費用は国と自治体が9割を負担するため、利用者の自己負担額は一般的なサービスより安くなっています。

なお、就労移行支援では、就職後6ヶ月間にわたる職場定着支援(困りごとの相談や企業に対する合理的配慮の交渉支援など)も受けられます。このサービスについても、無料または上記の料金区分で利用可能です。

利用料がかかる人の条件と利用料の計算方法

利用料がかかる可能性が高い方は、前年度フルタイムで働き、年収300万円以上あった方です。または、前年度の世帯収入が年収300万円以上の場合も該当します。ここでの世帯年収は本人と配偶者のみの収入合計で、親の収入は含まれません。

利用料の具体例をみてみましょう。

【利用条件】

1日の利用料:1,000円

利用日数:20日

月額利用料:1,000円×20日=2万円

【利用料】

一般1の区分の方(年収がおおむね300万~670万円未満の方)は、上限額9,300円が適用されるため、月額利用料は9,300円です。

一般2の区分の方(年収670万円以上)は、上限額が適用されないため、実費である2万円が月額利用料となります。

なお、年収はあくまで目安ですので、どの区分に該当するか正確に確かめたい方は、地域の自治体にお問い合わせください。就労移行支援の窓口に相談してみるのも良い方法です。

利用料以外の就労移行支援に関するよくある質問

就労移行支援を活用する間は、通常、職に就いておらず収入が途絶えるため、「工賃や給料はでるのか?」「交通費を補助してもらえるのか?」といった金銭面が心配になる方もいるかもしれません。また、利用期間に制限があるのか気になる方もいるでしょう。これらの疑問について解説します。

工賃や給料は支給される?

就労移行支援は、障害のある方が一般企業で働くための制度です。そのため、就労移行支援事業所での活動は訓練や就職活動という扱いとなり、原則として工賃や給料は支給されません。

ただし、一部の事業所では、企業からの委託業務を請け負う場合があり、業務の対価として工賃が支払われることがあります。これは職業訓練のなかに生産活動が含まれるためです。しかし、例外的な活動ですので、基本的に工賃や給料は支給されないと考えておきましょう。

工賃・給与がでないために、アルバイトやパートで収入を補いたいと考える方もいるでしょうが、特別な事情がない限りできません。なぜなら、アルバイトやパートに就いている方は、職業能力が高く、特別な就職支援が必要ないとみなされるからです。

就労移行支援はアルバイト禁止は本当?バレる理由と利用できる制度も紹介

昼食代や交通費は支給される?

就労移行支援事業所での昼食代は原則として自己負担です。就労移行支援のお昼休みに昼食をとる場合は、自分で食費を負担する必要があります。

交通費も原則として自己負担です。ただし、自治体によっては補助が受けられる場合があります。

【自治体による補助の例】

  • 神奈川県横浜市:通所にかかる6ヶ月定期券代と片道運賃×通所回数の安いほうを助成
  • 大阪府大阪市:低所得者を対象に月5,000円を上限として、1ヶ月の定期代の半額相当を補助
  • 千葉県松戸市:公共交通機関利用で月1万円までの補助

交通費については、各自治体の最新情報をご確認ください。

就労移行支援利用中の生活費はどうしてる?

利用できる期間はどれくらい?

就労移行支援の利用期間は、原則として最大2年間です。利用開始から2年以内に、就職を目指して訓練や支援を受けますが、人によっては半年や1年で就職が決まり利用を終了するケースもあります。

利用期間は通算されます。例えば、1回目の利用で1年間通所して就職した後に離職し、2回目の利用を開始した場合、残りの期間は1年です。引っ越しなどの事情により事業所を変えた際も、利用期間が通算されます。

もし2年間で就職できなかった場合、市町村の審査会に合理的な理由を説明し認めてもらうと、最大1年間延長できます。例えば、「利用期間中に体調不良があった」「家庭の事情により活動に集中できなかった」「さらに活動すれば就職が見込める」などの理由がある場合、延長できる可能性があります。

就労移行支援を検討の方はKaienへご相談ください

就労移行支援は、ほとんどの方が無料で利用しています。利用料が発生する方も、月額上限があるため負担を抑えられます。あまり費用を気にせず、就労移行支援の活用を積極的に検討してみてはいかがでしょうか。

Kaienでは、発達障害*や精神障害、知的障害の方に特化した就労移行支援を行っています。障害の特性に応じた適職探しのサポートや、適性を引き出す圧倒的な質と量を誇るカリキュラムをご用意しております。

過去10年の就職者数は約2,000人で、就職率は86%(他社は54%程度)、1年後の離職率は8%(他社は20~30%程度)です。仕事が合わず転職を繰り返してきた方や、長年引きこもりに近い生活をしてきた方などがKaienの就労移行支援を利用し、自分に合った職場に就職しています。

Kaienにおいても、約9割の方が自己負担0円でご利用中ですので、お気軽にご相談ください。

*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます。

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