総務の田中です。
「Kaienでは『適性検査』は行っていますか?」先日の体験セッションで参加者の方からこんな質問を頂きました。答えは「NO」でもあり、「YES」でもあります。当社ではいわゆるペーパーテストのような診断は行いませんが、発達障害がある方のために次のようなアセスメント・適職診断の機会を設けています。
1.個別相談でのアセスメント
利用説明会に参加頂いた方に対して、これまでのご経歴を確認させて頂きながら、困り感やご興味を伺い当社の利用についてご相談頂く機会です。スタッフが一対一でお話を伺います。その方の経歴・資格といった定量的なデータだけではなく、お話しの仕方や所作、考えの特性や思考の癖・偏りなど総合的にアセスメントさせて頂いています。個別相談の時間は限られていますが、これまでの数千人のアセスメントの経験と知見を踏まえて、一人一人の長所・持ち味と苦手な点を評価し、業務ではどのような分野だと特徴が活かされやすいか、仕事をしていくうえでの懸念点など総合的なアドバイスにつなげています。
2.職業訓練でのアセスメント
当社の職業訓練は、実際の職業を模した数多くの訓練プログラムを準備しています。例えば、社員の勤怠データを分析して給与支給が適切に行われているかといった人事・労務の仕事をしたり、実際のレシートや領収書を使って起票作業をする経理の仕事をしたり、あるウェブサイトを分析して改善計画を作る営業・企画の仕事を体験したり…。プログラムの数は約数十種類にものぼります。これらのプログラムを通して、段取り力、集中力、質問・相談力、作業の正確性・スピードなど総合的な能力を知ることができます。また個人作業ではなくチームで進めるプログラムでは、チームの中でいかに振る舞うか、自分の思い通りにコントロールできない他者という存在にどう向き合い、協働していくかといった対人能力を確認することができます。
これは様々な職種を経験することで、訓練生ご自身に合う/合わない職業に気がついていただくのが目的です。もちろんご本人の気づきだけでなく私たちスタッフも、訓練生にどんな特性があり、最大限に能力を発揮していただくにはどんな職種についたら良いかをアセスメントする機会でもあります。しかしイメージ力がやや希薄な発達障害の方だからこそ、実感を伴った職業の向き・不向きを知ってもらうことは大きな意味があると考えています。更に訓練生3ヶ月に評価表をお渡しし定量的・定性的に評価しフィードバックし、ご本人が実感として得た自己評価とスタッフから見た客観的な評価を確認し、違っている場合は目標達成のために何が必要かを話し合う材料にしています。
実際に訓練生からもこんな声をよく聞きます。
- 「データ入力といった単純作業しかできないと思い込んでいたけれど、自分で調べて報告書をまとめるという業務をしてみたら良くできたし、講師からの評価も高かった。もう少し志望職種の幅を広げてみたい。」
- 「はじめは希望職種を事務作業としていたが、訓練で体験してみると細かなミスを連発したり、業務中に眠くなってしまうので辛かった。それより敬遠していたけれど体を動かしながら行う軽作業は楽しくて自分には合っていました。」
- 「一人で行うには申し分ないけれど、チームで役割分担をしながら業務を進める難しさが分かった。人と衝突することもあったからコツコツできる業務をした方が自分向きかもしれない」