総務の田中です。
就職後の給与水準は利用説明会や個別相談・体験セッションなどでも「就職先・就職率」「就職後の定着支援」と並んで良く頂く質問の一つです。訓練生は一般枠で就職される方もいらっしゃいますが、障害者枠で就職する方が大半です。障害者枠での給与は残念ながら、一般的には高い水準でないことが多いと言われています。この理由は、例えば、音声の聞き取りが苦手で電話対応が難しいというように特性に応じた配慮が必要なために職務が限られてしまう事や、障害者年金を受給し給与と合わせて生活することを前提とした賃金設定であるためです。また障害者枠で働く方の強みを活かしてより高いパフォーマンスが発揮できるような職域を開拓したり、更に強みを伸ばして職域を広げ、それに応じて段階的に職責を与えるといったキャリア形成についてまだ十分な検討がされていない、といったことも一因です。
厚生労働省の平成25年度障害者雇用実態調査の結果によると精神障害のある方の平均賃金は15.9万円と前回の平成20年調査の12.9万円に比べ約3万円のアップ。全体として増加傾向にあります。これに比べてKaien出身者の平均給与は17.8万円。全国平均も伸びていますが、当社の出身者はさらにおよそ2万円弱高いのです。また平均が高いだけではなく、人によっては、一般枠と変わらない給与を提示いただく企業もあります。これは次のような理由が挙げられると考えています。
- これまで一般枠で何とか頑張ってきた方が自分の特性にあった配慮を受けながらお仕事を続けていくことを決意し、キャリアチェンジしたため
- 能力があるのにその能力を活かした仕事に結び付けることが難しかった方がご自身の特性や適性を理解した上で就職活動をしたため
- 発達障害に理解があり、能力に応じた処遇を検討いただける企業を当社が開拓しているため
当社修了生の就職時の賃金分布(縦軸は人数)。矢印は左から、知的障害の方の全国平均賃金、精神障害の方の全国平均賃金、当社修了生の就職時の平均賃金です。当社の修了生には障害枠(知的・精神障害)で働く方と、一般枠で働く方がいらっしゃいます。 |
障害のある方を雇用するのは法律で定められた企業の社会的責務と言われています。しかし障害の有無にかかわらず、純粋に能力や職責に応じた評価をするという法律や制度の前を歩く企業が確実に存在し、増加しているという事実は、訓練生にも私たちスタッフにもとても励みになります。私たちKaienの役割は、訓練を通じて訓練生にご自身の特性(強みと弱み)に気が付いてもらい、より良い給与に結び付けられるように強みを伸ばし、弱みを薄めるお手伝いをすること、また上述したような企業を見つけ、訓練生との橋渡しをすることだと考えています。
良いお給料をもらうという事は、今現在の暮らしを立てるだけでなく、この後も不安なく生活できるという将来への安心感に繋がります。つまり長く楽しく働くことの”素”です。みんなの気になるお給料のこと。これからも折に触れて取り上げていきます。