発達障害の二次障害とは?症状と種類、予防法や支援機関を解説

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発達障害*のある方の中には、生きづらさを感じる環境で生活することにより二次障害を引き起こし、その症状に悩まされている方も少なくありません。二次障害は思春期の失敗体験や、社会に出てから不適応が起こることで発症につながるケースも多いといわれています。

本記事では、発達障害の二次障害の概要や症状、種類などについて解説し、発症を予防する方法や支援機関も併せて紹介します。ぜひ最後までお読みいただき、二次障害に関する不安の解消にお役立てください。

発達障害の二次障害とは?

発達障害の二次障害とは、発達障害の特性が起因となって併発する他の精神疾患をいいます。

ADHD(注意欠如多動症)やASD(自閉スペクトラム症)、SLD/LD(限局性学習症/学習障害)などの発達障害のある方は、その特性により日常生活や学習、仕事、人間関係などでさまざまな困りごとが起こりやすく、生きづらさを感じることが少なくありません。

発達障害の特性により周囲に上手く適応できずストレスを溜め込んだり、失敗が重なり自己肯定感が低下してしまったりすることで徐々に自尊心や物事への意欲が失われると、二次障害として不安障害やうつ病といった精神疾患を引き起こすことや、問題行動となってあらわれる場合があります。

二次障害は思春期に起こりやすい?

先天的に一定の特性のある発達障害と異なり、二次障害は発達障害により生じるさまざまな問題によって併発する後天的な精神疾患の総称です。

発達障害の特性は、周囲の理解を得られない環境だと性格や理解力、自己管理能力などに問題があると捉えられてしまうことが多々あります。生きづらさを抱えて生活せざるを得えない状態が続くと、ストレスやトラウマなどによって二次障害が引き起こされるのです。

特に思春期は勉強についていけず保護者や教師から叱られる、空気を読んだ行動・発言ができず友人から仲間外れにされるなど、特性により挫折を味わったり自信を失ったりする出来事が生じやすくなります。

ただし、思春期までは特性が性格や個性と捉えられたり、周囲のサポートによりフォローされたりする例も少なくありません。実は二次障害の発症リスクは思春期が高いと思われがちですが、実際に起こりやすいのは思春期以降のほうが多いといわれているのです。

発達障害のグレーゾーンと二次障害

グレーゾーンとは、発達障害の診断がはっきりと出ていないものの、症状や特性が当てはまる状態のことをいいます。

ASDのグレーゾーンの方は、常に相手の顔色を伺い周囲に合わせた行動をするなど、過剰に気配りをして無理に適応しようとし、生きづらさをカバーしようと努力する傾向にあります。グレーゾーンの方にとって「適度に」や「手を抜く」ことは容易ではありません。頑張りすぎてしまい慢性的なストレス状態が続いたり、過剰に気配りをしてもポイントがずれてしまい自己肯定感が低下したりすることにより、二次障害が起こりやすくなるため注意が必要です。

なお、グレーゾーンの方は社会人になり就職などで学生の頃と環境が変わってから自身の特性に気づくケースも珍しくありません。思春期は学校などルールや役割分担が明確な環境で過ごすため発達障害の特徴が出づらいこともあり、グレーゾーンの方はその特性に気づかないことがあるのです。特に人付き合いを苦手とするASDの方は、社会に出た後に二次障害を起こすことで発達障害に気づくケースも多いといわれています。

発達障害の二次障害の種類と症状

発達障害の二次障害は主に「内在化障害」と「外在化障害」に分けられます。

簡単に説明すると、内在化障害が自分自身に向けてあらわれる症状で、外在化障害は他者に向けてあらわれる症状です。

具体的な例として、内在化障害は不安障害や抑うつ、強迫性障害(強迫症)、心身症、依存症などの精神症状や、引きこもりなど自分に影響を及ぼす症状が挙げられます。外在化障害は暴力・暴言、他者への敵意や攻撃性、反抗挑戦性障害(反抗挑発症)、自傷行為、家出など他者に向けられた行動面の症状であることが特徴です。

症状のあらわれ方や度合いは個人で異なり、幼いうちから症状が見られる場合もあれば、思春期や大人になってから目立つようになるケースもあります。

発達障害と精神疾患の違い

発達障害とその他の精神障害の違いをご存知でしょうか。発達障害は先天的に、つまり生まれながらに一定の特性を持つことが特性です。一方他の精神障害は後天的に、つまり人生のある時期に発症するもので、多くは10代以降(思春期以降)に症状が出てきます。

 発達障害の特性の中には、精神障害の他の特性と見分けづらいものが多く、時に医師も発達障害を見逃してしまい、他の精神障害の診断をしているケースも見られます。医師にすら難しいときがありますので、ご本人が発達障害の特性に気づかず、うつや双極性障害のお薬を飲んでもなかなか治らないことから、発達障害の可能性を知ることも珍しくありません。

二次障害の治療法

二次障害は発達障害の特性によるストレスや生きづらさなどにより後天的に起こるため、医療機関での治療で症状の改善を試みることが可能です。なお、発達障害の特性よりも二次障害の精神疾患や身体症状が明らかに強い場合は、特性へのアプローチよりも二次障害の治療を優先します。

二次障害の治療法は、症状に応じて認知行動療法や薬物療法などが医師の診断のもと行われます。認知行動療法は物事の考え方や受け止め方といった認知に働きかける精神療法の1つです。

認知にアプローチして、柔軟な思考や行動の選択肢を持つことで心と身体を楽にし、生きやすさにつなげることができます。症状により生活面や精神面に支障が出ている場合や、問題行動があらわれている場合には、薬物療法により症状を和らげることもあります。

二次障害の治療では家族療法も重要です。医師が発達障害のある方とそのご家族の相談に乗り、家族全体で特性や二次障害への理解を深め、対処方法を試みながら症状の改善を図ることを目的としています。

発達障害の二次障害としての精神疾患

発達障害の二次障害としては、不安障害、双極性障害、うつ病、パーソナリティ障害、愛着障害などが言われることが多いでしょう。ここでは発達障害が主な症状である場合の、二次障害としての精神障害を解説していきます。

不安障害(不安症)

不安障害の主症状は文字通り不安です。不安とは漠然とした恐れの感情で、誰でも経験するものですが、はっきりした理由がないのに、あるいは理由があってもそれと不釣り合いに強く、または繰り返し起きたり、いつまでも続いたりするのが病的な不安です。不安のあらわれ方にはいろいろな形があり、それによって不安障害の下位分類がなされており、例えばパニック障害は不安障害の一種、ということになります。病気の詳細については下記サイトを参考にして下さい。

【参考】こころの情報サイト(国立精神・神経医療研究センター)―不安症リンク

発達障害との関係性

発達障害と不安障害は、非常に区別がつきにくいと言われます。両方とも日常の生活のちょっとした選択への不安、将来について見えないことについての不安、周囲の反応が読みにくく想定外の言動をされたときの不安など、多様な不安を抱えながら暮らしているというところが似ているからです。仕事場で周りの人からどのようにみられているのだろう、通勤中の電車の中で何か自分について言われているのではないかなど、仕事・雇用関係での訴えもとても似ています。

発達障害があると様々に抜け漏れやミスがあり、それへの不安が徐々に心の中で大きくなり、発達障害だけでは説明しきれないほど深刻になることはよくあります。重要なのは、診断名ではなく、自分の状況や癖を把握できるか、(お薬の服用も含めて)場面場面によって取るべき対応策を理解できているかです。

その他の考察

発達障害は生まれつきで生涯続く特性ですが、不安障害は後天的にかかった精神疾患で治癒の可能性があります。ですから発達障害の診断においては、シングルエイジ(9歳以下)から発達障害に特有な傾向が強かったかという部分に着目します。比喩を使うと、先が見えていないので不安なのが発達障害で、見えている(理性で納得できても)けれども怖いのが不安障害、と捉えると良いでしょう。

双極性障害(躁うつ/双極症)

昔は「躁うつ病」と呼ばれていましたが、現在では両極端な病状が起こるという意味の「双極性障害」と呼ばれています。双極性障害は、躁状態とうつ状態の2つの状態を持っています。躁状態は、その程度によって、軽い場合には「軽躁状態」と表現されます。 家庭や仕事に重大な支障をきたし、人生に大きな傷跡を残してしまいかねないため、入院が必要になるほどの激しい状態を「躁状態」といいます。一方明らかに気分が高揚していて、少々眠らなくても平気で、ふだんより調子がよく、仕事もはかどり、本人も周囲の人もそれほどは困らない程度の状態を「軽躁状態」といいます。また、うつ状態に加え、激しい躁状態が起こる双極性障害が「双極I型障害」、軽躁状態が起こる双極性障害は「双極II型障害」とされます。

双極性障害は、精神疾患の中でも治療法や対処法が比較的整っている病気で、薬でコントロールすれば、それまでと変わらない生活をおくることが十分に可能です。しかし放置していると、何度も躁状態とうつ状態を繰り返し、その間に人間関係、社会的信用、仕事や家庭といった人生の基盤が大きく損なわれてしまうのが、この病気の特性のひとつでもあります。

【参考】こころの情報サイト(国立精神・神経医療研究センター)ー双極性障害

発達障害との関係性

ADHD(注意欠如多動症)の方は衝動・突発性があったり、興味関心に従いすぎたりすることが特性といえます。これを日常的に繰り返すと、当然、とても良い感覚でいられるときと、非常に落ち込むとき、という山と谷を味わいやすくなります。これは双極性障害の波と似ており、ADHDの方の場合は双極性障害と何が違うかは、自分でも周囲にもわかりにくい状態です。とくに『軽躁状態を伴う双極 II 型障害』との類似性は多く、中でも女性の場合はADHDと双極性障害の特性は一層見分けにくくなります。

発達障害の人は「心や気分の容器が小さい」という特性を持つとともに、興味関心を上手にコントロールできない特性があります。例えば、不安があったらそのことを考え続けてしまう、(テレビゲームなど)自分が気になることがあったら歯止めが効かない、ショックを受けてしまったらその感情から抜け出しにくい、などなど、いわゆる切り替えが上手にできない状態です。そうすると朝起きないといけないのに起きられない、仕事のことを考えないといけないのに些細だと自分でもわかっている日常生活の不安を考えてしまう、といった状態になりやすくなります。つまりADHDの特性が日常生活で大きくなりすぎると、時として双極性障害ととらえたほうが適切であるほど特性が増長されることがあります。

「心や気分の容器が小さい」ということは、マイナスの感情だけではなく、プラスの感情にもあてはまります。つまりよいことが起きるとその感情に一気に心(注意・関心)が占められます。周囲から見るとそれはとても羨ましい日常にみえるかもしれませんが、本人としては多くの人よりも頻繁に気分の上下の激しいジェットコースターに乗るようなもので、よりアップダウンの差が大きい日常を送りやすいということだと理解することができます。 例えるならば大小のバスタブでしょう。小さなバスタブのほうが熱いお湯、冷たい水が入ってきたときに温度が変わりやすいだけではなく、水があふれやすくなります。つまり変化に弱く、変化に反応しやすいわけです。こうした状態は発達障害の、特にADHD傾向のある人や、ASDの傾向が見えにくい、あるいはある程度調整できている女性に多くみられます。と同時に躁うつ(双極性障害)II型と、こうした発達障害の特性は重なりがあります。

その他の考察

上の解説にもある通り、双極性障害はお薬が開発されており、これによって生きやすさが改善されるケースが多いとされます。このため、双極性障害のお薬が効かず、小さいときからADHD的特性がある場合は、発達障害、あるいは発達障害と双極性障害を併発していることが疑われます。いずれにしても両者の区別は簡単ではないため、双極性障害の疑いがある場合は、専門の医療機関を訪ねることをお勧めします。

うつ病

「憂うつである」「気分が落ち込んでいる」などと表現される症状を抑うつ気分といいます。抑うつ状態とは抑うつ気分が強い状態です。うつ状態という用語のほうが日常生活でよく用いられますが、精神医学では抑うつ状態という用語を用いることが多いようです。このようなうつ状態がある程度以上重症で一定期間以上続く時、うつ病と呼んでいます。

【参考】こころの情報サイト(国立精神・神経医療研究センター)―うつ病

発達障害との関係性

発達障害の人は自分の興味のあること以外は愉しめなかったり、”やる気スイッチ”が入りにくく先送り癖があったり、表情の表出が乏しくいつも生気がないように見えたり、他人との交わり方がわからない、あるいは孤立的に過ごしているので楽しみがないように周囲にも自分にも思えたりと、うつと似たような症状や状態が多く出ます。

実際、うつ病を疑って病院・クリニックに行ってみたら発達障害だったとか、うつ病の薬を飲んでもなかなか良くならないのでいろいろと調べるうちに発達障害の特性が自分によく当てはまることがわかった、という方が沢山います。発達障害に自分で気づいた方の最大のきっかけがうつに陥ったこと、という例も珍しくありません。つまり発達障害が”ベース”であり、うつはそれにより引き起こされた”現象”であるというケースです。

その他の考察

発達障害は先天的な脳機能の違いから起こります。その発達障害の特性は、年齢とともに脳が成長しても変わらない部分もあり、人によってはその特性が余り変わらずに一生の間維持されます。一方で抑うつ症状は後天的なもので、環境や出来事によって引き起こされるものです。小さいころから絶えずその特性が見えていれば、発達障害ですが、一時的にそういった状況に陥る場合は一般的な抑うつ傾向、またそれが深刻化・長期化したものがうつ病とされます。

パーソナリティ障害(パーソナリティ症)

パーソナリティ障害は、認知(ものの捉え方や考え方)や感情、衝動のコントロール、対人関係といった広い範囲のパーソナリティ機能の偏りから、対人関係や社会生活に支障をきたしてしまう精神障害です。生物学的要因に加え、両親との死別・虐待などの養育環境や発達期の辛い体験などが関係しているとされ、「性格が悪いこと」を意味するものではありません。パーソナリティ障害は、統合失調や気分障害など他の精神疾患と似た症状をしめすことが多く、鑑別が難しいと言われていますが、他疾患と比べて症状が慢性的で長期にわたり続きやすい、という特性があります。また他の精神疾患を引き起こしやすく、パーソナリティ障害と合併したほかの精神疾患が前面に出ることが多い、黒幕のような存在です。

【参考】こころの情報サイト(国立精神・神経医療研修センター)―パーソナリティ障害

発達障害との関係性

パーソナリティ障害は、発達障害と同じく文化・社会との関係性で起こる障害です。そのため時代や国、周囲の環境などに応じて適切と思われる言動が変わり、望ましいとされるパーソナリティ(人格)の範囲も変わります。つまり、同じ人格の偏りでも、重症の病気とみなされたり、目立たないものだったりします。

他者と視点や感じ方が違う、自分目線になりやすい、衝動的であるところなど、発達障害と同じような特性がいくつも並び、実際現場では見極めが難しいケースも見られます。発達障害の方は小さいころにいじめを受けたり、大人になってからも就職や人間関係でうまくいかず、社会や他者を憎んだり、悲観的になったりと、社会に適応しづらい認知・思想に傾く危険性があるともいえます。自分を守るためなのだと思いますが、このような状態が続くと、発達障害をベースとしながら二次障害としてのパーソナリティ障害が強く出てしまう恐れがあるでしょう。

ちなみに、見捨てられ不安や自傷行為の繰り返しなどを特性とする「境界性パーソナリティ障害」に関しては、かつて診断のブームといえる状況がありました。しかし記事監修の松澤医師の印象では、そのような方の多くで、「パーソナリティ」の問題ではなく、発達障害をベースに、対人関係上の困難に立ち向かう技術に欠けていることが症状に繋がっていると捉えたほうが良いとのことでした。「境界性パーソナリティ障害」の診断は減っているのかもしれません。

その他の考察

発達障害とパーソナリティ障害の最も大きな違いは”作為があるか無いか”です。つまり相手をコントロールしてやろう、自分が有利になろうというような作為のないことが発達障害の本質です。追い込まれたとき以外は嘘をつかないという特性も発達障害には見られます。

パーソナリティ障害の場合は他者を巻き込むという作為が強く感じられます。もちろんパーソナリティ障害が圧倒的に強くなるとそのベースに発達障害があるか見極めるのさえ困難になることが多くなりますが、作為が強い場合は発達障害よりもまずはパーソナリティ障害を疑いそちらへの対策を優先していくことが良いでしょう。その後、パーソナリティ障害が寛解していく中で、ベースとなる発達障害が見えやすくなった場合に発達障害への対応をしたほうが多くの場合は良いでしょう。

愛着障害

幼少期に親から精神的・身体的虐待などを受けることで、自分の感情や行動をうまくコントロールできなくなるのが愛着障害です。自分のことを大事に思うことができない、他者への想像力が働かないなど基本的な社会性を持つことができず、人とのコミュニケーションがいびつになるなどの症状があります。

発達障害との関係性

発達障害と似ているのは「出方」です。他人目線がとりづらく、共感がしづらく、我慢が出来づらく衝動的な行為が多く、不安が強く、というような発達障害に似たような言動が愛着障害(アダルトチルドレン)の場合でも見られるようです。また親が(発達障害を含む)何らかの苦しさを抱える人生を送っていたため、子どもに当たってしまっているというケースも考えられ、発達障害の親子の中で愛着障害が起こる可能性も否定できません。

非常に苦しい家庭環境で育った人たちは現代社会に確実におられます。虐待・ネグレクトということが判明している以外でも、親との関係が非常に希薄で連絡が取れていないケースや小さいころの思い出をまったく語ってくれない場合などは愛着障害の可能性も考えます。あるいは語ってくれたとしてもご飯は物心つくころから家族バラバラでとっていたり、文字通り箸の上げ下げでも親に激怒されただただ服従していた、というようなケースが当てはまります。このようなエピソードを持つ場合は、発達障害というよりも愛着障害の側面を注目したほうが良いのかもしれません。

実際、専門医によると、愛着障害と発達障害との見分けが最も難しいといわれます。世の中には診断のレベルまではいかないものの、親との関係がない、あるいは見えないケースは多く、アダルトチルドレン的な人は多いのかもしれません。どのあたりまでが先天的(つまり発達障害由来)で、どのあたりが後天的(つまり愛着障害的な要素)か、を念頭に置きながら接する必要があります。

その他の考察

見分けが難しい以上、似ていない部分を上げることはなかなか難しいですが、ほかの精神障害と同じく、発達障害との違いは、幼いころから特性が認められるかどうかということ。ただし愛着障害は多くの場合、幼い時期の体験に基づくため幼少期から特性が出ると思われますので、その点でも発達障害との見分けや似ていないところを福祉の現場で探すのは大変難しいです。このため愛着障害(アダルトチルドレン)に詳しい医師や臨床心理士などの見解を伺うことが重要です。

二次障害の予防と対策方法

周囲が発達障害を理解し、特性による生きづらさをそれほど感じずに過ごすことができたり、専門機関の適切な支援を受けたりできる環境であれば、二次障害の症状が深刻化せずに済むこともあります。そのため、二次障害が起こる前の予防対策が重要です。

例えば、周囲の音や光などに強い刺激を受けてしまう感覚過敏がある方の場合は、合理的配慮を求め、ストレスを感じにくい環境を整えることで症状を軽減できます。また、日頃から生活習慣を整え、意識的に適度な休息を取り入れてストレスや疲労を溜め過ぎないよう心がけることも大切です。

発達障害や二次障害の症状で少しでも困難に感じていることがあれば、早めに専門機関に相談し、適切な支援を受けましょう。

発達障害の二次障害に関する支援先や相談先

発達障害や二次障害のある方の生活や仕事に関する困りごとは、正しい理解や対策が分からないまま一人で抱え込んでしまうと症状を悪化させる恐れがあります。早めに専門機関に相談し、適切な支援を受けることが大切です。

自身の特性に適した職場を探したい場合など、就活に関するサポートを受けたい場合は就労移行支援事業所やハローワークなどの利用を検討しましょう。また、地域障害者職業センターでは職業リハビリテーションが受けられ、障害者就業・生活支援センターでは、障害がある方の職業生活のサポートが受けられます。

他にも、精神疾患についての相談などができる精神保健福祉センターや、日常生活の困りごとに関する支援が受けられる発達障害者支援センターもあります。

Kaienの就労移行支援

就労移行支援では、自身の障害の特性について理解を深め、職業訓練を通じて自身に適した職種や就労に向けたスキルの向上を目指すことができ、求人探しや就職後の定着支援など、就職・転職に関する幅広いサポートが受けられます。

職業訓練から就職活動、就職後の3年半に渡る定着支援まで一貫した支援を行うKaienの就労移行支援では、100職種を超える豊富な職業訓練が用意されており、ライフスキルやソーシャルスキルなど、障害理解や就職対策に向けた50種類以上の講座を受けられるのが特徴です。さらにKaienでは障害に理解のある企業200社以上と連携しており、障害の特性や個々の能力を活かせる求人を紹介できるのも強みとして挙げられます。

Kaienには多様な専門スキルを持つスタッフが多く、一人ひとりに担当者が付き二人三脚であなたの就労をサポートします。発達障害の方で自分に合う職場を探している場合は、ぜひお気軽にご相談ください。

Kaienの自立訓練(生活訓練)

発達障害の特性により、乱れがちな生活習慣を改善したい方や、自身の障害を見つめ直し、将来について考えたい方などは、Kaienの自立訓練(生活訓練)がおすすめです。生活リズムを整えたり、障害への理解を深めたりすることは二次障害の予防にも有効なため、自立訓練(生活訓練)により症状の深刻化を防ぐことにつながります。

Kaienの自立訓練では、自立生活や他者との関わりに必要な生活・コミュニケーションスキル、障害の特性を理解して適切な進路を選択し、将来の再設計を進めていくための知識の習得などを、実践的なカリキュラムでサポートします。担当スタッフと日々の振り返りや、困りごとなどのカウンセリングも行いながら、自立に向けた訓練が受けられるのもメリットです。

発達障害の二次障害は思春期から見逃さないことが大切

発達障害の特性の影響を受け併発する二次障害は、主に思春期に周囲に上手く適応できないストレスやトラウマなどの経験や、社会に出て不適応を起こすことで発症する精神疾患が主な症状です。

二次障害は認知行動療法や薬物療法、家族療法などの治療法で改善できる場合もありますが、発症前に予防することで、二次障害の深刻化を防ぐことができます。発達障害の二次障害に悩み苦しまずに済むよう、思春期から症状や発症サインを見逃さないことが大切です。勉強や人間関係、生活環境などで少しでも困りごとがある場合は、早めに医療機関や専門機関に相談しましょう。

*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます

監修者コメント

発達障害と二次障害に関しては本文にある通りその鑑別から対応まで非常に難しいことがありえます。二次障害として挙げられている疾患を治療する中で、どうも治療効果が出ない、もしくは一旦は寛解しても再燃を繰り返すが、そのきっかけに本人を取り巻く環境や社会活動が大きく影響しているときに発達障害の存在を気づき得た、という経験を私も含めた多くの精神科医が持っていると思います。私自身はその体験によって発達障害の方を意識して診るようになりました。

ちなみに、実は「二次障害」という呼称は日本独特で、海外ではされていません。「併存症(comorbidity)」と言うのが普通です。実際、何らかの特別な体験や理由があったわけでなく、うつ病や双極性障害、不安症を発症することもあるわけで、その場合には発達障害特性を持っていても、「二次障害」ではなく、「併存症」と言う呼称が正しいと感じます。全てがこれまでの体験や特性由来の生きづらさから発症しているわけではないことは頭に留めておく必要があります。誰かのせい、何かのせい、ではないこともあるのは強調しておきたいところです。

監修 : 松澤 大輔 (医師)

2000年千葉大学医学部卒業。2015年より新津田沼メンタルクリニックにて発達特性外来設立。
2018年より発達障害の方へのカウンセリング、地域支援者と医療者をつなぐ役割を担う目的にて株式会社ライデック設立。
2023年より千葉大子どものこころの発達教育研究センター客員教授。
現在主に発達障害の診断と治療、地域連携に力を入れている。
精神保健指定医、日本精神神経学会専門医、医学博士。


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