就活で多くの企業が実施している適性検査。自分が希望する企業に就職するためにも、適性検査との向き合い方を身につけておくことが大切です。適性検査の概要や対策方法を知り、万全の準備を整えたうえで就活に臨むとよいでしょう。
この記事では、就活の適性検査の種類や主な試験内容、適性検査の対策方法などを紹介します。障害者雇用における適性検査事情についても解説しているので、ぜひ参考にしてください。
就活で課される適性検査とは?
適性検査は、人物の性格や能力を把握する目的で行われる検査のことです。適性検査には主に性格検査と能力検査の2種類があり、就活ではどちらか、もしくは両方が応募者に課されます。
性格検査では、応募者のストレス耐性や価値観といったパーソナリティを測定します。一方、能力検査は、論理的思考能力や計算能力といった知的能力が試されるものです。企業が就活で適性検査を行うのは、応募者の価値観や能力を客観的に把握し、入社後のミスマッチを防ぐ目的があります。
適性検査の実施方法はWEBテストが主流で、受験場所には自宅や専用会場、企業のオフィス(インハウスCBT)などのパターンはさまざまです。なお、WEBテストではなく、会場でペーパーテストを受ける場合もあります。
就活の適性検査の種類
就活の適性検査には「SPI」「玉手箱」「GAB」「CAB」「TG-WEB」といった種類があります。適性検査でよい結果を残すためには、各検査の特徴を知ったうえで対策を講じることが重要です。
ここからは、就活で課される主要な適性検査の特徴や出題内容を紹介します。
SPI
SPI(Synthetic Personality Inventory)は、多くの企業で採用されている最もポピュラーな適性検査です。導入社数は1万5,000社以上で、就活に臨む際はぜひ対策しておきたい検査の一つです。
SPIの検査は「言語」「非言語」「英語」「構造的把握力」「性格適性検査」の5分野に分かれます。
言語分野で問われるのは、言葉の意味や話の内容などを理解できるかどうかです。また、非言語分野では論理的思考能力や数的処理能力などが試されます。英語と構造的把握力については、企業によっては出題されない場合もあります。
1問ごとに制限時間が設定されており、一旦回答するとやり直せないのがSPIの特徴です。
玉手箱
日本エス・エイチ・エル社が提供している適性検査の一つが玉手箱です。就活の適性検査では、SPIに次いでポピュラーな存在といえるでしょう。玉手箱では、「言語」「計数」「英語」「性格検査」の4つの分野で出題されます。
SPIのように問題ごとの制限時間は設定されておらず、全体の制限時間内なら自分の都合に応じて時間配分ができます。
また、誤謬(ごびゅう)率の測定がないことも玉手箱の特徴の一つです。間違ったとしても不利になることはないため、わからない問題も回答しておくのが賢明です。
GAB
玉手箱と同じく、GABも日本エス・エイチ・エル社が提供している適性検査の一つです。新卒総合職の適性を確かめる目的で開発されており、難易度が高いことで知られています。
GABでは、「言語理解」「計数理解」「パーソナリティ(性格適性検査)」の3つの分野で出題されます。試験範囲が広く制限時間も短めなので、早めに対策を始める姿勢が重要です。
GABの性格適性検査では、応募者のプレッシャーへの耐性や問題解決能力などを測定しており、企業はその結果から応募者の職務適性を把握できます。
CAB
CABも日本エス・エイチ・エル社が提供している適性検査で、主にIT系の企業で採用されることが多いです。SEやプログラマー、ITコンサルタントなど論理的思考力が求められる職種でニーズがある適性検査となっています。
CABでは、暗算や法則性、命令表といった非言語の分野から出題されます。馴染みのない出題形式である可能性が高いため、IT業界で働きたい方はぜひ対策しておきたい検査だといえるでしょう。
TG-WEB
TG-WEBは2,700社以上の企業が導入している適性検査です。SPIや玉手箱よりかはマイナーですが、出題に癖があってやや難易度が高い傾向にあります。TG-WEBは、「言語」「計数」「英語」の3分野と、性格適性検査から構成されます。
言語と計数は「従来型」「新型」の2つのパターンがあり、両者の対策が必要であることも難易度が高い理由の一つです。カンニングなどの不正を防止する「オンラインAI監視型」などの受検形式もあるため、注意が必要です。
適性検査の主な試験内容
適性検査の対策をするにあたって、基本的な試験内容を押さえておくことも重要なポイントです。
前述のとおり、就活で課される適性検査は大きく「能力検査」と「性格適性検査」の2種類に分けられます。ここでは、それぞれの主な試験内容について解説します。
能力検査
能力検査には「言語」「非言語」「英語」「構造的把握力」といった出題分野があります。このうち、多くの企業で採用されているのが言語と非言語の2分野です。
言語分野では、語句の用法や文章の並べ替え、長文読解などの問題が出題されます。文章の論理関係を理解する力や長文の要点を把握する力などが試されます。非言語分野で出題されるのは、計算問題や図形問題、推理問題などです。数学的な基礎知識が身についているか、論理的に考えられるかといった点を確かめる目的があります。
その他、英語では英語に関する基礎知識や読解力が、構造的把握力では図形や文章などの構造を把握する能力が問われます。問題数は受けるテストにより異なりますが、各分野10~30問程度で各20~35分の制限時間が設けられているのが一般的です。
性格適性検査
性格適性検査では、応募者のパーソナリティを把握するための設問が用意されています。
設問数は一般的に40~50問程度で、35~40分程度の制限時間が設定されている場合が多いです。問題数が多いため、時間切れにならないようスピーディに回答していくことが求められます。
性格適性検査には、企業と応募者の相性を確かめる目的があります。入社後のミスマッチを防ぐためにも、企業の求める人物像を踏まえつつ、自分を偽らずに回答することが重要です。
障害者雇用に適性検査はある?
障害のある方の場合、一般雇用と同じように、障害者雇用でも適性検査があるのか気になる方も多いでしょう。
一般企業の場合、障害者雇用での筆記試験はほとんどなく、あったとしても点数はあまり見られない場合が多いです。SPIなどのWEB適性検査が実施されることもまれにありますが、点数が合否に影響を与える可能性は低いでしょう。
一方、公務員の障害者雇用では必ず筆記試験が行われます。
なお、企業から課される適性検査ではありませんが、障害者職業センターなどでは「GATB(一般職業適性検査)」を無料で受けることができます。
GATBは自分の特徴や適職を調べられる適性検査の一種で、筆記試験と器具を操作する検査に分かれています。この検査によって、自分の能力の凸凹や適性のある職業群などの把握が可能です。
適性検査の対策方法
就活の適性検査で満足のいく結果を残すためには、効果的な対策方法を実践し、準備を万端にしておくことが大切です。対策を始めるべきタイミングや効果の上がりやすい勉強方法などを知り、自分の希望する企業に就職できる可能性を高めるとよいでしょう。
ここからは、適性検査で結果を残すために取り組みたい対策方法を5つ紹介します。
対策は早めに始める
適性検査の対策は、なるべく早めに始めることをおすすめします。就活では多くの企業が3月に情報を解禁します。情報解禁2ヶ月前の1月頃から対策を始めれば、余裕を持って取り組めるはずです。
短期集中で対策をしようと考えている場合も、2月には対策を始めておくべきでしょう。なお、企業によっては適性検査を早期に実施する場合もあります。
適性検査では限られた時間で多くの問題を解かなければならず、対策を始めるのに早すぎるということはありません。まだ先だからと後回しにするのではなく、思い立ったらすぐに始めるよう心がけましょう。
参考書やアプリを使って勉強する
適性検査は出題内容が学校のテストなどとは異なります。問題自体は簡単でも、出題形式や制限時間の短さに慣れず、思うように解答できない場合もあるでしょう。
適性検査で好成績を残すためには、とにかく問題に慣れることが重要です。まずは参考書やアプリなどで繰り返し問題を解き、適性検査の出題パターンに慣れてください。
適性検査の参考書を選ぶときは、要点や解説などが簡潔にまとめられている、わかりやすいものがおすすめです。情報量が多すぎる参考書は、繰り返し問題を解いてパターンを覚える用途にはあまり向いていません。
定番の出題項目を押さえる
適性検査の能力検査には、出題頻度の高い項目があります。参考書などで出題頻度の高い項目内容を把握したら、重点的に学習して確実に点を取れるよう対策しておきましょう。
また定番の出題項目に加えて、自分の苦手分野についても繰り返し学習して苦手を克服することも重要です。参考書やアプリなどの学習を通じて自分の苦手分野を知り、対策をとることで高得点を狙いやすくなります。
時間配分を意識する
限られた時間で多くの問題を解く必要がある適性検査では、時間配分を意識することも欠かせません。時間配分を間違えると後半の問題を解けないまま試験が終了するなど、スコアを大きく落としてしまう恐れがあります。
このような失敗を防ぐコツは、練習段階から時間配分を意識して解くことです。問題を解き始める前に、制限時間と問題数から1問あたりにかけられる時間の長さを逆算しましょう。そのうえで、時間をかけすぎている問題は飛ばして次に取り組むなどの工夫が求められます。
本番に近い環境で問題を解く
適性検査の本番で焦らないようにする方法として、本番に近い環境で練習することが挙げられます。参考書を使って紙ベースで問題を解いていると、パソコンで解答をする本番で慣れない環境に焦ってしまうかもしれません。本番がパソコンなら練習もパソコンで、本番が紙なら練習も紙で問題を解くようにしましょう。
パソコンで問題を解いてみたい方は、本番と同じように制限時間が設定されているお試しのWEBテストを受けてみることをおすすめします。就活で課されるような言語問題や非言語問題に挑戦できるので、本番前に試しておくと安心です。
就活の適性検査は早めの対策を
就活の適性検査では、学校の試験などとは異なる出題方式が採用されています。短い制限時間を有効活用して問題を解くためには、練習問題を繰り返し解いてパターンに慣れておくことが重要です。適性検査の対策は直前に行うのではなく、余裕を持って早めに始めておきましょう。
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*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます。