ガクチカの書き方を知りたい!発達障害の方向けの構成やエピソード選びのコツ

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就職活動でよく聞かれる「ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)」を考える際、書き方やエピソードの選び方で特別気を付けるべき点はあるのでしょうか?

基本的な書き方は障害の有無に関係なく同じですが、発達障害*の方の場合、障害の特性や配慮が必要な事項など、特記すべき箇所も出てきます。そこでこの記事では、ガクチカの基本的な書き方をおさらいしながら、発達障害の特性を活かしたエピソード選びや構成方法、気をつけたいポイントなどを解説していきます。

そもそもガクチカ(学生時代に力を入れたこと)とは?

ガクチカとは、企業が就活生に対してよく質問する項目として知られる「学生時代に力を入れたこと」の略称です。ガクチカの例を挙げると、サークル活動やアルバイト、インターンシップなどがあり、企業はそれらの経験から、応募者の人柄や努力の方向性などの理解を深めることができます。

逆に就活生からすれば、自分を企業にアピールできる絶好の機会になります。学生のうちはまだ仕事の実績がありませんので、ガクチカをそれに置き換えて、自分が積み重ねてきた成果や努力をアピールしましょう。

ガクチカと自己PRの違い

ガクチカと自己PRはどちらも自己アピールを目的にしていますが、アピールする部分が異なります。

ガクチカは「学生時代に力を入れた特定の経験」に焦点を当て、自分が達成した成果や成長体験などを伝えるものです。例えば「サークル活動で部長を務め、リーダーシップを発揮できるように自己研鑽を積み、好成績を残した」という感じです。

対して自己PRは「自分が持つ強み」に焦点を当てて、人材としての有用さをアピールするものです。例えば、業務上役立つスキルや経験、企業のビジョンとマッチする思考などが該当します。

企業が就活でガクチカを聞く理由

企業がガクチカを質問する一般的な理由は、応募者の行動パターンや仕事に対する姿勢などを知るためです。学生時代の経験を通じて、問題解決力やコミュニケーション力、仕事に対する価値観などの理解を深め、仕事のどのような場面で役立つ人材かを把握しようとするわけです。

例えば、サークル活動やアルバイトにおける困難を解決した経験からは、課題やトラブルに対する向き合い方や、解決に導くための論理的思考、人をまとめる力などを読み取ることができるでしょう。

ガクチカの書き方のポイント

ガクチカはポイントを押さえて書かないと起こった事実しか分からず、ただの日記のようになってしまい自分の内面部分が相手に伝わりません。ガクチカをアピールにつなげるためには、エピソードを通じて企業にあなたの強みが伝わるような工夫が必要です。

ここでは、ガクチカを効果的に書くためのポイントを紹介します。

大事なのはエピソードより強みをアピール

ガクチカで大切なのは、エピソードを時系列順に淡々と書くのではなく、アピールしたいことを強調して書くことです。企業が知りたいのは、単に学生時代にあった出来事なわけではなく、応募者が強みを発揮した場面や起こした行動などの部分なので、アピールしたい部分にボリュームを割いて具体的に書き、それ以外の部分は簡潔に書きましょう。

例えば、学園祭の企画運営に携わったエピソードを伝える場合は、限られた予算の中で出したアイデアや、チーム運営の際に発揮したリーダーシップなど、アピールしたい部分にボリュームを割くとよいでしょう。

結果よりもプロセスを重視

ガクチカでは、最終的な成果よりも応募者の内面を知ることができるプロセスの部分が重視される傾向にあります。そのため、プロセスの部分を書く際には、行動を起こした意図や、成果を達成するために必要だった努力などの部分を伝えるようにしましょう。

例えば、インターンシップでプロジェクトに参加した経験を伝える場合は、目標を達成に導いた計画や工夫、目標のために学んだスキル、行動のきっかけとなる出来事などを具体的に書くと、企業に対して強いアピールができるでしょう。

具体的にわかりやすく書く

プロセスが重視されるガクチカにおいて、プロセスの具体性は重要なポイントです。

例えばアルバイトの経験を書く場合は「接客を頑張って売り上げに貢献した」のような抽象的な表現は避けて「接客の際にお客様の要望を的確に聞き取り、商品説明を工夫した結果、売上に貢献した」のように、意図や行動が伝わる具体的な表現にしましょう。

このとき、数字や状況を具体的に記載すると、説得力が増すと共に、読み手にイメージしやすい文章になります。また、話の流れを時系列順に整理し、エピソードを理解しやすく構成することも大切です。

文章の質を高める

いかにガクチカで取り上げたエピソードが素晴らしいものでも、文法や単語の使い方の誤りや誤字脱字、冗長表現などが多いと、それだけで選考からはじかれてしまう恐れがあります。

特に発達障害の方の場合、うっかりミスによる誤字脱字や、感覚のズレにより的を得ていない文章になりがちです。記述ルールや言い回しなどが適切であるか、初歩的なミスをなくすよう見直しやブラッシュアップをしましょう。

また、書き終えた文章は第三者に読んでもらい、意図が伝わるか、文章に違和感がないかなどの項目をチェックしてもらうことも大切です。

発達障害の方がガクチカを書く前に準備しておきたいこと

ガクチカは実際に書くときよりも、書くべき要素を考えたり整理したりする段階の方が時間がかかるものです。特に発達障害の方の場合は、自分の特性に合った企業とマッチするためにも、自己分析や企業研究が重要になります。

ここでは、発達障害の方がガクチカの作成をスムーズに進めるために、あらかじめ準備しておくべきポイントを紹介します。

障害理解と自己分析

まずは自分の障害の特性を理解し、自己分析を通じて自分が強みを発揮できる場面を見極めましょう。特に発達障害においては、障害の特性によって得意なことや苦手なことに傾向があるケースが多いので、障害理解が自己理解の助けになるでしょう。

たとえば、1人で黙々と作業をするのが得意な場合は、卒業研究や資格取得に向けた勉強などのエピソードが特性を長所として伝えるために使えます。あるテーマに対するこだわりが強い場合は、そのこだわりによって成果を出したエピソードを伝えると効果的です。

企業研究

企業研究から、企業の姿勢や目指すビジョン、求める人材の特徴などを把握しておくことで、企業が重視する価値観と自分の特性にマッチしたガクチカのエピソードを選ぶことができます。

例えば、特定の分野で知識を要する企業に対しては、興味のある分野に対して高い集中力を発揮するエピソードを、また、チャレンジ精神を重視する企業に対しては、課題や問題に積極的に挑戦した経験を選ぶと効果的だと考えられます。

大切なのは、自分が企業の中で活躍できる場面をイメージできるようになることです。企業のWebサイトや採用情報をよく確認し、自分の特徴とマッチしているポイントを探しておきましょう。

内定を勝ち取るガクチカの構成方法

ガクチカでアピールポイントをしっかり伝えるためには「結論→行動→学び」の流れが基本となります。

まず「結論」の部分では、自分が達成した成果や取り組んだ内容を簡潔に伝えます。次に「行動」の部分では、成果を達成するために起こした行動や、行動を起こした理由などを具体的に書きましょう。そして最後に「学び」の部分では、上記の経験から得た成長や学びを書き、総括として締めくくります。

この流れで書くと、自分の努力や経験を生かそうとする気持ちが伝わりやすく、説得力のある構成になります。

ガクチカのエピソードがない場合の探し方

ガクチカに使えるような、明確な成果や努力を伴うエピソードが見当たらない場合は、日常生活で普段から注力していたことや、気を配っていたことにも目を向けてみましょう。

例えば、苦労した場面や自分の力で解決したことがあれば、それらもガクチカのエピソードに使えます。あくまでも大切なのは、成果や経験の規模ではなくプロセスの内容です。

まずは自己分析などを通して自分の強みを見つけると共に、特性により困難なことも強みに転換できるよう見つめ直してみましょう。その中から自分をアピールできるエピソードを探し、ガクチカに使えそうか検討してみましょう。

自分の強みを見つける方法

自分の強みは自分自身では気づきにくいものです。そこで、過去の経験から得意な分野や他者から評価された点などを見つけ、強みとなる要素を見つけていきましょう。

例えば、自己分析ツールを活用したり、友人や家族の意見を参考にしたりする方法があります。また、自分の人生において、年齢別に努力していたことや夢中だったことなどを書き出す方法も効果的です。

ある程度自分のことが整理できたら、それらの内容から「集中力が高い」「計画性がある」などの強みになる要素を探し、それを軸にしてガクチカに使えるエピソードを探していきます。

苦手は配慮事項へ

苦手な点は、見方を変えれば強みに転換できる場合があります。ここで大切になるのが「リフレーミング」という、物事を別の視点から捉え直して再評価するという考え方です。

例えば「こだわりが強く、全体像の把握が苦手」という特性は「細部のディティールに気を配った仕事ができる」と転換できますし、「思いついたことを突発的に行動してしまう」という特性は「フットワークが軽く行動力がある」と転換できます。

どうしても転換が難しい要素については、配慮事項にその旨を伝えておくのも有効です。現在は、すべての事業者に対し合理的配慮の提供が義務化されているため、配慮を求める権利があります。

具体的な配慮内容を記載し、配慮を受けることで苦手がカバーされ、業務に支障が出ないことが伝えられればマイナスな印象を与えることを避けられるでしょう。

ガクチカは添削してもらおう

完成したガクチカは、第三者にも目を通してもらうと安心です。大学のキャリアセンターやWebで受けられる添削サービスなどを活用して、誰にでも読みやすく、意図が伝わりやすい文章を目指しましょう。また、第三者と対話をすることで、自分の新たな強みが見つかる場合もあります。

発達障害の方の場合は、障害がある方の就職を支援する機関でも添削をはじめとした就活サポートが受けられます。具体的な支援機関やサポートの内容などについては、次で解説していきます。

ガクチカ添削や就活をサポートしてくれる支援機関

発達障害の方が、ガクチカの添削や就活に対するサポートを受けられる支援機関には、以下のようなものがあります。

  • 就労移行支援事業所
    障害がある方が一般就労を目指すためのサポートをする。職業訓練や就活に関する書類の準備とアドバイス、各種スキルアップ講座、求人の提供など。
  • 地域障害者職業センター
    専門的な職業リハビリテーションや職業準備支援など。
  • 障害者就業・生活支援センター
    職業生活における自立や就職に向けた準備支援、職場定着の支援など。
  • ハローワーク
    障害に関する専門知識を持ったスタッフによる書類作成支援や相談など。

これらの支援機関では、書類の作成から求人の選定まで総合的な支援を実施しています。ハローワークでは、スポットの添削サービスも行っています。

Kaienの就活支援サービス

Kaienでは、発達障害がある学生向けの就活支援として、「ガクプロ」というサービスを行っています。ガクプロでは、ガクチカを含むエントリーシートの添削や職業体験、就職活動や生活ノウハウを学べる各種セッションなどが受けられます。

また、書類作成支援や志望企業の選定支援なども行っているので、これから就職活動を始める方におすすめです。

ガクプロを利用した方の就職実績はこれまでに300人以上で、障害者雇用だけでなく一般雇用で就職した方も多くいます。また、アクセンチュアやJR東日本ステーションサービス、三井化学などの大手企業に内定した実績もあります。

他にも、Kaienでは発達障害の方に特化した就労移行支援も実施しています。100職種以上の職業体験やスキルアップ講座の受講、独自求人を含む求人紹介や就活支援、就職後の定着支援までトータルサポートできるのが強みです。

オンラインでの利用説明会や個別相談も行っていますので、興味がある方はお気軽にお問い合わせください。

ガクチカは強みを意識した書き方に

ガクチカを書く際には、自分の強みや成長を中心に据えたエピソードを意識して書き、自分の内面を企業に伝えることが大切です。

そのためにも、まずは自己理解を深め、企業の求める人物像に合わせたガクチカを作成できる要素を探していきましょう。ガクチカは自分で見直すだけでなく、第三者による添削も重要です。支援機関を活用することで、添削や就活に関するサポートが受けられるので、利用を検討してみましょう。

*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます。