ハローワークで障害者雇用を探すには?メリットや利用方法、支援内容を解説

公開: 2024.12.19更新: 2025.4.28

ハローワークは就職を希望する人を対象とした厚生労働省が運営するサービス機関で、全国に設置されており無料で利用できます。ハローワークでは障害のある方の就活支援として、専門窓口を設けて相談対応や職業評価、職業訓練、面接会などを実施しており、障害者雇用の求人も扱っています。

本記事では、障害者雇用での採用を目指す人向けに、ハローワークでの仕事探しがおすすめな理由や障害のある人向けの支援制度などについて解説します。ハローワークでの求人応募の流れや利用時の注意点も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

ハローワークに障害者雇用の求人はある?

ハローワークでは、障害がある方のために専門的な知識を有する職員や相談員を配置するなど、きめ細やかな支援体制が整えられています。障害のある方を対象とした求人の取り扱いもあり、検索や閲覧も可能です。

障害者雇用の求人をインターネットで検索する場合は、基本検索条件の「求人区分」で「障害のある方のための求人」を選択しましょう。他にも地域や職種など、希望条件を入れて絞り込み検索もできます。

障害者雇用と一般雇用の違い

障害者手帳を取得している方は、一般雇用だけでなく障害者雇用にも応募できます。

障害者雇用とは、障害がある方を対象に一般雇用とは別の雇用枠を設けて雇用することです。民間企業の場合、従業員数が40人以上の事業主は、障害のある方を1人以上雇用することが法律で義務付けられています。障害者雇用は一般雇用と比較すると、障害のある方の採用を前提としているため、障害や特性への理解や配慮を得やすい点がメリットです。実際に、障害者雇用の定着率は一般雇用よりも高くなっています。

障害者雇用の対象者や関連する制度を含め、一般雇用との違いについては、下記記事で詳しくは解説していますのでご覧ください。

障害者雇用とは?対象者や一般雇用との違い、メリットと注意点を解説

障害者雇用は非正規雇用が多い?

障害者雇用では、身体障害者以外の人については、非正規雇用が多い傾向があります。これは、一般雇用枠と比べると定着率は高いものの、企業側が求める定着率と比べると低い点が背景にあります。また、企業側がいきなり正社員としての採用に踏み切りにくい点も要因の1つといえるでしょう。

ただし、非正規でのスタートであっても、一定期間働いた後に正社員として登用されるケースは少なくありません。継続的に勤務していく中で、職場での適応や仕事への姿勢が評価されれば、雇用形態のステップアップも考えられます。

障害者雇用を探す際にハローワークがおすすめされる理由と利用のメリット

障害者雇用の求人は、就職サイトでは情報が少なくても、ハローワークであれば多くの案件を見つけられる可能性があります。理由として、一般雇用は求人サイトや転職サイトなど民間サービスの利用が一般的であるのに対し、ハローワークは高齢者や障害者、福祉関係の求職者向けの求人が中心になりやすいためです。実際に、支援者もハローワークの利用をすすめるケースがよく見られます。

また、障害者がハローワークを利用して就職活動を行うことには、多くのメリットが期待できます。障害者専用窓口には専門知識が豊富なスタッフが常駐しており、手話対応や職業適性検査、職業訓練所の紹介、面接同行など幅広いサポートが受けられます。加えて、定期的なフォロー体制が整っており、就職後の悩みや職場での不安に対応してもらえる点も魅力です。

障害がある方向けのハローワークの支援制度

障害がある方を対象とするハローワークの支援制度として、主に次の4つが挙げられます。

  • 障害者専門窓口
  • トライアル雇用
  • 職場適応援助者(ジョブコーチ)支援
  • 障害者就職面接会

それぞれの支援内容について、以下で詳しく見ていきましょう。

障害者専門窓口

ハローワークでは、一般の窓口とは別に障害者専門窓口を設けています。障害者専門窓口には障害者支援の専門的な知識を持つ担当者が配置されており、一般の窓口よりもきめ細やかな支援を受けられるのが特徴です。

障害者専門窓口では、面談を通じて障害特性を把握した上で、利用者に合った求人情報が提供されます。また、職業評価や職業訓練など就職準備を行う段階の相談から職場実習や面接への同行、定着支援まで、就職に関する総合的なサポートも可能です。こうした仕事に対する具体的な相談だけでなく、就労への不安や向いている仕事を知りたいといった相談にも対応しています。

トライアル雇用

トライアル雇用とは、さまざまな理由で就職が難しい方を原則3ヶ月間、試験的に雇用して適性や能力を判断し、無期雇用への移行を検討する制度です。トライアル雇用はハローワークの職業紹介を通じた応募が前提となります。

障害がある方の場合、「障害者トライアルコース」及び「障害者短時間トライアルコース」を利用できます。障害者短時間トライアルコースは精神障害もしくは発達障害*のある方を対象としており、週の所定労働時間が10時間以上20時間以内に設定されているのが特徴です。トライアル期間中に状況を見ながら、労働時間20時間以上を目指していきます。

職場適応援助者(ジョブコーチ)支援

職場適応援助者(ジョブコーチ)支援とは、障害がある方と事業主の双方に対して、担当者が支援計画を立ててサポートを行う公的サービスです。障害のある方に対しては、職場でのコミュニケーションや効率的な作業の進め方などについて、雇用主や上司、同僚に対しては、障害のある方の特性に合う作業内容や仕事の教え方などをアドバイスすることにより、職場に適応しやすい環境作りを支援します。

支援期間は1~8ヶ月で、一般的には2~4ヶ月が目安です。ジョブコーチには主に、配置型・訪問型・企業在籍型の3種類があります。

障害者就職面接会

障害者雇用の推進を目的に、ハローワークが複数の企業の採用担当者を招いて情報交換の場を提供するのが障害者就職面接会です。会場の大きさや参加企業数によっては数日間にわたる場合もあり、参加企業名や面接会日時などの詳細は、事前にハローワークや労働局のホームページなどで公開されます。

説明会のみに参加する場合は予約や応募書類が不要な場合もありますが、面接会への参加を希望する場合は原則として事前申し込みが必要です。詳しくはお住まいを管轄するハローワークの専門援助部門にお問い合わせください。

ハローワークで障害者雇用に応募する方法と就職活動の流れ

ハローワークで障害者雇用に応募する際には、いくつかのステップを踏む必要があります。ここでは、ハローワークで障害者雇用に応募する方法を、以下の手順に沿って解説します。

  1. 求職申し込み手続きを行う
  2. 就職相談を行う
  3. 就職先を検索する・紹介を受ける
  4. 応募の準備を行う
  5. 志望企業の面接に臨む

求職申し込み手続きを行う

障害者雇用に応募するためには、障害者手帳と医師の診断書が必要です。

ハローワークを利用する際は、最初に求職申し込み手続きを行います。まずハローワークの窓口(専門援助部門)で求職情報を仮登録しましょう。ハローワークに設置されたパソコンで求職情報を入力するか、難しい場合は紙の求職申込書に記入します。

希望する仕事や希望勤務時間、学歴や職歴、訓練受講歴などを記入するため、必要な情報を事前にメモしておくと便利です。

就職相談を行う

ハローワークでは、障害者専用窓口を通じて就職に関する幅広い相談が可能です。自己分析や適性の相談などにより、自分に合った仕事を見つけるためのアドバイスを受けられます。

例えば、筆談や手話での試験対応や通院に配慮した働き方に関する相談などです。また、地域の求人状況の提供や職業訓練校の紹介にも対応しており、個人の状況や希望に応じた就職活動への支援体制が整っています。ハローワークに相談に行く際には、必ずハローワークカードを持参しましょう。

就職先を検索する・紹介を受ける

相談を通じて就職の希望条件がある程度固まったら、ハローワークで求人を検索してみましょう。ハローワーク内のパソコンまたは自宅のパソコンから自分で検索するほか、支援員と相談しながら求人を探すことができます。

また、窓口では非公開求人を含む案件の紹介や、希望に合った求人の詳細を教えてもらうことも可能です。応募先が決まった場合は、ハローワークが企業に連絡を取り紹介状を発行してくれます。紹介状は面接時に必ず持参しましょう。

応募の準備を行う

応募する求人が決まったら、準備を行います。求人内容によって必要な書類は異なりますが、一般的には履歴書や職務経歴書などの応募書類が必要です。書類作成に不安がある場合でも、ハローワークでは書き方のアドバイスや添削などのサポートを受けられるため、安心して取り組めるでしょう。

障害者雇用に関する知識を持つスタッフに、特性をどのように伝えるかといった点を具体的に相談できます。

志望企業の面接に臨む

応募後は、志望企業との面接に進みます。面接の日程調整はハローワークの担当者が代行してくれるため、自分でやり取りする必要はありません。面接が不安な人でも、模擬面接や支援員の同行などのサポートを利用できる場合があります。

必要な支援を受けることで、安心して面接に臨むことができ、自分の力を発揮しやすくなります。また、採用が決まった後の労働条件の調整や合理的配慮についての企業との相談を含め、わからないことがあればハローワークに頼ることができる点も安心です。

自宅からもハローワークを利用できる?

自宅のパソコンなどからオンラインでハローワークのサービスを利用できます。中には外出が難しく、ハローワークの窓口に通うことが困難な場合もあるでしょう。そこで、「ハローワークインターネットサービス」を使えば、障害者雇用の求人を自宅で検索することが可能です。

求人検索のために何度も足を運ぶ必要がなく、最新の求人情報をいち早くチェックできます。また、ハローワークが混雑しているとパソコンの順番待ちになりますが、自宅なら自分の都合の良い時間に就職活動を進められます。

求職者番号がなくてもデータの閲覧は可能ですが、求職番号があるとより詳細な求人検索が可能なため、自分に合った就職先を探しやすいでしょう。自宅からでも登録は可能なため、やり方がわからないときはハローワークに電話やFAXで相談することをおすすめします。

ハローワークを利用する際の注意点

ハローワークの利用にはいくつかの注意点があります。障害者雇用に応募する前に、内容を把握しておきましょう。主な注意点は次の2つです。

  • 障害者雇用促進就職面接会の雰囲気
  • ミスマッチが起こる可能性

それぞれの気をつけるべき点について、以下で解説します。

障害者雇用促進就職面接会の雰囲気に注意

障害のある方と企業のマッチングを目的とした障害者雇用促進就職面接会は、多くの企業と面接することができるためチャンスが広がる点がメリットです。

ただし、面接会では企業ごとにブースが分かれているわけではなく、同じ会場内で多数の企業が同時に面接を行うため、多くの人の話し声や動作音などで騒々しい場合があります。感覚過敏などがある方は特に注意しましょう。

また、合同面接会はより多くの方と面接の機会を設けることを目的としているケースもあり、一人当たりの面接時間が短く、浅い質問しかされない場合も少なくありません。加えて、複数企業の面接に申し込みたい場合は、効率的に回れるように段取りを考えておく必要もあります。

初めて面接会に参加する方は最初は見学や練習のつもりで、雰囲気に徐々に慣れておくと良いかもしれません。

ミスマッチが起こる可能性

支援者などを介さずに自分でハローワークの求人を検索して応募した場合、採用後に職場とのミスマッチが起こる場合があります。

発達障害*などの精神疾患のある方の場合、見た目では特性や困りごとが伝わりづらく、採用面接など限られた時間の中でこれらを十分に理解してもらうのは難しいでしょう。そのため、実際に仕事をする中で認識のズレが生じるケースが多いのです。

就職先との認識のズレを防ぐためにも、間に立って調整を行うサポーターが必要になるので、次で紹介するようなハローワーク以外の支援機関も活用することをおすすめします。

ハローワーク以外の支援機関

障害のある方が就職のために利用できる支援機関は、ハローワークの他に次のようなものがあります。

  • 就労移行支援事業所
  • 障害者就業・生活支援センター
  • 地域障害者職業センター

就労移行支援事業所は、一般企業への就職を希望する障害がある方を対象に、職業訓練やソーシャルスキルの習得、就職活動支援、職場定着支援など、就労に関するトータルサポートを行います。

障害者就業・生活支援センターはハローワークや福祉事務所、医療機関などと連携した就業・生活支援をする機関です。地域障害者職業センターは、ハローワークと連携して障害のある方への専門的職業リハビリテーションを提供しています。

ハローワーク以外にも、こうした支援機関やサービスがあるので、自分に合ったものをぜひご活用ください。

Kaienの福祉サービス

Kaienでは、精神医学や発達心理学に基づいた就労移行支援や自立訓練(生活訓練)を行っています。

就労移行支援では、100職種以上の実践的な職業訓練やソーシャルスキル、ビジネススキルの習得に役立つ講座などを実施しています。担当カウンセラーによる手厚い就活サポートや定着支援も強みです。

まだ働く自信がない、まずは生活リズムを安定させたいという方には自立訓練(生活訓練)がおすすめです。自立訓練(生活訓練)では、基本的な生活習慣や社会生活に必要なスキルを身につけるための訓練などを行っています。また、障害理解や進路選択に役立つ知識の習得も可能です。

無料の見学会や体験利用なども随時実施していますので、興味がある方はぜひお気軽にお問い合わせください。

障害者雇用はハローワークを有効活用しよう

ハローワークでは障害がある方の専門窓口を設けており、障害者雇用の求人紹介や就活支援などを実施しています。ただし、支援者を仲介せずに求人に応募すると、採用後に職場とのミスマッチが生じやすくなるため注意が必要です。就労移行支援事業所など他の支援機関も併用しながら、自分に合った職場を見つけましょう。

*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます

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