在職者向けのキスド会(土曜夕方に秋葉原と新宿で開催している、発達障害のある在職者向けのしゃべり場)での会話を皆さんの承諾をもとに記事にしています。今回のテーマは「通信教育など独学で勉強する際のやる気のあげ方」について議論しました。
ライバルはいますか?
Aさん) 今、特定派遣の会社で働いています。自分の知識を高めようと思って、通信教育の教材を買ったはいいんですけど、いざやってみたらめんどくさくなって続かなくなっちゃったんです。どうすればまたもう一度勉強できるようになるでしょうか。皆さんはどうしていますか?やる気スイッチをどう入れていますか?
Bさん) 差し支えがなかったら、どういう分野の通信教育なのですか?
Aさん) 機械工学の基礎と機械設計の二種類とっています。どっちも今全然やっていないですけど。
Cさん) 出来ている出来ていないというよりも、そういうマニアックな通信教育があるのに私は驚きがあります…。
一同) 笑
Dさん) たまたま新卒で入った子が資格試験に合格した話を昨日飲み会で聞きました。経験談を教えてもらったんですけど、新人がみんな受けなきゃいけない試験で、そういうライバルみたいな存在がすごく大事だったそうです。なのでAさんもライバルの存在がいるかどうかが重要かもしれないですね。
Aさん) オンラインの難しいところはそういうところかもしれないです。一緒に勉強する人がいないって言う点。
Cさん) 僕は家で自習すると絶対できなくて、すぐ横になっちゃったりするんです。通勤電車の中で勉強していました。そしたら、今勤務している会社だと通勤ラッシュがすごくて、全然勉強できなくなっちゃって。そこで最近よくやっているのが、ファミレスのドリンクバーで、200円ぐらいでずっとジュースを飲みながら勉強しています。やっぱり周りの目があるんで寝られない状況ができますからね。
超スモールステップで考えよう
Eさん) 私は資格の勉強だけではなく、色々なことにやる気がしない時、やらなきゃいけないことを細かく書いて一歩どころか0.2歩でも進めばよいと思おうと、今葛藤しているところです。
スタッフ) 超スモールステップでOKと。
Eさん) そうそう。一か月たってみたら0.2歩ぐらい進んでたかなでもいいじゃないですか。それで納得しないんなら、一足とびでも何か知恵を出さなきゃいけないですけど。0.2歩でもいいんならそういうのもありかなと自分で今思っています。
Aさん) 0.2歩というのは、決めていた計画の中での0.2歩ということですか?
Eさん) 教材の標準的な進み具合が1か月で1歩としますよね。でも1か月たってみたら0.2歩だったとしても少しでも進んだのでいいよねと現状を受け止めるということです。
Aさん) ありがとうございます。
スタッフ) 発達障害の子ども向けの支援でもする方法ですね。一番初めは椅子に座るだけでOK、パチパチパチって。次は教材を広げた、OK、パチパチパチ、そういう感じでしょうか。
Eさん) はい。そんな感じです。それでも、結構人間って不思議なもんで、その程度の工夫でも先に進むんですよね。
イケてる自分をイメージする
Bさん) 私もちょうど通信教育で学ぼうとしています。さっき放送大学の説明会に行ってきたところでした。先程おっしゃっていましたが、Aさんが今勉強し始めた理由は、資格を取るためとかキャリアに活きるという具体的な目標じゃなくて、自分の知識向上のためってことでしたよね?
Aさん) はい。自分の知識向上のためですね。
Bさん) 障害の特性として興味があること、得することじゃないと、まったくやる気にならないというのはあるじゃないでしょうか。
Aさん) そうなんですねー。
Bさん) 私は発達障害や精神障害と食生活の関係について独学で勉強しています。その知識を生かしてカウンセラーをやりたいと思っています。ずっと独学だったんですけど、それを具現化したくて放送大学の説明会に行ったんですね。何が自分を駆り立てているのかというと、「自分の今の生活を変えたい!」っていう具体的なビジョンなんです。もういやなんですよ、今の職場が本当に…。自分の人生を変えたいっていう気持ちや次の仕事のイメージがあるから、すごくやる気が出て独学でもいろいろやってこられました。だから、Aさんも機械工学が自分の人生にどう役立つかを考えてみると良いと思います。単純な知識欲ってことだけじゃなくて、夢が具体的に描けているとやる気が出てくるのかなって。
Aさん) 言われてみれば、具体的に自分がどう変わるといいのかって考えたことなかったです。
スタッフ) いたく納得されていますね。
Aさん) はい。すごく腹に落ちました。
Bさん) イケてる自分をイメージするみたいな。そうすると、モチベーションが上がっていくかもしれません。
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監修者コメント
やる気を出すための工夫として「ライバルをイメージする」「イケている自分をイメージする」「スモールステップに区切って考える」など、語られていました。発達障害の有無に限らず、やる気スイッチをどうコントロールするかは、現代人なら誰もが悩む課題だと思います。
違う言い方をすると発達障害があるからといって、やる気スイッチを入れる方法が違うわけではないのです。世間で様々にあるこのようなやり方を探し、自分なりにアレンジしていくことが大事なことだと思います。
僕からは「朝勉強する、夜はやらない」という方法を提案します。疲れているときには、ついつい課題を先延ばしにしがちなので。
監修 : 益田 裕介 (医師)
防衛医大卒。防衛医大病院、自衛隊中央病院、自衛隊仙台病院(復職センター兼務)、埼玉県立精神神経医療センター、薫風会山田病院などを経て、早稲田メンタルクリニック 院長。精神保健指定医、精神科専門医・指導医 精神分析学会所属
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