発達障害のある人は職場や日常生活で疲れやすい人が多く、フルタイムで働くのは負担が大きいので短時間勤務で働きたいという声をよく耳にします。今回は実際に当社就労移行支援を修了して働いている人の中で短時間勤務の人はどれくらいいるのかや、障害者枠でのこれまでの就業時間の傾向、また障害のある人のための「超短時間勤務」導入に向けた新しい動きや、フルタイムで働くのが不安な人が求人を選ぶ時のコツについてお話しします。
Kaien修了生の平均勤務時間は7時間/日、6時間以下は4分の1程度
当社就労移行支援修了生194名の就労開始時の就業時間を集計したところ、平均は7.3時間/日。1日8時間勤務の方が5割弱で、7.5時間の方を加えると6割を超えました。フルタイム勤務、つまり職場の所定労働時間いっぱいまで働いている人は7.5~8時間で働いている場合が多いため、フルタイム勤務なのはおよそ6割程度だと考えられます。
また7時間以下での勤務の人は全体の3分の1程度で、6時間以下だと4分の1ほどになります。5時間以下の人は数人だけでした。今回集計した中には一般枠で就職された方が14名含まれていますが、障害者枠の場合のみでもおよそ同じような割合になります。
企業は週30時間以上勤務する障害のある人を雇用したほうが有利
ではなぜ6時間以上で働いている方がほとんどなのでしょうか?その理由は障害者雇用の制度にあります。障害者雇用率制度では週30時間以上働いている人を1人、週20時間以上30時間未満で働いている人を0.5人とカウントして企業の雇用率を計算します。つまり週30時間=1日6時間以上働いてもらった方が雇用率を達成するには効率的なので、週30時間以上働ける人を雇用するのが主流です。
週20時間=1日4時間以上勤務すれば0.5人とカウントできるのですが、同じ1人分のカウントのために1人雇うのと2人雇うのを比べると、1人よりも2人の方が管理の手間やコストがどうしても増えてしまうため、週20時間以上30時間未満で働く人もあまり多くないのが実情です。週20時間未満しか働けないという場合は、一般就労の障害者枠ではなく、就労継続支援A型事業所やB型事業所といったいわゆる作業所で支援を受けながら働く福祉的就労を選択することが現状ではほとんどです。
週20時間未満で障害のある人を雇用する動きも
一方で、障害のある人を障害者雇用制度の枠外になる週20時間未満の短時間勤務で雇用していこうという動きも出始めています。
川崎市の「短時間雇用創出プロジェクト」では東京大学先端科学技術研究センターやNPO法人・市内就労支援機関と共同で、障害者手帳を持っている方や取得予定の方を対象に週20時間未満の就労を実現する取り組みを2016年10月から開始しています。企業の業務の切り出しから雇用ノウハウの提供、求職者の就労・定着支援まで行っており、2016年11月時点で5名の方が週30分~6時間で働き始めたとのことです。
またソフトバンクでは、こちらも同じく東京大学先端科学技術研究センターと共同で発達障害や精神障害のある人が週20時間未満で就業できるように「ショートタイムワーク制度」を2016年5月から開始しました。アンケート集計やサービス説明用イラスト作成などの業務を切り出し、2016年11月時点で17名を雇用しています。週1~2日・1日4~6時間の勤務で、納期に余裕がある業務や、担当者が急に体調を崩して休んでも他の人が代わりに対応できるような業務を切り出すなどの工夫をしているそうです。
フルタイムが不安な人は徐々に勤務時間を伸ばせる職場がお勧め
ここまでお話ししてきた内容をまとめると以下のようになります。
- 障害者枠は1日6時間以上の勤務であれば就労できる可能性が高い。
- 障害者枠で1日4時間以上6時間未満の勤務は、制度的には働くことはできるが求人は非常に少ない。
- 1日4時間未満の勤務では障害者枠での雇用とならないため一般就労は大変難しい。
- 一方で少しずつ短時間勤務の人を一般就労で採用しようという動きは行政や企業・大学から出始めている。
自分はどのくらいの勤務時間なら働けるだろうと迷っている方は、当社就労移行支援など職業訓練に通ったり、企業体験実習に参加して体力や精神的な疲れ具合がどのくらい出るかを確認することをお勧めします。できれば数日~1週間という短い期間だけなく、1~数か月などある程度継続して通所したほうが、無理をしてがんばりすぎてしまい休んでしまうような状況を発見しやすくなります。当社就労移行支援では勤怠に不安がある方は当初は週3日から利用を開始し、安定して通えるようになったら少しずつ通所日数を伸ばしていくこともできます。
また応募する求人を探すときには、短時間勤務からスタートして徐々に勤務時間を伸ばしていける職場がお勧めです。今の時点では〇時間しか働けなくても、数か月~数年後に安定して勤務できるようになった後に、制度的に次のステップにチャレンジできるようになっている方が成長の目標にもすることができ、ご本人の張り合いにもなるからです。求人票には明記されていないこともあるので、就労支援機関やハローワークのスタッフに、これまでに短時間勤務から働き始めた人が勤務時間を延長した実績のある企業はあるか聞いてみるとよいでしょう。
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