就職・転職活動の際に、企業に必ず提出しなければならない応募書類の1つ「履歴書」。しかし希望の求人があっても、履歴書の書き方がわからず困っている人も多いのではないでしょうか。
履歴書の作成に困っている人におすすめなのが、就労移行支援サービスの利用です。就労移行支援事業所では、発達障害*などの障害がある人に向けて、履歴書の添削指導を始めとする就活支援を行っています。
本記事では、就労移行支援の概要や、障害者雇用枠で採用されやすい履歴書の作成ポイントについて解説します。履歴書の書き方をマスターするために、ぜひお役立てください。
就労移行支援の利用に履歴書は必要?
就労移行支援では、発達障害など障害がある人の一般就労を目的として、就労に向けたさまざまな支援サービスが利用できます。障害を抱えながら就活をする場合、さまざまな困りごとに直面します。その中でもつまずきがちなのが、就職や転職をするときに必要となる「履歴書の作成」です。
履歴書は、企業に対して自分の基本情報や人柄を示す指標となります。そのため、履歴書の作成は就活の重要なステップといってよいでしょう。履歴書を作成するポイントとして、以下が挙げられます。
- 丁寧かつ正直に自分のことを伝えている
- 応募先企業で働きたい意欲が伝わってくる
- マニュアル通りでなく自分の言葉で表現されている
- 記載内容にもれがなく、正確に書かれている
就職や転職において、履歴書とは応募者を知るためのツールであり、就労移行支援事業所でも必要書類として履歴書の提出をお願いする場合があります。Kaienでも、個別面談を利用する際に履歴書を必ずご提出いただいています。
ただし、必要書類は事業所によって異なるため、希望する就労移行支援事業所の必要書類や、準備しておくものなどは事前によく確認しておきましょう。
就労移行支援では履歴書の添削ができる
履歴書の作成が必須と分かっていても、「イチから自分で作成するのは難しい…」とお困りではありませんか?
就労移行支援では、就活サポートとして履歴書や職務経歴書の添削を実施しています。
履歴書の作成には、パソコン入力や経歴の整理、働きたい意欲と誠実さを伝える文章作りなど、やらなければならないことがたくさんあります。また、企業に自己アピールできる履歴書を作成するには、それなりの経験や知識が必要です。
Kaienでは、履歴書や職務経歴書などの就活書類添削を週に2回行っています。指定のホワイトボードに前日までに名前を記入すれば、1回あたり15分程度の個別添削の利用が可能です。また書類添削だけでなく、面接の想定問答集の添削も受けられます。
障害がある場合、こうした書類作成を苦手としている人も多くいらっしゃいます。専門のスタッフの手厚いサポートにより、誤字脱字などのミスを防ぎ、自分の魅力を最大限伝える履歴書を作成できることがKaienの大きな強みです。
履歴書を書く前の注意点
履歴書作成には、一般的なルールが存在します。ルールを守るだけでも、企業が読みやすい履歴書の作成が可能です。履歴書を書く前に、以下の注意点をチェックしてみましょう。
- 記入はパソコンが基本
- 履歴書フォーマットを活用する
- 適切なフォントと文字量で記載
- 文字量が多くなる場合は、履歴書ではなく職務経歴書へ
- 略称、略語は使わない
- 使い回しをしない
履歴書フォーマットは、転職サイトなどからダウンロードできます。企業は多くの履歴書を読むため、読みやすいようにフォントは「明朝体」や「ゴシック体」に統一しましょう。文字の大きさやフォーマットにおさまる文字量など、読み手への配慮が大切です。
パソコンで履歴書を作成する場合は、企業名を変えれば使いまわしが可能です。しかし、どの企業にも通用するようなマニュアル通りの履歴書では、採用担当の心には響きません。複数の企業に応募するときは、大変ではありますが履歴書の使いまわしはせず、一社ずつしっかりと企業へのアピールを記載するようにしましょう。
手書きで書く際に気をつけたいこと
現在、履歴書は修正のしやすさなどからパソコン入力が主流です。しかし様々な理由により手書きで作成する場合もあるかもしれません。その場合は、以下の点に注意してください。
- 同じペンを使って最後まで書く
- 修正液は使わない
- コピーを取って置く
- 最後に必ず見直しをする
手書きで書く場合には、同じ黒のボールペンを最後まで使用しましょう。また、修正液で消すのは読み手に良い印象を与えないため、事前に下書きしてから清書するなど間違えずに書く工夫が必要です。
面接は履歴書をもとに行われる場合も多いため、自分が何を書いたかわからなくならないよう、履歴書は送付前に必ずコピーをとるのを忘れないようにしましょう。
履歴書の基本情報の記入例
履歴書に記載する基本情報は、履歴書の左側にある自分の情報を伝える項目です。ここでは、基本情報に必要な5箇所の記入ポイントや注意点を解説します。
日付
履歴書には日付の記入欄があります。郵送する場合は郵送日を、持参する場合は持参日を書くようにしましょう。よくある間違いとして、履歴書作成日を書いてしまうことがあります。この間違いをなくすためにも、日付欄は空けておき、最後に記入するようにしましょう。
年号の記入は、基本的に指定がない限り、和暦でも西暦でもどちらでも構いません。ただし、履歴書内での年号統一は必要です。和暦と西暦どちらで記入するか必ず揃えるようにしましょう。
名前
名前の記入は以下の2点に気をつけましょう。
- 戸籍と同じ正しい漢字を書く
- 「フリガナ」か「ふりがな」か判断する
名前を記載する際は、戸籍通りの正しい漢字を書くようにしましょう。戸籍通りの名前の場合、常用漢字以外に旧字や異体字が含まれている可能性があります。間違えやすい漢字として、沢→澤、高→髙、崎→﨑などが挙げられます。
また、名前のふりがなは、ひらがな表記の場合はひらがなで、フリガナとカタカナで書かれている場合はカタカナ表記で書くようにしましょう。
住所
住所を書くときには、省略せずに記載します。下記につまずきやすいポイントをまとめました。
よくある間違いの例 | 正しい書き方とポイント |
---|---|
新宿区1丁目1番1号 | 東京都新宿区1丁目1番1号 都道府県から書く。 |
東京都渋谷区5丁目5番5号 | 東京都渋谷区5丁目5番5号田中ビル609号室 建物名や部屋番号も記載。 |
電話番号・メールアドレス
電話番号やメールアドレスは、採用通知など企業が連絡をとるときにも使われます。電話番号は市外局番から書き出し、ハイフン(-)や()を使用して見やすく記載しましょう。
メールアドレス欄はピリオドやハイフンなどの抜け漏れや、スペルミスがないかなどをよくチェックすることが大切です。
写真
文字メインの履歴書の中で、写真は応募者を印象づける唯一のビジュアル情報です。良い印象が与えられるように、写真を撮るときには以下のポイントに気をつけましょう。
- スピード写真でも良いが、できれば写真館などで撮影
- 服装・身だしなみを整える
履歴書の写真は自撮りだと手ブレなどにより写りが悪くなってしまいます。また、画質や表情指導などを考慮すると、プロに撮影から写真選定までお願いできると安心です。
また、服装や身だしなみについて特に注意したいNGポイントは下記をチェックしてください。
NG例 | 改善ポイント |
---|---|
・柄の入ったスーツ ・明るい色のスーツ | 清潔感のある黒や紺色など、ダーク系のスーツを着用する。 |
・ネクタイをしない ・ピアスをつける | 男性はネクタイを着用する。アクセサリー類はつけない。 |
・髪色が明るい(金髪・銀髪) ・前髪で顔が隠れている | 髪色は暗くし、顔が良く見えるように長い髪はまとめる。 |
学歴・職歴欄の書き方
学歴・職歴とは、今まで所属していた学校や職業の詳細について記入します。経歴を見るために大切な情報となりますので、時系列や必要な情報が網羅されているかなど、抜け漏れのないように記載することが大切です。
詳しい職務内容などは職務経歴書にまとめるようにし、簡潔によみやすくまとめるようにしましょう。ここでは、間違えやすいポイントと注意点について解説します。
学歴
学歴とは、今まで所属していた学校の情報を記入する欄です。記入のポイントは以下の通りです。
- 「学歴」という見出しを記載
- 和暦か西暦かを統一する
- 学校名は省略せず正しく記載する
- 職歴が少ない場合は専攻分野や卒業論文を記載し空欄を埋める
記入が終わったら必ず最終チェックとして、入学・卒業年や漢字にミスがないか確認しましょう。また、学歴と職歴を続けて書く場合は、学歴と職歴の行を一行空けると読みやすくなります。
職歴
職歴は、一般的に社員として働いてきた会社の情報を記入します。職歴を記入する際のポイントは以下の通りです。
- 「職歴」という見出しを記載
- 会社名以外にも部署名や業務内容も記載する
- 詳しい実績は記入しない(職務経歴書へ)
- 派遣で勤めた場合はその旨がわかるよう記載
- 退職した会社は「一身上の都合により退職」など理由を記載
- 現在勤めている場合は「現在に至る」と最後に記入
- すべての職歴を書き終えたら「以上」と記入
職歴を記入するときは、どこで何をして働いたのかがひと目でわかるよう、情報を簡潔にまとめます。その中で、成果や達成したことなど職務に関する実績は、履歴書ではなく職務経歴書に記載しましょう。
株式会社を(株)と記載するなど、略称もNGです。記入が終わったら学歴と同様に、ミスがないか読み直しましょう。
免許・資格欄の記入方法
免許・資格は、自分の持っている知識や技術をアピールする欄です。押さえておきたいアピールポイントは以下の通りです。
- 応募先の仕事に関連した資格や免許から書く
- 勉強中の資格も書けばアピールにつながる
免許・資格欄は、応募先の企業に自分が持つスキルをアピールするために使えます。そのため、保有資格は優先度の高さを考慮して、応募企業の仕事に関連している資格や難関資格から書くようにしましょう。
例えばIT関連企業に応募する際に、ITパスポートと普通自動車第一種免許を取得していたとしたら、当然ITパスポートの方が優先順位が高いので先に記載します。資格は国家資格だけでなく、民間の資格も記入可能です。
また、まだ資格をとっていなくても業務に関連するものであれば、勉強中の資格も記入できます。「〇〇取得に向けて勉強中」と記載して、熱意や意欲をアピールしましょう。
履歴書の志望動機を書く際のポイント
履歴書の志望動機は、書類選考の際に採用担当者が最も注目する部分です。就職や転職を成功に導くためにも、志望動機は特に力を入れて書くようにしましょう。ここからは、志望動機を書くときに気を付けたい2つのポイントを解説します。
マニュアルではなく自分の言葉で
履歴書の書き方をインターネットや書籍などで調べると、書き方のマニュアルがたくさん出回っています。しかし、こうしたテンプレートの内容では、採用担当者に自分の熱意は伝わりません。採用を勝ち取るには、自分の言葉で書くことが重要です。
教科書通りの内容だと、自分事として考えられないため、面接での質疑応答の際も記載内容と自分の考えとの間にズレが生じてしまいます。企業はこれまで何人もの応募者の書類を見たり、面接したりしているため、使い回された言葉や中身のない内容はマイナスの評価につながる可能性もあるでしょう。
時間はかかってしまいますが、マニュアルを参考にしながら自分の言葉で書くことが大切です。Kaienでも履歴書の添削や面接の対策を行っています。わからないことや、書きたいことが上手くまとまらないときなどは、ぜひこうした就活支援を頼ってください。
読みやすさを意識する
志望動機は、読みやすさを意識することも大切です。企業は、応募されている履歴書すべてに目を通します。応募者が多ければ、それだけ読む書類も多くなるため、自分を印象づけてもらうためにも書く順番や具体性を意識しましょう。
書く順番としては、まず結論から書きます。志望動機の場合は「なぜこの会社を志望したか」という理由です。次に、自分の知識や経験がどれくらい活かせるのかを自己アピールしましょう。最後に、入社後のビジョンや目標を記入できると熱意が伝わるでしょう。
一から考えるのが難しい場合は、マニュアルなどを活用しても構いません。ただし、必ず自分事に置き換えて書き直すようにしましょう。記入が終わったら読みやすい流れになっているか、文章量は適切か、誤字脱字がないかなどを最終チェックします。
行き詰まってしまった場合は、就労移行支援の履歴書添削の際に相談してみましょう。自分にはない視点や、プロ目線のアドバイスがもらえるので、履歴書作成のブラッシュアップに役立ちます。
就労移行支援で履歴書の添削を!
就職・転職活動において、履歴書は重要な参考書類です。履歴書は採用選考の第一関門と言っても過言ではありません。しかし、障害がある場合は、情報をまとめたり自分の言葉でアピールしたりすることを難しいと感じる人もいるでしょう。そんなときこそ、就労移行支援をご活用ください。
就労移行支援のサービスの中には、就活支援として履歴書などの書類添削を行っている事業所がたくさんあります。Kaienでも週に2回、履歴書の添削指導を個別で実施しています。その他にも就労に向けた職業訓練や、特性に合わせた多種多様な求人紹介も行っているので、まずはお気軽に随時無料で開催されているご利用説明会や、見学会にお越しください。
*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます
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