発達障害*の人たちはどのぐらいの給与を得ているのでしょうか?残念ながら全国規模のアンケートはありません。ここでは当社の就労移行支援の修了生350人へのアンケートデータをもとに、給与レンジ、職種別の給与、最近のトレンドなどをまとめました。
目次
就労移行支援の修了生 350人規模アンケートの結果
「就職」や「仕事」などのキーワードが話題になれば、やっぱり給与レベルはまず最初に気になるところですよね。仕事内容(職種)によってお給料はどの程度違いが出るのでしょうか?またお給料の高い職種とはどのような仕事でしょうか?当社のデータで確認していきます。
グラフは過去3年間でKaienを卒業し就職した利用者の方、約350名の職種比率を集計したものです。最も割合が多かった一般事務職の平均給与は17.4万円でした。
上位3職種はいずれも専門職 IT・経理・その他
最も平均給与が高かった職種は「専門職(IT)」の21.7万円で一般事務を4万円近く上回りました。次いで機械設計や文書翻訳などが含まれる「専門職(その他)」、財務・総務などの管理系の事務専門職の「専門職(経理等)」と続きました。当然のことと言えば当然ですが、業務の専門性がより高ければ高いほど、それに比例して給与も上がる傾向があるようです。
企業の一般的なキャリアアップの考え方は2通りで、マネジメント能力を上げる方向か、技術力を磨きプロフェッショナル性を高めるかのどちらかです。ですが、発達障害の方は特性上、対人コミュニケーションが苦手だったり、複数の業務を同時並行することが苦手な方が多く、マネジメントの方向で給与を上げるのは難しいと感じている人が多いようです。
その分、給与を上げていこうとすると、発達障害の方にとって技術面で仕事の力を上げていくことはとても重要です。まさに発達障害の特性である「こだわり」を活かす形で、自分の興味関心との重なりを見つけ、強みとなる専門分野を見つけて欲しいと思っています。
障害者枠のチームリーダー職が増加傾向
ただし前述の内容と矛盾しますが、最近増えているのが障害者雇用でのチームリーダーの役割です。5人から10人の障害者雇用のチームをまとめ上げる役割が注目されています。これまでは身体障害の方が担っていたようなポジションですが、身体障害の方の雇用数が軒並み減っています。このため、各人の業務を振り分けたり、成果物を確認するような仕事を発達障害の人に任せたいという企業が増えています。
このリーダー職。最終的な責任や評価は更に上のポジションの人が行う場合が多いようです。むしろ管理職の負担を軽減するような業務進捗管理の仕事を担うことが期待されています。実際にこのポジションを採用する企業は増えていて、リーダー手当のような形で昇給が行われているケースも出ています。
中長期での給与総額を考えよう
ただ一つ注意すべきところがあります。それは一時の給与水準だけではなく、数年、十数年と言った長い期間での給与総額が多いかを確認していただきたい点です。短期的には給与の高い求人に惹かれることは当然です。しかし給与の高い仕事では求められるレベル感も高くなります。無理をして働いているうちに離転職を繰り返し、徐々に無職の期間が長くなってしまっては、中長期的にはかえって損をしてしまうことも十分にありえます。
自分の働く力と給与のレベルは正解がなかなか見つからないものです。ご自身の年齢やご家族の状況、また国や地域全体の雇用環境などマクロな部分にも影響を受けます。支援者や専門家と相談をしながら、可能な限り時間をかけてじっくりと就職活動を進めていきましょう。
本当に就職できるの?適職がわかるの? 発達障害の特性に適した就活をご説明します
*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます
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