心療内科に通っていても働ける?就労移行支援との連携で社会復帰を目指そう

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ストレスなど心因的な不調がある際に、専門的な治療を行ってもらえる心療内科。精神疾患を有する外来患者数は2017年時点で約420万人おり、年々増加しています。心身に不調がある方の中には、仕事を続けている人や、体調が悪く休職や転職を考えている人もいるでしょう。

本記事では、心療内科の対象疾患や治療内容、心療内科に通いながら仕事を続けられるかについて解説します。心身の不調があって仕事を続けるか迷っている方や、就労に関する支援を検討している方はぜひ参考にしてください。

心療内科と精神科の違い

心療内科と精神科はどちらも心の病気を専門として扱っています。違いとなるのは、治療対象となる不調や症状です。精神科では、心の病気に対する治療を行います。例えば、不安障害や抑うつ、不眠、イライラといった症状です。

一方、心療内科ではストレスなど精神の不調により発症する身体の不調に対する治療を行います。腹痛や下痢、自律神経の乱れ、動悸といった症状が主です。ただし実際には、精神科と心療内科を併記している病院も多く、受診を考える際は、あまり大きな差異はないと考えてよいでしょう。

心療内科の主な対象疾患

前述の通り、心療内科ではさまざまなストレス要因により身体に現れる症状に対する治療を行います。

代表的な対象疾患は以下の通りです。

  • 摂食障害
  • 慢性疼痛
  • 過敏性腸症候群
  • 糖尿病
  • 気管支喘息
  • 自律神経失調症
  • 慢性疲労

これらの発症にストレスが起因していると思われる場合、心療内科の専門分野となります。通常の医学治療だけでは改善しにくい症状に対して、心理的要因などを含め包括的に治療していくのが心療内科の特徴です。その他にも、検査をしても原因不明な身体症状がある場合は、心療内科を受診することで解決に向かうケースもあります。

精神科の主な対象疾患

精神科では、精神症状を扱う心の病気の専門家です。主な疾患としては、以下が挙げられます。

  • 強迫性障害
  • 睡眠障害
  • 摂食障害
  • 双極性障害(躁うつ病)
  • 適応障害
  • 統合失調症
  • 認知症
  • パーソナリティ障害
  • 発達障害*
  • 不安障害
  • PTSD

心療内科の治療内容

心療内科では、どのような治療がされるか不安な方もいるかと思います。心療内科では、具体的に以下の3つのような治療が行われています。

検査・診察

最初に行うのが、内科的な検査と診察です。問診を通して、病歴やストレスの原因となっているものを確認していきます。必要に応じて、身体診察や血液検査を実施します。

薬の処方

症状によっては、薬が処方されることもあります。不眠の場合には睡眠薬、不安が強い場合には抗不安薬など、症状に合わせて適切な量・回数を調整します。

カウンセリング

医師の診察とは別に、カウンセラーによるカウンセリングが実施される場合もあります。原則、自己負担となりますが、継続して通うことで症状軽減が期待されます。

心療内科に通いながら仕事はできる?

現在、心身に不調があっても「仕事を続けたい」と思っている人もいるかと思います。しかし、症状が出ていて日常生活に影響が出ている場合は、休養をした方が快方に向かう確率が高まります。

うつ病、適応障害といった精神疾患の場合は特に休養が重要です。休養せずに仕事を続けると、症状が悪化したり再発をくり返してしまったりする可能性があります。さらに悪化すると、完治までの期間が長引いてしまい悪循環です。

そのため、基本的には心身の不調がある場合は休養をとることが先決です。まずは身体をゆっくり休め、不調が軽減してから仕事について考えるのが良い方法と言えるでしょう。

心療内科に通院しながら社会復帰を目指すには

休養や治療により症状が軽減してきたら、仕事への復帰や転職を考える人もいるでしょう。その場合、有効な支援としてリワークや就労移行支援が挙げられます。ここでは、心療内科で実施するリワークプログラムと、障害のある方の就労をサポートする就労移行支援についてそれぞれ解説します。

リワークプログラムを受ける

リワークプログラムとは、心の不調がある方に対して職場復帰を支援するプログラムです。生活リズムを整える、基礎体力・対人スキルの向上と言った目的のもと、心療内科では、医療行為の一環として行われます。

心療内科のリワークプログラムでは、医師や看護師のほか、臨床心理士をはじめとする複数の医療スタッフによる専門的なリハビリテーションが受けられます。症状改善に向けて、心理教育や人への伝え方を練習するSST、作業療法、ストレスの対処法など、サポートも充実しています。

ただし利用する場合には、利用料が必要です。費用面も含めて、心療内科の医師と相談しながら利用を検討しましょう。

就労移行支援との連携

リワーク面でいえば、就労移行支援でもリワークを利用することができます。就労移行支援では多くの人が無料でリワークの利用が可能です。前年度の年収によっては費用がかかる場合がありますが、医療機関でのリワークより割安で受けられるケースが多いです。

そもそも就労移行支援とは、障害のある方が一般企業での就職を目指すために、就労に向けたサポートを実施する施設です。国が実施している福祉サービスの一環であり、休職中の方でも利用できます。就労移行支援事業所では、心療内科の対象疾患以外にも発達障害をはじめとする精神疾患など、幅広い方が利用対象となります。

就労移行支援では、さまざまな職業体験やビジネススキルの習得といった、就労に関する実践的なスキルがノウハウを身につけられます。また、就労に向けた個別相談や就活相談も可能です。就労移行支援は医療機関と連携することで、より効果的に手厚いサポートが受けられます。かかりつけの心療内科で、就労移行支援の利用を相談してみるのもよいでしょう。

就労移行支援のサービス内容

心療内科を受診し、休養や治療などをすることで症状が落ち着いてきたら、仕事をどうするか迷う人も多いかと思います。その場合、就労移行支援の利用がおすすめです。

Kaienでも就労移行支援を実施しており、他にはない独自の取り組みや充実したプログラムで個々の障害に寄り添ったサポートを行っています。ここでは、Kaienの就労移行支援のサービス内容について詳しく紹介します。

適職が見つかる職業訓練

Kaienでは、自分に向いている適職を探すサポートとして職業訓練を実施しています。職業訓練とは、疑似職場でさまざまな職種が体験できるサービスです。自分の特性や強みを活かすためにあらゆる職種の体験を積むことで、適職が見つかるはずです。

Kaienの職業訓練では、経理、人事、軽作業などの人気の職種から、プログラム・デザインコースまで、100種類を超える職種が体験できます。職業訓練を通して、自分に合った職業への理解を深め、就職先の候補を絞ることが可能です。

豊富なカリキュラムや講座の受講

心身の不調や障害がありながら就労を続けるためには、さまざまなスキルの習得も必要です。Kaienでは自己理解講座やビジネススキルなど、常時50講座以上が受講できる、圧倒的な質と量を誇るカリキュラムに定評があります。仕事へ復帰するまでに足りないスキルを補い、就労へのストレスを極力減らしておきましょう。

独自求人を含む就活サポート

独自求人を含む就活サポートも、Kaienの強みです。障害や心身に不調がある場合は、職場選びが重要となります。障害に理解があるか、自分のペースで働けるかなど、すべて考慮しながら就活を進めるのは至難の業といえるでしょう。就労移行支援を利用すれば、カウンセラーへの相談やアドバイスの元で就活を進められるので、安心して職探しが行え、ミスマッチも防げます。

Kaienでは、独自求人を含む求人情報が豊富です。障害に理解のある200企業以上と連携し、未経験可能なプログラマーや、データ入力、在宅勤務など、さまざまな求人を取り揃えています。担当カウンセラーが二人三脚でサポートしてくれるため、手厚く就活をアシストしてくれます。

就職後の定着支援

就職が決まった後も、就労を定着するための支援が充実しています。何らかの障害がある方の平均勤続年数は、何もない人と比べると低くなると言われています。Kaienでは、利用者の方に合わせた定着支援を大切にしています。長期的に働くだけでなく、個々の希望に合わせたキャリアプランを提供いたします。

例えば、正社員化や昇給に関して学ぶグループセッションを定期的に行い、雇用形態の変化を見すえた支援を実施しているのも特徴です。その他にも利用者が働いている企業を訪問し、職場での意思疎通のずれがないかなどの仲介や、医療面・生活面での相談にものり、トータルケアを行っています。

心療内科と就労移行支援の連携で無理のない仕事復帰を

心療内科で扱っている対象疾患は、心の症状由来の身体症状が主です。ストレスなどにより身体に不調が見られ、仕事に支障をきたしている場合は早めに心療内科を受診してみましょう。

また、心療内科に通いながら仕事を続けたい場合は、就労移行支援を利用するのも有効な手段です。手厚い就労面のサポートを受けながら、職場復帰を目指しましょう。無料の見学、体験会も随時開催していますので、興味がある方はぜひご連絡ください。

*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます。


監修者コメント

心療内科と精神科の違いに戸惑う方は多いと思います。こころの無意識な不調(不安や葛藤など)が原因で、お腹を壊したり動悸がしたりと身体に変調をきたしたとき対応する科目が心療内科になります。一方、身体に変調をきたさないときに対応する科目が精神科です。しかし、コラム本文にもありましたように、厳密な区別はあまり意味がないので、クリニックで両方の科目が併記されることがほとんどです。

お薬など治療の発展によって通院しながら社会復帰することが可能になりました。どうしても一人では復職するのが難しい場合、支えになるのがリワークプログラムです。もし通院先のクリニックにリワーク施設がない場合、就労支援施設の利用はひとつの選択肢になるでしょう。主治医の先生とよく相談して、少しでも安心して社会復帰を目指してください。


監修:中川 潤(医師)

東京医科歯科大学医学部卒。同大学院修了。博士(医学)。
東京・杉並区に「こころテラス・公園前クリニック」を開設し、中学生から成人まで診療している。
発達障害(ASD、ADHD)の診断・治療・支援に力を入れ、外国出身者の発達障害の診療にも英語で対応している。
社会システムにより精神障害の概念が変わることに興味を持ち、社会学・経済学・宗教史を研究し、診療に実践している。