仕事で急にミスが増えたのは病気のせい?原因や対処法、うつ病の可能性について解説

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仕事で急にミスが増えた場合、「何か病気があるのでは?」と不安に思うことでしょう。ミスは誰にでもあるもので、一時的な疲れや確認不足が原因の場合もあります。

しかし、気分の落ち込みが続いていたり、これまでになかった些細なミスが急に増えたりしているようなら、病気が影響しているかもしれません。

本記事では、仕事で急にミスが増える原因や対処法、うつ病の可能性について解説します。仕事のミスが続いていてお悩みの方は、ぜひ最後までお読みください。

仕事で急にミスが増えるのは病気が原因?

仕事でミスが増える原因は、精神的な病気の有無とは必ずしも一致しません。ミスが生じる原因には、以下のようにさまざまなケースが考えられるからです。

  • 仕事への慣れや気のゆるみにより、確認不足になっている
  • 睡眠不足による疲労が蓄積し、集中力が落ちている
  • 仕事の仕様が新しくなり、まだ馴染めていない
  • 上司側の指示の出し方に問題があり、ミスにつながっている

上記のようなケースの場合は、原因を解決することでミスが改善されていきます。ただし、「同じ業務内容なのにミスが増える」「ミス以外にも心身になんらかの変調が見られる」場合には、病気の影響がある可能性が考えられます。

急にミスが増えた場合はうつ病の可能性も

これまでの仕事内容と大きな変化はないのに、急にミスが増えたと感じる場合には精神疾患の影響があるかもしれません。精神疾患の一つとして代表的な「うつ病」は、気分の落ち込みをはじめ、集中力や判断力の低下がみられ、仕事のミスが増える原因となる可能性があります。また、うつ病の症状には不眠も挙げられ、睡眠不足による疲労がミスにつながっていることも考えられます。

ある程度規則性のある学生生活とは異なり、仕事では複数の作業を進行したり、臨機応変に対応したり、幅広い年齢層や上下関係の中で人間関係を構築していくなど、さまざまな適応能力やスキルが求められます。そのような環境で頑張ろうとするあまり、心身に無理が生じてうつ病を発症するケースがあるのです。なお、うつ病ではなく、その一歩手前として適応障害が起こる可能性もあります。

仕事中に見られるうつ病のサイン

仕事で急にミスが増えた原因がうつ病である場合、身体や行動面になんらかのサインが表れている可能性が高いといえます。人により程度に差がありますが、うつ病かもと思う場合は、以下を参考にこれまでと大きく異なる変化があるかどうか注視してみてください。

  • 身だしなみが乱れる(髪を整えない、化粧をしない、服装がだらしないなど)
  • デスク周りが乱れる(以前はきれいにしていたのに、整理整頓をしなくなるなど)
  • 忘れ物が増える
  • 納期の間違いが連続する
  • 誤字脱字などの確認ミスが増える
  • 仕事の段取りが悪くなる
  • 遅刻、当日欠勤、無断欠勤が増える
  • 会話をしなくなる、または増える
  • 感情が不安定になりイライラしやすくなる

上記のようなサインが継続する場合には、状況を放置したり、自力で何とかしようとしたりせず、早めに適切な対処をする必要があります。

仕事中にミスが多いのは発達障害の影響?

仕事中にミスが多いのには、発達障害*の特性が影響している可能性もあります。発達障害は先天性の疾患で、子どもの頃から特性が見られます。ただし、幼少期は周囲のサポートや規則性のある生活のため、特性がそれほど目立たずに過ごせる場合も多くあります。そのため、大人になって就職などを機に環境にうまく適応できないことで、発達障害の特性に気づくケースもあるのです。

なお、仕事中のミスに発達障害の特性が影響している場合、発達障害の二次障害としてうつ病などを発症するケースも少なくありません。業務量や職場の人間関係、勤務形態などの環境を変えたり、転職して仕事を変えたりしてもミスが減らない場合には、生まれつきの発達障害の特性の影響と、二次障害としてうつ病などの精神疾患を発症している可能性を考える必要があります。

うつ病などの二次障害に注意

自身に発達障害の特性がある場合は、特性を理解し適切に対処することで仕事のミスを減らすことができます。対処の例として、特性に応じた行動のコントロールや、職場に配慮を求めるなどが挙げられます。

しかし、発達障害だと気づかずに仕事を続けていると、ミスが増えても原因が分からず、生きづらさや困りごとのある状態が続き、前述のように後天的に二次障害としてうつ病などの精神疾患を発症する可能性があります。うつ病が発達障害の二次障害である場合、治療を行っても再発をくり返してしまうケースも少なくありません。二次障害のうつ病であれば、発達障害も含めて治療や対処を行うことが大切です。

仕事で急にミスが増えた場合の対処法

仕事で急にミスが増えた場合、気のゆるみや新しい仕事に馴染めていないなどの一時的な原因なら自然に解消されていく可能性があるため、様子を見るのも一つの方法です。しかし、ミスが多い状態が継続する、これまでと異なるサインが表れているといった場合には、うつ病などの精神疾患を視野に入れ、適切な対処が必要です。

ここでは、具体的な対処方法を5つみていきましょう。

休養をとる

ミスが続く場合は、心身ともに疲弊している状態です。まずはしっかりと休養をとり、心身を休めましょう。うつ病などの精神疾患の場合は、十分な休養をとることで症状が和らぎ、改善が見込めます。

一方で、無理が続く環境にいると、うつ病が一時的に良くなっても再発するケースや、症状が悪化して回復に時間がかかる可能性があります。まずは休養し、症状の回復に専念しましょう。

医療機関を受診する

うつ病などの精神疾患が仕事のミスに影響していると考えられる場合は、医療機関を受診して適切な治療を受けることも重要です。医療機関でうつ病と診断された場合には、休養と合わせて薬物療法や心理療法など、症状に応じた治療を受けられます。

うつ病は回復しても再発するケースがあるため、継続して通院し治療を受けるなど、再発予防が不可欠です。なお、回復してもうつ病を繰り返すような場合には、前述した発達障害の二次障害による可能性も視野に入れて対処方法を検討する必要があります。

職場に相談する

ミスが増え、辛く感じていることを職場に相談してみるのも一つの方法です。どのようなミスが多く発生しているのか職場に相談することで、改善策が見つかり解決につながるケースもあります。

自身のミスを減らす対策や環境の改善だけでなく、職場全体でミスを減らす対策を考える機会になる場合もあり、結果として業務の効率化につながることもあるでしょう。なお、うつ病の診断を受けている場合には、合理的配慮を求めるなど、自身の症状を伝えて理解してもらうことで必要な配慮が得られる可能性もあります。

休職や転職を検討する

会社に休職制度がある場合には、休職も視野に入れましょう。休職するには医師の診断書を会社に提出する必要があります。「うつ病で仕事を休むなんて」と申し訳なさを感じる方もいるかもしれませんが、しっかりと休養をとり症状を回復させるためにも無理は禁物です。

また、職場環境が合わないと感じており、休職後も仕事復帰が難しい場合には転職も検討しましょう。業務の負担が少なく、無理なく働ける職場に変えることでミスが減り、状況が改善される可能性があります。

支援機関を頼る

うつ病や発達障害などの精神疾患がある場合には、自分一人で仕事のミスや休職、転職などを解決しようとせず、支援機関を頼ることをおすすめします。障害のある方が利用できる支援機関は複数あり、復職や転職、再就職の際にサポートを受けることが可能です。

支援機関の一例には、就労移行支援事業所、ハローワーク、障害者就業・生活支援センターなどがあります。中でも、一般企業への就労を目指したい方には就労移行支援事業所が心強い存在となるでしょう。

Kaienの支援サービス

Kaienでは、就職活動から安定就労までを一貫して支援する就労移行支援、自立した生活に向けてさまざまなサポートが受けられる自立訓練(生活訓練)を行っています。

就労移行支援では、豊富な職業訓練やスキルアップのためのカリキュラムが受けられ、利用者にとって最適な職場への就職を目指し、担当スタッフが二人三脚でサポートします。

自立訓練(生活訓練)では、障害の理解や生活リズムの改善、将来設計、周囲との関係作りなどにおいて必要な知識やスキルを、実践プログラムを用いて習得可能です。

障害の特性により職場環境や日常生活において困りごとがある方は、ぜひお気軽にご相談ください。

仕事で急にミスが増えた場合は適切な休養と治療を

仕事で急にミスが増えると誰もが不安になるものです。仕事への慣れや新しい環境に馴染めない、疲労など一時的な原因も考えられますが、ミスが急に増えた場合や継続するようなら、別の原因を考える必要があります。

仕事のミスがうつ病などの精神疾患や発達障害の特性の影響による場合、十分な休養と治療、適切な対処により改善が見込めます。職場環境が自分に合わない場合は、復職や転職を目指すことも選択肢の一つでしょう。うつ病などの再発を予防し、自身に合う環境で働きたい方は、ぜひお気軽に支援機関を利用してみてください。

*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます