在職者向けのキスド会(土曜夕方に秋葉原と新宿で開催している、発達障害*のある在職者向けのしゃべり場)での会話を皆さんの承諾をもとに記事にしています。今回のテーマは職場での”いじられ”を議論してました。
Aさん: 自分は結構いじられます。今も懇意にしてくださっている先輩にいじられています。先輩は朝通り過ぎるときに、自分の肩をポンポンポンと叩くんです。こういうのって単純に驚けばよいのかなと思って「わぁ」って反応しています。でもそれだと先輩的にもつまらないらしいのです。コメントを添えたほうがよいのかなと思って、ある日「今日はソフトに来ましたね」といったら、今度は何かリアクション・コメントが「独特すぎる」と言われたんです。
Bさん: 良いコメントじゃないですか。自然ですよね。
Cさん: それが面白いんですよ。それが聞きたくてやっているんですよ。反応が。今のままで良いんじゃないですか。
Aさん: でもどうやら僕がコメントに困っている様子を見て、その先輩も最近いじらなくなってしまったなという感じです。上手なコメントを言えればよいのですが…。
Dさん: 僕は昔からいじられキャラ。上京していじられることに過敏になって、半ばアレルギーみたいになっています。親しいから”いじる”なら良いのですが、というのも、親しくなければいじりもしないわけなので。ただし、されたくない人もいるはず。まずは自分がされたくないならば明確に言うべきだと思います。それ以前に相手にわきまえてほしいなとつくづく思いますが。
スタッフ: いじられるという事は、からかいとか馬鹿にしているという側面をある程度は含んでいますものね。それがあまり強く見えてくると嫌で、その経験が積み重なって怖くなってしまうということですね。全く関心がないのよりはいじられたほうがよいのであろうとはわかるけれども…。
Dさん: 今の会社の人たちは自分のそういう気持ちをわかってくれています。なので職場でいじられることは今はないんです。逆につまらないなと思うことも有るんですが…。
Eさん: いじるなんて悪意持ってしかやらないと僕は思っています。いじられるのは大嫌いです。
Fさん: 悪意あるのとないのとを見極めるのは私達には難しいからね。
スタッフ: 確かにKaienに来る方の場合は、どのぐらいそこに好意が含まれているのか、いじめなのか、分からない人が多いですよね。真意がわかりづらい人が多くて、いじられるのが全部悪に感じちゃう可能性もありますね。
Gさん: 付き合いがある人ならある程度分かるんですけれども、付き合いが浅いところでやられると、どっちなんだろうと思いますね。
Hさん: からかいが悪意かポジティブなものかを見分ける方法は、単純にその場以外、仕事などで褒められているか、良い会話が有るかどうか、に尽きると思います。それがなければ悪意があるし、仕事上で会話が成り立ちつつ、”いじり”があるならばそれは個人的な関係なのかなぁと理解しました。
Aさん: その意味だと僕の場合はポジティブないじられかたなのかなと思いました。やっぱりいじられたときのリアクションが良くなかったのが悟られてしまったのかなと。
スタッフ: いや、それが面白かったんだと思いますけれどもね。今のお話だと、仕事は評価されている。一方でちょっと不思議なところがあるからいじっていた。だけれども、そのいじりも飽きちゃったということですかね。ちゃんとリアクションをしようと、準備されたり、思われたりした瞬間に、せっかくの面白さがなくなったじゃんというふうになったのではないかな。天然のままに、答えてほしかったのに、ということでしょうね。
Aさん: 芸人の悪い癖みたいな感じですかね。
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監修者コメント
お笑い芸人の真似をして「イジる」人がいますが、そもそもイジられている場面というのは、芸人さんの技術や日頃の関係性、テレビマンの編集・演出などで巧みに作り込まれたものなので、一般の人が真似てもあまり面白いものにならないのではないか、と思っています。芸人さんでさえ、編集がうまくないとイジメみたいに見えますしね。
僕個人としてはお笑いが好きで、芸人さんの技術論みたいなものも読んだりするのですが、芸には人間心理の高度な理解が必要なのだなと思ったりします。つまり、イジリが上手い人は「人間」に理解や愛情がある人で、下手な人はそれらがない人、とも言えるかもしれません。
*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます
監修 : 益田 裕介 (医師)
防衛医大卒。防衛医大病院、自衛隊中央病院、自衛隊仙台病院(復職センター兼務)、埼玉県立精神神経医療センター、薫風会山田病院などを経て、早稲田メンタルクリニック 院長。精神保健指定医、精神科専門医・指導医 精神分析学会所属
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