就職面接では、面接官から必ずといってよいほど「ガクチカ」について質問されます。
ガクチカに関する質問がどのようなものか知りたい方や、適切な回答例を知っておきたい方も多くいるでしょう。また、ガクチカを作るための方法が知りたい方もいるかもしれません。
この記事では、ガクチカの概要や重要性、実際に聞かれる質問や回答例、ガクチカを組み立てる流れ、ガクチカを作成する時に活用できるサービスを詳しく解説します。
ガクチカとは?
ガクチカとは「学生時代に力を入れたこと」の略称であり、企業の面接やエントリーシート(ES)でよく聞かれる質問です。
ガクチカの例として、アルバイトやサークル、ボランティア、留学などの経験から学んだことや、困難を乗り越えたエピソードなどが挙げられます。
ガクチカの概要について、以下より詳しく見てみましょう。
ガクチカの重要性やチェックポイント
企業が就職活動の面接でガクチカを重視する理由は、学生が自社に合う人材かどうかを判断するためです。企業はガクチカの回答から、困難に直面した際の乗り越え方や考え方を確認し、業務内容の適正や、既存人材との相性を見極めています。
人によって努力の仕方やモチベーションの上げ方が異なるように、企業も独自の方法で仕事に取り組んでいます。仮にガクチカがどんなに素晴らしくても、応募する企業と考え方や方向性が合わなければ、企業での活躍は難しいでしょう。
また、ガクチカはESでもよく聞かれる質問ですが、面接でさらに深掘りする目的もあります。ESだけでなく、面接でガクチカを聞くことで、より学生が自社にマッチする人材かどうかを判断しています。
ガクチカを面接で話す目的
ガクチカを面接で話す目的は、エピソードを話すだけでなく、経験を活かして入社後にどのように活躍できるかを示すことです。成果よりもプロセスを具体的に伝え、企業に合った強みをアピールする必要があります。
成果を出すまでのプロセスが応募した企業の業務内容と一致していると、企業での活躍をイメージしやすいでしょう。例えば接客がメインの仕事に応募した場合、以下のような回答が考えられます。
回答例:
「飲食店のアルバイトではお客様の様子を観察し、接客マニュアルに書かれた内容以上に声をかけました。その結果、5%売上を伸ばすことができました。」
応募した仕事でも再現できるガクチカを話すことが重要です。
ガクチカと自己PRの違い
ガクチカと似ている質問に「自己PR」があります。ガクチカと自己PRは混同されやすいですが、それぞれ質問の意図やアピール内容が異なっています。
ガクチカでは、学生時代に力を入れた経験を聞いて、物事への取り組み方や困難の乗り越え方を把握しようとする意図があります。学生側も、過去の取り組みや成果を振り返り、自分の価値観や成長性をアピールするでしょう。
一方、自己PRを面接で話す目的は、企業に自分の価値を理解してもらうことです。自分の持っている強みやスキルを発揮したエピソードを述べ「入社後も強みを活かせる」とアピールします。現在自分が持っている能力と、その能力を活かしたエピソードを語りましょう。
面接におけるガクチカ質問例5選!適切な回答例も解説
面接では、以下のガクチカ質問をされる場合が多いでしょう。
- 「学生時代に力を入れた活動について、具体的な内容を教えてください。」
- 「活動に取り組んだきっかけを教えてください。」
- 「ガクチカを通じて、どのような課題に直面しましたか?」
- 「課題をどのように解決し、結果を出しましたか?」
- 「ガクチカの経験から得た学びをどのように活かしていきたいですか?」
上記の質問の意図や適切な回答を紹介するため、面接の際にはぜひご参考ください。
学生時代に力を入れた活動について、具体的な内容を教えてください。
この質問には、面接官は学生が取り組んだ活動を通じて「どのような経験を積み、成果を出したのか知りたい」という意図があります。そのため、具体的なエピソードを用いて自分が最も力を入れた活動をアピールすることが重要です。
例えば、ゼミ活動をガクチカにする場合は、以下の回答例が考えられます。
回答例:
「大学のゼミでは、地域活性化をテーマにしたプロジェクトに参加しました。現地調査を実施し、地域住民や行政関係者と協力して地域の課題を明確にし、解決策を提案しました。この経験を通じて、情報収集の重要性やチームワークの大切さを学びました。」
最初に結論となる「何に力を入れたのか」を端的に伝えましょう。面接官が最も知りたい情報から伝えることで、その後の説明も耳に入りやすくなるためです。
結論を述べた後に実際にとった行動学びを強調すると、面接官に具体的なイメージを持たせられます。過程と結果をバランスよく伝えましょう。
活動に取り組んだきっかけを教えてください。
この質問では、ガクチカに取り組むに至った動機を問われており、仕事に対してモチベーションを持って取り組めるかを見られています。
行動の背景には、自ら行動しようとする「能動的行動」と、行動せざるを得なかった「受動的行動」の2種類があります。面接官は、学生の行動動機がどちらであるかを知りたがっているのです。
回答例として、以下のように答えるとよいでしょう。
回答例:
「地域活性化プロジェクトに参加したきっかけは、大学の授業で地域経済の縮小について学んだことです。私自身も地方から進学したこともあり『何か自分にもできることはないか』と思っていたところ、所属ゼミのプロジェクトを知りました。地元の方々と協力し、あまり知られていない地域の魅力を伝えたいと考えた私は、プロジェクトへの参加を希望しました。」
同じ活動をしていたとしても、人によって目標は異なります。何を目標にしたかを伝えると、物事に取り組む意識をアピールできるでしょう。
ガクチカを通じて、どのような課題に直面しましたか?
この質問では「学生がどのような出来事に対して困難と感じるのか」や「困難を感じた時の感情」を聞く意図があります。言いかえると、面接官はこの質問を通じて、学生の人間性を知ろうとしています。
回答例として、以下のように答えるとよいでしょう。
回答例:
「調査結果をまとめる際に、意見がまとまらず議論が難航しました。ゼミのメンバーの意見にはそれぞれの立場や背景が反映されており、どの意見を採用するかを決めるのに時間がかかり、議論が行き詰まるときもありました。」
困難を伝える際は、何が問題だったのかをシンプルかつ具体的に述べます。実際より良く見せようとせずに、起こった出来事をそのまま伝えましょう。エピソードを明確に示すと、面接官も状況が理解しやすくなります。
また、次の質問で改善策や成果を問われる可能性が高いため、困難の概要をしっかりと説明しつつ、次につながる話の流れを意識してください。
課題をどのように解決し、結果を出しましたか?
この質問では、学生が困難を解決しようとする意思や乗り越え方、やり抜く力があるかを把握し、入社後に活躍できるかを判断する意図があります。
社会人になると、学生時代には経験しなかったような困難に直面することも珍しくありません。また、問題を認識し、原因を分析して解決策を練り、実行するプロセスも求められます。
質問に答える際には、次のポイントを順に押さえるとよいでしょう。
- 課題についての思考
- 思考に基づいた行動
- 行動から得た結果
回答例としては、以下のようになります。
回答例:
「意見の食い違いを解決するためには『まず全員で目標を明確にする必要がある』と考えました。そのため、全員で目標を共有し、あらかじめ方向性を決めたうえで議論をすすめました。結果的に、調査結果を地域の行政機関に提案でき、一部が実際に施策として採用されました。」
企業で活躍する姿を想像してもらえるように、仕事に対する向き合い方をアピールしましょう。
ガクチカの経験から得た学びをどのように活かしていきたいですか?
この質問には、入社後に活躍してくれる人材かどうかを見る意図があります。ガクチカの活かし方を伝えられるように準備すると、入社後に活躍しているイメージを面接官に持ってもらえるでしょう。
この質問では、ガクチカを通して学んだことを簡潔に伝えつつ、応募した企業でどのように活かすかを答えます。回答例は以下のとおりです。
回答例:
「プロジェクトでの経験から、私は合意形成の重要性を学びました。社会人として、意見をまとめる力や協調性を活かし、チーム全体での目標達成に向けて積極的に貢献していきたいと考えています。具体的には、プロジェクトの計画段階から積極的に関わり、チームメンバーと連携を取りながら、目標達成に向けた最適なアプローチを模索していきます。」
社会人になっても、前の仕事の経験を活かして、次の仕事につなげる必要があります。ガクチカでの経験を分析し「次への活かし方を理解している」とアピールしましょう。
面接で話すガクチカを組み立てる流れ
面接で話すガクチカを組み立てるには、以下の流れに沿うとよいでしょう。
- ガクチカにおける結論から話す
- 取り組む前の状況や課題となった内容を伝える
- ガクチカを取り組む上での想いや感じたことを伝える
- 実際に行動した内容を解説する
- 取り組んだ結果や学んだ内容を伝える
- ガクチカで得た学びを今後どのように活かすか説明する
上記の流れでガクチカを話すと、面接官にガクチカの内容をしっかりと伝えられます。以下より詳しく見てみましょう。
ガクチカにおける結論から話す
ガクチカを述べるときは、まず結論から話しましょう。結論から先に話す「結論アプローチ」は、面接官に自分が何を伝えたいのかを明確に示せます。
例えば「私が学生時代に力を入れた活動は〇〇です」といった形で始めると、面接官は話の流れを予測しやすくなるでしょう。
また、結論から話すと時間の効率も良くなります。面接は限られた時間内で行われるため、結論を早めに伝えると、面接官が興味を持った部分を深掘りできるでしょう。
さらに、結論ファーストの話し方は、論理的思考力やコミュニケーション能力を示します。結論から先に話し始めると、その後の説明やエピソードが結論を裏付けるため、話の一貫性が保たれるためです。自分の思考や経験をわかりやすく伝える能力は、ビジネスにおいても重宝されます。
このように、結論から話し始めると、面接官と円滑にコミュニケーションがとれるため、ガクチカを話すときは、まず自分の伝えたいことを簡潔に話しましょう。
取り組む前の状況や課題となった内容を伝える
結論の後は、ガクチカに取り組む前の状況や課題の内容を伝えます。ガクチカに取り組む前の状況を明確に示すと、面接官が学生の置かれた状況をより深く理解しやすくなるためです。
取り組む前の状況を説明することで、課題を解決するための努力や、どのような結果につながったかを示せます。課題に関しては、具体的にどのような困難があったのかを詳しく説明すると、次の行動や結果が理解しやすくなるでしょう。
可能な限り数値を用いると、より状況をわかりやすく説明できます。具体例として、以下の2つをご覧ください。
例文1:
「アルバイトスタッフの接客が悪かった」
例文2:
「アルバイトスタッフの接客が悪く、1日に1度はお客様からクレームが入っていた」
上記を比較すると、例文2の方が状況が伝わりやすいでしょう。
取り組む前の状況や課題を伝えれば、自分自身の成長過程や学びをアピールでき、高評価につながります。
ガクチカを取り組む上での想いや感じたことを伝える
課題を挙げたら、ガクチカに取り組む上での想いや感じたことを伝えましょう。ガクチカに取り組む上で抱えた軸を、ポジティブに伝えることが大切です。
社会人になると、仕事をする上で課題に直面するシーンも多くなるでしょう。企業は学生が課題から逃げ出したり、途中で投げ出したりしない人物かどうか知りたがっています。
また、課題に直面した時にどう思ったのか、困難を乗り越えるためになぜ行動をしたのかといった感情を話すと、自分の価値観を面接官に伝えられるでしょう。
例えば「私は〇〇部のキャプテンとして『みんなで優勝したい』と思いました。」と話した場合「みんなで優勝したい」という部分が、ガクチカに取り組む上での想いに該当します。
ガクチカに取り組む上での思いや感じたことは、可能な限り具体的に伝えましょう。その際には、嘘や誇張を混ぜてるのではなく、ありのままの自分をアピールしてください。
実際に行動した内容を解説する
思いや感じたことを踏まえて、ガクチカで実際に取り組んだ行動について解説します。具体的なエピソードを交えて解説すると、取り組みの内容が面接官に伝わりやすいでしょう。
行動の部分は、ガクチカで最も重視されるポイントです。面接官は、学生が課題に対してどのような行動を取るのかを知り、入社後に課題に直面した時の行動を推測します。
例えば、部活動の経験をガクチカで話す場合、以下のようになるでしょう。
課題:
「チーム内のコミュニケーション不足が原因で、パフォーマンスが低下していたので、」
行動:
「週に2回ミーティングを設けて意見交換を行い、各メンバーの役割を明確にしました。」
課題に対してどのような取り組みをしたのか解説すると、次の結果や結論につながります。
自分が何をしたのかを明確にし、主体性が伝わるように話しましょう。そして、行動の部分が多くなるように、できるだけ詳しく話してください。
取り組んだ結果や学んだ内容を伝える
具体的な行動について解説した後は、取り組んだ結果を伝えましょう。
結果の部分は、誰が聞いても分かりやすい表現にします。数字や獲得した賞、第三者からの評価などを用いると、面接官もイメージしやすいです。
また、結果と併せて、ガクチカを通じて学んだ内容も伝えましょう。過去の出来事から学びを得られる人物は、経験から多くのことを学び、成長できる人材だと評価されるためです。
反対に、ガクチカで得た学びを答えられないと「成長意欲や上昇志向が低い」と判断されるおそれがあります。
回答例として、以下の内容が考えられます。
回答例:
「この取り組みによってチームの結束力が高まった結果、関東地区予選を優勝し、全国大会出場を果たしました。私は部活動の経験から、チームワークの重要性を学びました。」
結果の部分は客観的な評価を盛り込むと、より説得力のあるガクチカになるでしょう。あまり長くなりすぎないように、簡潔に伝えてください。
ガクチカで得た学びを今後どのように活かすか説明する
最後に、ガクチカで得た学びを面接先の企業でどのように活かすかを伝えます。面接官に自分の価値や将来性をアピールするためには、入社後に働く姿がイメージできるように説明しましょう。
面接官は、入社後に活躍できる人材かどうかを判断するために面接を行っています。今後の展望については、入社後にどのような仕事がしたいか、自分の学びを仕事に活かせるかが重要です。業務内容や事業内容を挙げると、本気度や意欲が面接官に伝わりやすくなります。
具体的な回答例は、以下のとおりです。
回答例:
「御社の営業職では、顧客との関係構築やチーム内での協力が求められます。私が部活動で学んだチームワーク力は、御社に入社した後も活かせるのではないかと感じております。」
ガクチカでの学びを仕事でも活かし、活躍できる人材であるとアピールしましょう。その時には、企業の社風や仕事内容、企業理念などが学びとマッチしていることが重要です。
面接で話すガクチカを作るために活用できるサービスを紹介
面接で話すガクチカを作成するには、次のサービスを活用してみましょう。
- 大学生向け支援「ガクプロ」
- 就労移行支援
- 自立訓練(生活訓練)
Kaienでは上記のサービスを運営し、就職活動に関する支援を提供しています。特に「ガクプロ」はKaien独自のサービスであり、大学生や専門学生、大学院生を対象にしています。
就職活動だけでなく、学生生活の支援を受けたい方にもおすすめです。
それぞれのサービス内容について、詳しく見てみましょう。
大学生向け支援「ガクプロ」
Kaienでは、発達障害やグレーゾーンの大学生や専門学生、大学院生に向けた支援プログラム「ガクプロ」を運営しています。
ガクプロでは、学習・生活面での伴走支援と並行して、就職活動に向けた支援を行っており、障害者雇用枠の利用を考えている学生からも人気です。
ガクプロのカリキュラム内容は、以下のとおりです。
- 職業体験:さまざまな職業を体験し、適職を見つける
- 就職講座:ビジネススキルや就職活動について勉強する
- ライフスキル講座:コミュニケーションやセルフコントロール方法を習得する
- カレッジ講座:安定した学生生活の送り方を学ぶ
- 仲間づくり:趣味について話したり、他の利用者の話を聞いたりする
利用者は全員学生であるため、悩みごとや困っていること、心配なことを気軽に相談できるでしょう。
ガクプロに関しては、以下の記事もご参照ください。
就労移行支援
ガクチカを作成するには、就労移行支援の利用もおすすめです。就労移行支援とは、企業での一般就労を目指す障害のある方に対し、働く上で必要なスキルを身につけるための支援や、就職活動に向けた支援を行うサービスです。
Kaienの就労移行支援では、就職活動を成功させるための基礎知識を習得し、就職面接を成功につなげられるでしょう。
プログラムの中にはガクチカ作成も含まれており、自分の経験を分析して、スタッフと一緒にガクチカを作成できます。また、スタッフとの面談を通して自分の強みを見つけられるでしょう。
さらに、Kaienは発達障害や精神障害に理解のある企業200社以上と連携しているため、独自の求人を紹介できます。Kaienの就労移行支援に関しては、以下の記事もご参照ください。
自立訓練(生活訓練)
自立訓練(生活訓練)を活用すると、ガクチカ作成に役立ちます。自立訓練(生活訓練)とは、障害のある方が日常生活を送る上で必要なスキルを身につけられるサービスです。
Kaienの自立訓練(生活訓練)では、時間の有効活用やタスク管理のスキル、優先順位の付け方などを学べます。利用者全員で講座を受け、2〜8週間ほどの実践プロジェクトを行い、課題に取り組みます。
集団講座や実践プロジェクトを通じて学んだことは、ガクチカでのエピソードにも応用できるでしょう。学校や家庭では改善できなかった課題をスタッフと一緒に取り組むため、自分自身の成長につながります。
また、自立訓練(生活訓練)でも進路選択や就職活動について学び、面接でアピールする方法を習得できます。
Kaienの自立訓練(生活訓練)に関しては、以下の記事もご覧ください。
面接で話せるガクチカをサービスを利用して作成しよう
面接におけるガクチカとは「学生時代に力を入れたこと」を指し、就職面接でよく聞かれる質問です。企業がガクチカを聞く目的は、学生が自社で活躍できる人材かどうかを見極めるためです。
就職面接でのガクチカ質問は、ESに書いた内容を深掘りするために聞く場合が多いでしょう。また、面接でガクチカを話す場合は、話の流れを組み立てることが重要です。
Kaienでは、面接でのガクチカ作成に役立つサービスを運営しています。就労移行支援や自立訓練(生活訓練)に加えて、大学生向け支援「ガクプロ」も実施しており、発達障害のある学生に向けた支援を行っています。
ご見学や体験利用に関しては、オンライン個別面談やお電話にて、お気軽にご相談ください。