内定がでない原因とは?対策や学生向け就活支援についても紹介

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就職活動をしている学生にとって、「内定がでない」という悩みは切実です。「なぜ自分だけ内定がでないのか」「やり方が間違っているのか」など、悔しい思いをしている方もいるのではないでしょうか。

本記事では、内定がでない人の割合、企業が就活生に求めること、内定がでない原因、

内定がでないときの対策を解説しています。また、発達障害*の方に向けた就活支援も紹介します。

厚生労働省の調査では通常学級の児童の約6.5%は発達障害(脳機能の特性により、社会的なコミュニケーションや行動に困難が生じる症状)の可能性があり、大学生においても発達障害が原因で就活に影響が出ている方は少なくないと考えられます。

ぜひ最後までご覧ください。

内定がでない人はどれくらいいる?

就職未来研究所の調査によると、過去3年間の就職内定率は以下の通りです。

【大学生全体の就職内定率(2024年5月時点)】

2025年卒2024年卒2023年卒
4月1日時点58.1%48.4%38.1%
9月1日時点91.5%90.8%
3月卒業時点96.8%93.8%

出典:就職未来研究所|就職プロセス調査(2025年卒)「2024年5月1日時点 内定状況」p.2

3月卒業時点では、約5%の人が内定が出ていないという結果となっています。卒業に近づくにつれて内定者が増えていき、9月1日時点では内定がでていない人は例年10%以下です。内定がでない人たちにとっては、焦る気持ちが強くなる時期といえるでしょう。

企業が就活生に求めることとは?

内定がでないと悩んでいる方の中には、「自分は企業から求められていない」と不安に感じている方もいるでしょう。では、企業が新卒社員に期待することとは何でしょうか。

2021年に行われたマイナビの調査によると、企業が新卒社員に求める能力は以下の通りです。

1位 コミュニケーション力 19.8%
2位 協調性 18.1%
3位 誠実性 17.4%
4位 ビジネスマナー 14.7%
5位 主体性 9.6%

出典:マイナビニュース|先輩社員1,000人に聞いた新卒社員に最も求めることランキング

新卒入社に対しては、実務スキルや実績よりも、コミュニケーションスキルや協調性、誠実性といった能力が重視されます。これらの能力は、新卒社員にとって特に大切な今後の成長に欠かせない要素だからです。

上記の能力が不足しているようであれば、それらの能力を磨く努力が必要になるかもしれません。逆に能力が備わっていると感じるなら、エントリーシートや面接でしっかりアピールできているか見直してみる必要があります。

このように、内定を獲得するためには、企業が求める人物像を意識しながら活動をすることが大切です。しかし、発達障害の方は特性上、努力で改善するのが難しいと感じられることが少なくありません。この場合、専門的な支援や訓練を受けられる就職支援機関などを利用する方法があります。

内定がでない際に考えられる原因

内定がでない場合は、何が原因なのか分析することが大切です。原因がわかっていないと、具体的な対策も取れません。

原因は人それぞれ違いますが、大きく分けるといくつかのパターンがみられます。ここでは、内定がでない代表的な原因として、以下の5つを解説します。

  • 自己分析ができていない
  • 倍率が高い人気企業ばかり受けている
  • エントリー数が少な過ぎる
  • エントリーシートや面接でうまく伝えられていない
  • 面接での印象が良くない

なお、次項より対策を紹介しますが、特性上限界があり、自分の努力で対応するのがむずかしい場合もあります。その場合は支援を受けたり、苦手な事への調整・配慮を受けることをおすすめします。

自己分析ができていない

内定がでない原因の一つに、自己分析が不十分なことが挙げられます。自分のやりたいことや自分に合った企業が明確でなければ、就職活動での熱意ややる気はなかなか伝わらないものです。

例えば、親に勧められた企業を選んだり、企業のイメージだけで選んだりすることもあるでしょう。しかし、このような選び方では、自分の将来像がはっきりさせられず、説得力のある志望理由を面接官に伝えられないでしょう。

さらに、自分の強みや弱みを把握していないと、面接での自己PRが抽象的になりがちです。具体的なエピソードを交えた説明ができず、他の候補者との差別化が難しくなります。

自分で客観的に自己分析するのがむずかしい場合には、就職支援機関などに相談するとよいでしょう。

倍率が高い人気企業ばかり受けている

内定がなかなかでない大学生に多い問題の一つは、企業選びの軸がなく、倍率が高い人気企業ばかりを受けていることです。例えば、知名度の高さやイメージの良さなどから、大手企業やメディアに注目される企業ばかりエントリーしてしまう人が少なくありません。

しかし、人気企業は多くの応募者の中から希望の人材を選べる立場にあり、スキルや学歴などの選考基準を高く設定しているのが一般的です。つまり、内定を得るのが難しい企業ばかり選んでいることになります。

また、こうした学生は業界を絞り込んでいない場合が珍しくありません。結果として、業界理解の浅さと、本質的な志望動機がないことが面接官に伝わってしまい、内定をもらえない場合があります。

エントリー数が少な過ぎる

エントリー数が平均に比べて少なすぎて、そもそも内定をもらえるチャンスが少ない人もいます。「本命企業だけに絞ろう」「たくさんの企業にエントリーすると準備が大変」などと考えて、数社しかエントリーしていない人は要注意です。

株式会社キャリタスの2022年の調査によると、就活生の平均エントリー数は3月1日時点で平均19.6社でした。その後の予定エントリー数が平均11.6社であることを考えると、就職活動全体で約30社エントリーすることになります。

エントリー数が少なすぎる場合は、業種や職種、会社の規模などを絞り込み過ぎていないか、検討の余地があるでしょう。

出典:キャリタス就活|3月1日時点の就職活動調査

エントリーシートや面接でうまく伝えられていない

エントリーシートや面接で自分の良さを上手に伝えられないと、なかなか内定はもらえません。良さが伝わらない原因としては、まず、自己分析ができていない点が挙げられます。

自分の強みや志望動機を明確に理解できていないために、使い回しの文章や就活本の想定問答集をそのままコピーしてしまってはいないでしょうか。これでは、企業に対して独自性や熱意が伝わりません。

また、企業理解の不足も原因です。企業の求める人物像や価値観を理解せずに応募すると、採用担当者に対して説得力のあるアピールができません。これにより、企業からミスマッチの人材だとみなされることがあります。

エントリーシートの質が低いのもよくあるケースです。「誤字脱字がある」「指定文字数よりも少ない」「記述ルールを守っていない」などの基本的なミスがあると、かなりの確率で第一印象が悪くなります。最悪、書類選考で落とされてしまうでしょう。

面接での印象が良くない

面接での印象が悪く、内定がでない原因の一つに面接のマナーが身に付いていないことがあります。具体的には、ノックの回数やお辞儀の角度、挨拶の文言などの基本的なマナーが守れていないなどです。

また、身だしなみに清潔感がない、奇抜な格好をしていることでも印象を悪くします。面接官は第一印象で多くの情報を判断するため、清潔で整った身だしなみは非常に重要です。

さらに、人の話をよく聞かずに印象を悪くする学生もいます。面接官の質問を的確に理解し、適切に答えるためには、しっかりと聞く姿勢が求められます。これができていないと、コミュニケーション能力が低いと判断されるでしょう。

面接官は応募者がどういう人間か見極めようとしています。上記のような問題があると、自分のスキルや熱意などをアピールできても、悪い印象のフィルターを通して評価されてしまうため、内定に結びつきにくくなってしまいます。

しかし、自分の感覚や基準がズレており、マナーを守っているつもりでも良い印象を与えられていない人も少なくありません。不安をお持ちの方は、就職支援機関などに相談し、第三者の目線で見てもらうのも良い方法です。

内定がでない場合に試したい4つの対策

内定がでない原因がわかったら、次に対策を講じましょう。ここでは内定率を高める次の4つの対策を紹介します。

  • 自己分析をやり直す
  • 企業研究を行う
  • エントリーシートを添削してもらう
  • 面接の練習をする

いずれも自分一人でできますが、他の人の力を借りるのも良い方法です。

自己分析をやり直す

内定がでない場合はしっかり自己分析して、就活の軸を作ることが重要です。以下の内容を中心に分析するとよいでしょう。

将来の自分像

将来どんな自分になっていたいかを考えましょう。どのような職業に就きたいのか、どのような生活を送りたいのかを具体的にイメージすることが大切です。

価値観の確認

価値観は仕事を選ぶ際に大きな指針となります。例えば、仕事とプライベートのバランスや社会貢献など、自分が重視するポイントを明確にしましょう。

強みと得意分野

強みや得意分野を知ることも必要です。過去の経験を振り返り、自分が成功した場面や他人から評価された点をリストアップするとよいでしょう。
自己分析が難しいと感じる場合は、友人や親、就職支援機関のスタッフなど、第三者に相談するのも良い方法です。特にキャリアアドバイザーやカウンセラーなどのプロからアドバイスを受けると、自分では気づかなかった資質や適職をみつけやすくなります。

企業研究を行う

熱意が伝わる志望動機を作るには、企業研究が欠かせません。以下の方法を活用するとよいでしょう。

コーポレートサイトや就活サイト

基本情報を把握するのに向く媒体です。コーポレートサイトには、企業の歴史や経営ビジョン、事業内容が詳しく載っています。就活サイトでは、企業の評判や働き方、先輩社員のインタビューなどが参考になります。

OB・OG訪問

実際にその企業で働いている人の話を聞くことで、企業の雰囲気や業務内容を具体的に理解できます。さらに、活躍している社員の人物像やビジネスマインドなどについてのリアルな情報が得られます。

最新ニュースやプレスリリース

企業の最新ニュースや新製品・新プロジェクトに関するプレスリリースといった旬の話題をキャッチできます。
上記の方法を通じて、明確な志望動機や将来の具体的なビジョンを持つことで、内定を得やすくなります。

エントリーシートを添削してもらう

内定がでない大学生は、自分でエントリーシートの欠点に気づいていない可能性があります。そこで、第三者に添削してもらうことが重要です。

大学のキャリアセンター(就職部、就職センター)や就活エージェントなどでは、知見を持ったスタッフがエントリーシートを添削してくれます。誤字脱字や言い回しの修正だけでなく、自己PRや志望動機の内容についても具体的なアドバイスを受けられます。プロの目線でチェックしてもらうことで、企業が求める人材像に合った表現にブラッシュアップできるでしょう。

また、志望業界の先輩やOB・OGに見てもらうと、業界特有のアピールポイントや企業文化に即した表現について具体的なアドバイスが得られます。先輩の経験を活かすことで、より説得力のあるエントリーシートに仕上がります。

面接の練習をする

面接の予行演習をすることで、普段使わない敬語やビジネスマナーを守った振る舞いに慣れることができます。繰り返し練習することで、面接官の前でも自然に話せるようになり、リラックスして自分を表現できるようになるでしょう。

予行演習にはいくつかの方法があります。手軽な方法はスマホなどで練習を撮影する方法です。姿勢や話し方を客観的に確認でき、自分では気づかない癖や改善点をみつけやすくなります。

大学のキャリアセンターや就職支援機関でも、面接指導を受けられます。この方法は、プロのキャリアアドバイザーから実践的なアドバイスを受けられるのがメリットです。例えば、結論ファーストで話すPREP法や、エピソードの内容を具体的に肉付けする方法などを教えてもらえます。

発達障害・グレーゾーンの学生向け就活支援「ガクプロ」

「頑張っているのになぜか内定がでない……」という場合は、発達障害に原因があるかもしれません。

発達障害とは、脳機能の特性により、社会的なコミュニケーションや行動に困難が生じる症状です。またグレーゾーンとは、確定診断には至らないものの発達障害の傾向があるという状態を指します。

ここでは、発達障害やグレーゾーンの学生向けの就活支援「ガクプロ」について紹介します。

「ガクプロ」とは?

Kaienが運営する「ガクプロ」は、発達障害やグレーゾーンの学生の方に向けた就活支援サービスです。

発達障害・グレーゾーンの方は、「こだわりが強すぎる」「集中できない」「読み書きが苦手」など就職活動のハードルとなる特性を持っている場合が少なくありません。このような方を「ガクプロ」はバックアップいたします。

例えば、適職や強みがわからない方には、「経理書類チェック」や「プレゼント提案」などの職業体験を提供し、適性をみつける手助けをします。面接がうまくいかない方は、コミュニケーションの方法や怒り・不安のコントロールなど、ライフスキルを学べる講座がおすすめです。

エントリーシートの作成支援や志望企業の選定支援などの個別相談も、発達障害・グレーゾーンの方に特化しています。また、就労移行支援(発達障害や精神障害などで職業訓練や支援が必要な人向けの福祉サービス)や自立訓練の提供や、障害者雇用(障害に配慮した職場環境での就職)での就労支援を提供しているのも特徴です。

このように「ガクプロ」は、一般的な就活支援機関では対応しきれない領域をカバーしています。就職活動で「十分な支援を受けられない」「心を打ち明けて相談できない」といった悩みがある方は、ぜひご相談ください。

「ガクプロ」からの就職事例

B香さんは、女子学生時代、立ち振る舞いが不器用で、同級生との人間関係に悩むことが多くありました。アルバイトも数日で辞めることが続き、自信を失っていたといいます。

そこで、大学4年生になってから「ガクプロ」に通い始めました。「しゃべり場」というグループワークで、他の人も発達障害・グレーゾーンの悩みを抱えながら社会に適応していることを知りました。また職業訓練では、ミスが多い弱点と、発想力の高さや素直さという強みを理解できたといいます。

卒業後、就労移行支援を利用して本格的に就職活動を開始。「自分の得意を活かすには、自身の特性への配慮がある職場が良い」と考え、ビルメンテナンス会社の事務職に応募し、内定を獲得しました。

「ガクプロ」からの就職事例

内定がでない場合は一人で抱え込み過ぎない

内定がでない悩みを抱える学生は多くいます。原因はさまざまで、それに応じた対策が必要です。

まずは自分の現状を見直してみましょう。一人で抱えこまず、キャリアアドバイザーやカウンセラーなどのプロのアドバイスを受けるのも良い方法です。

発達障害が原因で内定がでないのではと悩んでいる方は、Kaienにご相談ください。「ガクプロ」では、一般的な就活支援機関ではカバーできない、発達障害・グレーゾーンの方向けのサポートを多数提供しています。

自分に合った方法で就職を目指したい方はぜひお気軽にご相談ください。

*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます