【就職体験記】入社6年目を迎えた「今」だから言えること

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Kaienで実施しているプログラムの一つである『ようこそ先輩』は、Kaienの就労移行支援を修了し、実際に働かれている先輩方の生のお話を聴ける会です。本記事は、そのインタビュー動画の内容を編集し、記事にまとめています。

今回取り上げるのは、初めて入社した会社で現在も安定的に働かれているTさん。趣味は、旅行、グルメ巡り、ゲーム。入社6年目を迎えた「今」の心境について、お話を伺いました。

インタビュー実施日:2024年2月17日

言葉の遅れから診断に。自分をコントロールしていた学生時代

子どもの頃は、自分の赴くままに行動することが多かったです。楽しいことがあると、ハイテンションになりやすくて、嫌なことがあると切り替えがなかなかできないところがありました。

発達障害の診断を受けたのは、小学校2年生の時です。言葉を話し始めるのが遅いことに親が気づいて、診断につながりました。その頃のことはほとんど覚えていません。今思えば、上手く人とコミュニケーションが取れていなかったなと感じますね。

中学校に上がると、徐々に周りの人を意識し出してしまって、周りから自分はどう思われているかが気になるようになりました。自分で自分をコントロールするようにもなりましたね。それからは、控えめな性格になっていったと思います。

大学へも進学したのですが、その時は障害を抱えていることを隠しながら通っていました。すでにこの頃には障害枠で就職しようと決めていて、大学4年生くらいの時にKaienのガクプロ(Kaienが実施する大学生・専門学校生向けの就職支援プログラム)も利用していました。

私自身、実はKaienの就労移行支援では2週間ほどしかお世話になっていなくて。ガクプロからの流れでそこへ決めました。ちなみに、Kaienにつながる前の約2ヶ月間は、職業訓練校に通っていました。それは親からの勧めです。

自分の「就活の軸」を一貫してぶらさずに、応募を進めました

――就活で重視していたことはありますか?

就活の時に重視していたことは、まずは障害者雇用であること。自宅から通いやすい距離の職場、フルタイムで働けること。あとは、仕事内容が事務職であることでした。

――就活でやっておいて良かったこと、逆にもっとやっておけば良かったと思うことはありますか?

良かったことは、履歴書の作成ですね。早めに履歴書を作成していたおかげで、就活がスムーズに進みました。一度作ってしまえば、他のところに使いまわしができるのでかなり楽でした。

やっておけば良かったことは、面接練習です。私はあまり面接練習をしなかったので、面接の際に企業側に配慮してほしいことを上手く伝えられなかったんですね。Kaienで訓練をしている時にもう少し練習しておけば良かったなって思いました。

ただ、面接の時にKaienの担当スタッフさんが同行してくださることがあって、安心感があったことを覚えています。私が答えに詰まってしまった時、フォローをしてくださることがあったのでその点は良かったです。

――就活で苦労したことはありますか?

大学4年の頃から就活自体は始めていたのですが、なかなか決まらなかったことですね。応募した会社は10件ほどあって、どれも今の会社と変わらない条件で選んでいました。

当時は、Kaienの合同面接会というものがあったのですが、それを使ったり、ハローワークにも通ったりしていましたね。

初めて就職した会社で安定して勤務。入社6年目を迎えて

今は入社してから6年目になります。主に郵便や宅配便の発送業務、書類のデータ入力などをしていて、他にも別のチームのサポートで様々なことを行っています。業務の種類は30〜40ほどで、数えきれないほどあります。

初めは、3ヶ月間のトライアル雇用から始まって、その後は約4年ほど契約社員の形態で働いていました。それから正社員登用の試験があって、無事にそれに受かって今に至るというような感じです。

正社員になると、自分で業務の進捗を管理しながら仕事をするようになったので、そこがトライアル雇用と契約社員との違いでした。

給料をもらえた時は嬉しかったですね。今働いている会社が初めて就職したところだったので、こんなにお金をもらえるんだという嬉しさと達成感がありました。

――職場で苦手なことに対して行っている工夫を教えてください

苦手なことは2つあります。

1つ目は、報連相をする際に、内容を相手に上手く伝えられなかったことです。工夫としては、報連相をする時や相手からの質問に答える時、必ず結論から言う、数を明確に伝えることを意識して行っていました。

2つ目は、指示を受ける時のメモを上手く取れていなかったことです。私は、不注意で忘れてしまう特性があるため、やるべきことの「一覧表」と「チェックリスト」を作成し、完了したらチェックを入れて漏れがないように努力をしていました。

――今後改善していきたいことはありますか?

最近は他社の方とも連携して仕事をする機会が増えてきているので、コミュニケーション力を高めつつ、外部の方と連携しながら仕事をすることに慣れていきたいと思っています。

――今のお仕事に就いて良かったことはありますか?

まずは、自宅から通いやすいところですね。あとは、自分と同じようにいろんな障害特性のある方がいらっしゃるので、働きやすいなと感じます。社食が無料提供で、福利厚生が充実しているところも気に入っています。

上手くいくコツは1人で抱え込まないこと

――今後の目標はありますか?

業務として、メールや問い合わせのやり取りを任せていただいているので、回数を重ねて徐々に慣れていきたいと思っています。

――働く上で休日の過ごし方は重要になると思いますが、どのように過ごされていますか?

休日の過ごし方としては、基本は土曜日に出かけて、日曜日は翌日の仕事に備えて家でゆっくり休むことが多いですね。あと、毎週ではないのですが、土曜日は余暇活動としてサークル活動をしています。同じように障害を持った方たちと筋トレをしていて、体を動かすことをしています。

――最後に皆さんに向けてのメッセージはありますか?

就活をしている時や就職直後のタイミングでは、上手くいかないことがたくさんあると思います。そんな時は、一人で抱え込まずにKaienのスタッフさんに相談しつつ、めげずに頑張っていればいずれは上手くいきますので、皆さんも頑張ってください。

所属拠点:Kaien東神奈川

利用期間:2週間(2018年5月)


※インタビュー内容については、表現を一部改変しています。

*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われています