在職者向けのキスド会(土曜夕方に秋葉原と新宿で開催している、発達障害のある在職者向けのしゃべり場)での会話を皆さんの承諾をもとに記事にしています。今回は「飲み会が苦手。でも同世代が気になる…」について議論しました。
目次
飲み会が苦手です
Aさん) 「健常者とのコミュニケーションがうまくいかない」とか「うまく言葉が出てこない時」とかって皆さんどうですか? 前の一般枠で勤めてた会社の飲み会とか、大学の時もそうだったんですけど、全然言葉が出てこない。なので飲み会に行っても「全然話さないけど、大丈夫?」って言われちゃいます。ノリの中でうまい返しをしないとって意識して、話すのも怖くなっちゃって、言葉がなかなか出てこなくて「お前大丈夫か?」って言われるんです。なので過剰に意識しすぎて行くのが苦痛になるんです。大学の時もサークルには所属してたので飲み会に誘われるんですけど、今でも比べちゃうんですよね。他の方たちは同い年とかで、きっとわいわいやっているんだろうなって。
Bさん) わかりますわかります。健常者との会話で、職場では私から話さないようにしてます、必要なこと以外は。基本受け身で、言われたことに対して言う、墓穴堀りたくないので。会社では受け身で、普通の大学の子とかと会う時は、ある程度仲が良かったら話しますけど、そこでも結構言葉を選びます。私も言葉がさほど出てこないので、ボキャブラリーが無いなーって思うことがあるんで、テレビ観たり新聞見たりして言葉覚えて、それをうまく使えるようにはしてます。あと楽しい感覚が無いってのも私もありまして、その場では楽しいんですけど、家帰ったり帰りの電車とか乗ってたり、振り返るとなんか楽しかったって感覚が、私もわかんなくて。同じなのかなって。
Aさん) そうです。
Bさん) ですよね。で、私も原因がわかっていなくて。一応服薬していてその副作用もあるらしいので、それなのかなって私は思ってます。
Cさん) 大体どれぐらいの頻度で誘われてたんですか?
Aさん) 一カ月に一回くらいだったんです。断っていたらどんどんどんどん誘われなくはなったんですけどね。他の人たちがすごい楽しそうにしてて「何がそんな楽しいのだろう」って思ってしまって、でも「若いんだから楽しもうぜ」みたいな感じもあるので、私はちょっとみたいな…。なので親にもよく「なんでワイワイ出来ないの?」「周りはそういう感じなのに」みたいなことを言われたりして育ってきたんです。
「あいつは参加しねーな」キャラで割り切る
Dさん) 私の場合はもう子供の頃から自分がおかしいのはわかっていたので、基本的に自分はそういう人間だっていう受け入れはもう自分でしてたんですね。で、社会に出ても、大人の付き合いっていうのもあるじゃないですか。だから自分の中にルールを設けて、年末年始の仕事納めと仕事始めの大人としてけじめをつけなければいけない時だけ出る。あとは参加しなくて「あいつ参加しねーな」とか言われても知ったこっちゃないっていう割り切りとルールを作ってますね。飲み会に参加しても気の利いたことや女性らしい気遣いなんて全く私出来ないので。今まであんまり誘われる職場でもなかったんですけれども、出来ないので、自分の中でも出来ないから、求められても「知った事か!」ですね。そこは私は割り切っちゃってます。「私に期待するな」という割り切りですね。
Cさん) 二点いいですか? 例えば飲み会とかでの場に行きたい気持ちはあるんですか? それともあんまり行きたくないなと思ってんのかというのがあって、どっちなのかなと。
Aさん) 行きたい気持ちもあるんですけれども、どうせ楽しく無いかなって……
Cさん) 例えばその場だけ演じるみたいな、楽しいことは。その場では難しい感じですかね。
Aさん) 出来るんですけど、凄く疲れますね。
Cさん) なるほど。
Aさん) そういう感じなので、でもやっぱり行きたくないと思うことが多かったので、本当今はなにもって感じですね。
共通の話題が話せる人と酒を楽しむ
Eさん) 自分も基本的には似たタイプです。おっしゃられた通り、昔から変わってると言われるタイプで、他の人の楽しみとは違う楽しみ方をしている所があったんですね。ただそれでも大学に入って、自分考古学を専攻したんですけれども、言ってしまえば似たような人間がいくらでもいるわけですよ。似たような考え方をする人が。簡単に言ってしまえば共通の話題ですね。大学の飲み会の中でもその話しかしない。なんかわけもなく楽しそうにしなきゃじゃなくて、共通の話題をするから楽しい。ていう中で、酒を飲むことを覚えたい。と言ってましたね。だからもし自分に何か好きなものがあるとか楽しみがあるとしたら、そこの話題で楽しめる人と、お酒は飲んだ方が良いと思います。一方で実家に一時期帰ったことがあって、地元の消防団に入ってたんですけど、一切酒飲みが楽しくないんですよね。
スタッフ) 地元の消防団?
Eさん) はい。言ってしまえば、共通の話題をする人が誰もいないんですよね。いくら地元で顔を知ってるって言っても。だから本当に居心地が悪かったです。酒を飲むのを楽しむ、そういう場を楽しみたいのであれば、出来るだけ共通の話題が出来て共通に楽しめる人たちじゃないと、どんなに酒の席だろうと面白くないものは面白くないと思います。
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監修者コメント
飲み会に参加する、しないは、実は結構複雑な問題です。色々なタイプの職場もあるので、一概にどうこうは言えませんが、飲み会よりも日ごろのコミュニケーションの方がはるかに大事なことは変わりありません。飲み会の場で気が合っても、それが日中に反映されるか、と言われたら、そんなこともないよなと思います。もちろん、飲み会の場で本音を言えたら、距離が縮まるかもしれません。しかし、それも昼間の職場で話してもいいわけで、わざわざ飲み会である必要はどこにあるのか、とも思います。僕自身は飲み会が好きですが、そもそも「おしゃべり」が好きなので行っています。診療室で患者さんから相談されても飲み会でなくても人とやり取りする手段は色々あるとお伝えしています。
監修 : 益田 裕介 (医師)
防衛医大卒。防衛医大病院、自衛隊中央病院、自衛隊仙台病院(復職センター兼務)、埼玉県立精神神経医療センター、薫風会山田病院などを経て、早稲田メンタルクリニック 院長。精神保健指定医、精神科専門医・指導医 精神分析学会所属
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