療育手帳と精神手帳

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療育手帳とは

療育手帳は知的障害のある方に交付されます。
診断基準は、以下の3点が考慮されます。

  • 知能検査によって知的機能の遅れが認められる
  • コミュニケーションや社会参加、自立生活等の継続的な支援の必要性が認められる
  • 18歳以前に上記2点の特性が認められる

知的障害は、多くの場合18歳までに診断され、療育手帳も18歳未満で申請・交付されます。
18歳未満まで、子どもとみなされる年齢では数年置きに再判定があります。
18歳になると成人としての判定がされます。その際、状況に応じて区分や等級が再検討されます。
※知的障害特別支援学校高等部に進学する場合、療育手帳の取得が必要な場合があります。

区分や等級は自治体により異なります。例えば東京都では以下のように区分されています。
※東京都の療育手帳は「愛の手帳」と言います。

  • 1度(最重度):知能指数がおおむね19以下で、生活全般にわたり常時個別的援助が必要
  • 2度(重度):知能指数がおおむね20~34で、社会生活を送るために個別の援助が必要
  • 3度(中度):知能指数がおおむね35~49で、何らかの援助のもと社会生活を送ることが可能
  • 4度(軽度):知能指数がおおむね50~75で、簡単な社会生活の決まりに従って行動できる

精神手帳

精神手帳は、正式には精神障害者保健福祉手帳といいます。
精神障害や発達障害*があるために日常生活・社会生活の制約がある人に交付されます
日本では、発達障害「専用」の障害者手帳はなく、知的障害を伴わない発達障害の方は精神手帳を取得することになります。
精神障害は、うつ、不安障害、統合失調症等です。
発達障害は、自閉スペクトラム症(ASD)や注意・欠如多動性障害(ADHD)、限局性学習症(SLD)等です。

精神手帳は以下の等級に分けられます。

  • 1級:自立しての生活が困難な方。他の人の手を借りながらでなければ日常生活が送れない方。
  • 2級:常に人の手を借りなければならないほどではないが、日常生活が困難な状態の方
  • 3級:障害は軽度だが、日常生活や社会生活で何らかの制限を受けている方

療育手帳と精神手帳の共通点と異なる点

【共通点】

以下の福祉サービスを受けることができます。

  • 税金の優遇措置や医療費の助成
  • 公共料金・電話料金、公共交通機関・公共施設・映画館等の無料化や割引
  • 生活保護の障害者加算等
  • 障害者雇用枠での就職(障害者手帳を取得していても一般枠で就職すること可能です。)
【異なる点】
  • 精神手帳:原則、有効期限は2年になります。そのため2年毎に更新の手続きが必要です。更新の際に等級等の再審査が行われます。
  • 療育手帳:原則、有効期限はありません。ただし、自治体によって、手帳に次の再判定の時期が記載されている場合等は、更新の手続きが必要です。

福祉サービスの観点では、精神手帳より療育手帳の方が、福祉サービス等が手厚いと言えます。

療育手帳と精神手帳は同時に持つことができる?

知的障害と発達障害を重複している場合、両方の手帳を持つことが可能です。

療育手帳と精神手帳を重複して取得するケースには次のような例が考えられます。
※あくまでも一例であり、個人の状況によって申請状況は様々です。

  • 18歳未満から知的障害と精神障害・発達障害を重複していた人
    ※この場合、療育手帳のみを取得していることが多いです。
  • 18歳未満で療育手帳を取得し、18歳以上で精神障害を発症した人
  • 18歳以上で初めて発達障害や知的障害の診断を受け、両方の手帳を申請する人

就職活動では複数の障害者手帳を持っていること自体に、大きな有利不利はありません。
※複数の障害者手帳を持っている方が、受けられる企業がわずかに増える可能性はあります。

手帳の交付基準は、自治体によって異なります。
詳細はお住いの自治体のウェブサイトや福祉課の窓口でご確認ください

発達障害と障害者手帳

*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます

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