- 傷病手当金(しょうびょうてあてきん)は、病気やケガで会社を休んだ時に、健康保険の制度から支給される生活費のことです。
- 発達障害*の人は、失業直前にこの制度を活用することがあり、雇用保険(失業保険)との給付タイミングに注意する必要があります。
傷病手当金 誰がもらえるの?
傷病手当金は、正社員、契約社員等、職場の健康保険に加入している人が支給対象になります。逆に言うと、アルバイトやまだ働いていない人は、支給対象ではありません。
数日程度の病気やケガをした場合、多くの人は有給休暇を利用するでしょう。傷病手当金は病気やケガが、数週間から数か月に渡る場合、有給休暇ではカバーできない場合に支給されるものになります。
また工場の機材で手にケガを負った、通勤の途中で自転車事故に巻き込まれた等の仕事に関わるケガは、障害手当金ではなく労災保険によってカバーされます。
このため、支給対象となるのは以下の条件を全て満たしている人になります。
- 働いている人
- 職場の健康保険証を持つ人
- 病気やケガで長期間働けない人 ※
- 給与を受け取れなくなった人
※業務外の事由による病気やケガの療養のため仕事を休んだ日から連続して3日間の後、4日目以降の仕事に就けなかった日に対して支給されます。
ちなみに同じ理由での申請でなければ、複数回利用できます。
支給額は?
細かな計算式がありますが、端的に言うと「給与の2/3」です。
具体的には、傷病手当金をもらう直近の12か月の標準月額(基本給のほか、役付手当、勤務地手当、家族手当、通勤手当、住宅手当、残業手当等を含む。一方で、ほとんどの場合は賞与は含みません。)の平均に、2/3をかけたものがおおよそ一か月の支給額になります。
厳密には日単位の支給ですので、さらに30を割ったものが日額となります。
また入社して12か月たっていない場合でも、傷病手当金は問題なく支給されます。その場合は、入社後の平均給与が計算の基準となります。
手続きの際の注意点は?
手続きは、病気やケガについて医療機関で書類を書いてもらい、勤務先の労務担当に届け出ます。
注意しなければいけないのは、自己判断ができる時に早めに決断、申請を済ますことです。
傷病手当金は過去2年間にわたって申請ができ、いわゆる時効までの時間はありますが、申請が遅れると支給のタイミングも遅れます。
発達障害の方が傷病手当金を申請する際の主な理由は、職場での不適応から心身を崩し、うつや適応障害と診断されたケースです。この場合、仕事どころか日々の生活も困難になってしまうことがあります。そのため申請が遅れたり、諦めたりする人がいます。 メンタルや体が疲弊した状態で医療機関や職場の担当と書類をやり取りするのは、非常にエネルギーを使います。日常生活がかろうじておくれるうちに申請することが重要です。
失業手当と使い分け、最大約2年半の保証
傷病手当金をもらい元の職場に復職していく人だけでなく、傷病手当金をもらいながら、退職手続きをする方もいます。
この際には、大切なポイントが2点あります。
- 傷病手当金は、仕事を辞めても辞めなくても、最大1年半の間、お金が受け取れます。
退職後も受け取れますので、すぐに就職活動を本格化することが難しい人、あるいは仕事探しに時間がかかりそうな人にとってはありがたい制度です。
- 傷病手当金+失業保険を続けて受給することが可能
失業保険と同時に受給はできませんが、上手に利用すれば、お金の受給期間を延ばすことができます。つまり障害者手帳を取得している人は、傷病手当金を最大1年半受け取った後、さらに失業保険を約1年受給することができます。
注意しなければならないのは、失業したタイミングで失業保険の延長給付をしないと、失業保険の方の受給資格を失ってしまうことです。忘れず延長手続きをする必要があります。
※失業保険について詳しくは「発達障害と失業保険」をご確認ください。
詳細を知るには?
今回は発達障害の方が傷病手当金を受給する時のポイントに絞り制度解説してきました。
傷病手当金のより詳しい解説もぜひお読みください。支給額の調整などの細かい制度もありますので下記のページを確認したり、健康保険協会に直接相談したりすることをお勧めします。
参考)全国健康保険協会(協会けんぽ) 病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)
最後に、就労移行支援や自立訓練(生活訓練)を受けながらの受給も可能です。
傷病手当金と失業保険を上手に組み合わせて次のステップにつなげてください。
*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます
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