ADHD-RSは、ADHD(注意欠如多動症)の特性の強さを客観的に評価するための検査です。ADHDは、不注意や多動性、衝動性といった特性を持つ発達障害*で、症状の程度は人によって異なります。ADHD-RSでは、これらの特性の強さを18項目の質問から測定します。
この記事では、ADHD-RSの具体的な項目や採点方法、使用時の注意点について詳しく見ていきましょう。
ADHD-RSとは?
ADHD-RSとは、ADHDの症状や薬物療法の効果などを評価するために用いられる検査です。ADHDによる特性は人によって異なり、注意欠如の特性が強く出る人もいれば、多動性のほうが顕著に現れる人もいます。ADHD-RSは不注意と多動性および衝動性に関する質問に回答することで、どのような特性が強く出ているのかを把握することができます。
ADHD-RSの対象年齢は5〜18歳で、主に小児に対して用いられる検査です。検査に回答するのは教師や親で、ADHDの本人が自分で回答するわけではありません。検査内容は学校版と家庭版に分かれていて、学校版では学校での様子をもとに教師が回答し、家庭版では家庭での様子をもとに親が回答します。
ADHD-RSに含まれる項目
ADHS-RSは18項目の質問から構成されていて、質問内容は大きく「不注意(注意散漫、集中力持続困難)」と「多動性および衝動性(落ち着きのなさ、衝動的な行動や言動)」の2つに分けられます。具体的な質問内容としては、以下のようなものがあります。
- 学業の場で綿密に注意することができない、または不注意な間違いをする。
- 手足をそわそわと動かしたり、いすの上でもじもじしたりする。
- 課題や遊びの際に集中し続けることが難しい。
- 授業中など座っているべき状況で席を離れる。
- 直接話しかけられても、聞いていないように見える。
- 不適切な状況において、高いところへ上ったり走り回ったりする。
- 指示に従うことが難しく、課題や任務をやり遂げることができない。
- 静かに遊んだり余暇活動につくことができない。
- 課題や活動について順序立てることが難しい。
- じっとしていない、もしくは「エンジンで動かされているように」行動する。
- (学業や宿題のような)精神的努力の持続が必要な課題を避ける。
- しゃべりすぎる。
- 課題や活動に必要なものを紛失してしまう。
- 質問が終わるのを待たずに答え始めてしまう。
- 気が散ることが多い。
- 順番を待つのが難しい。
- 日々の生活で忘れっぽい。
- 他人を妨害したり、邪魔をする。
上記の奇数番号が不注意に関する質問、偶数番号が多動性および衝動性に関する質問です。
ADHD-RSの実施方法と採点方法
ADHD-RSは、本人の様子をよく知る親や教師が質問に回答します。各質問は、次の4段階で評価します。
- ない、またはほとんどない:0点
- ときどきある:1点
- しばしばある:2点
- 非常にしばしばある:3点
回答が終わったら、「不注意に関する質問の合計点数」「多動性および衝動性に関する質問の合計点数」「すべての質問の合計点数」の3つを集計します。
ADHD-RSの活用方法と注意点
ADHD-RSを用いるとADHDの特性の強さを把握することができ、医師が診断を行う際の参考資料として活用できます。また、薬物療法などの治療の効果を評価する際にも役立ちます。
ADHD-RSは、18項目の質問に基づく採点結果に加え、年齢や性別、回答者の情報などの条件を考慮して、総合的に評価されるものです。聞き取りなどを含めた他の情報も含めて判断するものであり、ADHD-RS単独でADHDを診断するものではない点に注意してください。
ADHD-RSはADHDの評価尺度のひとつ
ADHD-RSはADHDの特性の強さを18項目の質問から評価する検査で、ADHDの評価尺度のひとつです。主に小児に対して用いられ、本人の様子をよく知る親や教師が回答します。
ADHD-RSは、あくまで評価指標のひとつだと考えてください。ADHD-RSだけでADHDの診断が確定するわけではなく、必要に応じて他の検査なども組み合わせながら総合的に判断します。今回、ADHD-RSで用いる18の質問を紹介しましたが、この情報だけで自己判断せず、専門の医師の診断を受けることが大切です。
*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます
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