株式会社NTTドコモはNTTドコモグループの特例子会社である株式会社ドコモ・プラスハーティと連携して、障がいのある方のための新たなプログラム「キャリアプラスプログラム™」を立ち上げることとなりました。
プログラムに込めた思いを、NTTドコモ ダイバーシティ推進室長の片山様と、ドコモ・プラスハーティ 事業運営部 担当部長の岡本様にお伺いしました。
いきいきと働ける職場環境作りのノウハウを拡げていくための、ドコモグループの新たな挑戦
■これまでのドコモグループの障がい者雇用についてのお取り組みをお聞かせください
特例子会社である株式会社ドコモ・プラスハーティ(以降、ハーティ社)ができるまでは、ドコモグループの各社で個々に障がい者雇用を行っていました。雇用人数も増えてくる中で、障がいのある方が活躍できる環境をしっかり整えたいと考えたときに、障がい者雇用を一括で見られて求心力のある組織として2015年にハーティ社を設立しました。ハーティ社ができたことにより、障がい者雇用についてグループ全体として取り組めるようになりました。
■今回のキャリアプラスプログラム™は、その次のステップという位置づけですか?
そうですね。もちろん特例子会社であるハーティ社での雇用は今後も続きますし、これまで通りドコモグループ各社での障がい者採用も続きます。それらに加えて、キャリアプラスプログラム™からドコモグループ各社に羽ばたいていくという、新たな道筋ができることになります。
ハーティではこれまでもいきいきとみんなが働くことに挑戦してきました。いきいきと働いてもらうための職場環境作りのノウハウを、このプログラムでも蓄積していきたいと考えています。キャリアプラスプログラム™から人が巣立っていくことで、ノウハウも一緒に各社・各部門に拡がっていき、障がいのある方に限らずみんながいきいきと働ける環境が拡がっていくと良いなと思います。そして最終的には、この取り組みにより全社の生産性があがり、経済効果が生まれるという所をめざしたいです。
自信をつけ、自身のキャリアを描いていくためのスタート地点にしてほしい
■「キャリアプラスプログラム™」は、どのようなプログラムなのでしょうか?どのような方に向いていますか?
ハーティ社の社員として、東京の永田町にあるNTTドコモ本社と同じロケーションにあるセンターに通勤しながら、2年間のプログラムに参加します。そしてプログラム終了後には、ドコモグループの各社で活躍することをめざしていただきます。
プログラムでは1年目から実際の業務の一部を行っていただく予定です。また、業務の他にソフト面(脳トレ、ビジョントレーニング、アセスメントなど)の教育も提供しますので、業務を習得するとともに自分に自信をつけていっていただけたらと思います。業務に慣れてきたら、実際にグループ各社の現場に出向いて、OJT的に仕事をしてもらうことも考えています。
向いている方としては、仕事をする目的や将来的にありたい姿や自分のキャリアを思い描けるような、そういう意識を持った方に参加いただきたいです。
とはいえ、なかなかキャリアを考えたり、いきなり職場に一人で入ったりすることには不安のある方も多いと思います。将来的には自立したい、でも今は自信がないという方がキャリアプラスプログラムを経ることにより、同僚と高めあい、成功体験を積み重ねていっていただけたらなと思います。
2年後にめざすところとしては、本社の管理部門や、グループ各社の事務アシスタントなどになるかと思います。速さが求められる業務もあれば、正確性が求められる業務もあります。個々人の得意分野と、受け入れ側が求めるスキルがマッチするところを丁寧に探していく予定です。
■「キャリアプラスプログラム™」でのサポート体制や、障がいに対してどのような配慮があるかお聞かせください
現在も特例子会社の雇用のなかで大事にしているのが、カウンセリング的なアプローチです。どんな障がいであっても、土台には自己肯定感や承認欲求があると感じていて、仲間の中で存在が肯定されていることを感じられるような仕組みを入れていきたいと考えています。
また、脳トレやビジョントレーニング、Kaienの支援システム「ミッテル」なども用いて、個々人が本来持っている可能性を引き出して行きたいです。
このプログラムの体制としてこだわったのが「上司・同僚はいるが、ジョブコーチはいない」という点です。2年後キャリアプラスプログラムを終えた後にぜひ進んで欲しいと考えているドコモグループの職場にはジョブコーチはいませんので、同じ状況を作りたいと考えています。とはいっても、一般の職場よりは理解ある上司・同僚がいるなかで、自分がどこに躓きやすいかを理解して、自分で対処したり、必要なときには周囲に伝えたりできるように準備をしていただきたいです。
また、メンタルケアについては全社員が使えるカウンセリングなどの制度がありますので、そういった制度も活用することができます。
■「キャリアプラスプログラム™」という名称には、キャリア開発の意味が込められているのですね
昨今キャリア自律の重要性が広く認知されてきており、私たちも社員に対してキャリア開発を促していますが、障がいのある方の中に、ご自身のキャリアについて目標や計画を描けていない方がいらっしゃることを気にしています。現実的に希望が持てないのかもしれないし、キャリアの考え方を知らないだけかもしれません。会社としてもただ採用するのではなく、障がいのある方のキャリアを考えなくてはならないし、障がいのある方自身にも考えていただきたいと思っています。
ですので、今回のプログラムにも「キャリア」という単語は絶対に入れたいと考えていました。最初は「アカデミー」という名称をつけたのですが、それだと障がいのある方だけにトレーニングをするという感じになってしまう。当人へのトレーニングだけでなく、受け入れ側の環境や風土も変えていかなくてはいけません。受け入れ側の事前準備や、職場への移行後も含めた長いスパンでの「プログラム」と考えています。
選考として行うインターンシップの中でも、キャリア研修プログラムを1日かけて実施する予定です。2年先のキャリアを、インターンの時点から考え始めてほしいです。インターンに参加した方が全員採用できるわけではないのですが、インターンに参加しただけでも何か気づきを得てもらえたら嬉しいです。
個を見ることを大切にしていきたい
■最後に、応募を検討されている方へのメッセージをお願いします
岡本様:以前とある就労支援事業所で当社の説明をしたときに、利用者の方に「私たちのことを”数”としてじゃなくちゃんと見てくれる会社があるんですね」と言われたことが印象に残っています。就活をされている皆さんには、雇用数としてではなく、人として大事にしてくれる会社を選んでほしいです。そういう気持ちの人に、このプログラムにも来ていただきたいです。
片山様:ダイバーシティ推進に取り組めば取り組むほど、「個を見ること」の大切さを感じています。一人ひとりは当然違う人間ですし、抱えている事情も違うけれど、その誰もが自分の力を発揮できる環境の中で、満足度の高い社会人生活を送れることをめざしていきたいと思っています。長い人生において自分のキャリアを考え、実現したい方に応募いただきたいですが、現時点でキャリアや目標が明確でなくても大丈夫です。キャリアプラスプログラムの中で一緒に考えていきましょう。
インタビュー協力:
株式会社NTTドコモ 総務人事部 ダイバーシティ推進室 室長 片山みずほ様
株式会社ドコモ・プラスハーティ 事業運営部 グループ支援部門 担当部長 岡本孝伸様