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- スタッフブログ 毎週更新中。現場目線で発信しています。
- Kaien主催セミナー 『~なるほど発達障害~ Kaien Meetup』は不定期で開催中。
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1. 講演のページを新設
これまで明確にしていなかった当社の講演の方針をウェブサイトにまとめました。これまでお問い合わせいただいた後、個別に対応していましたが、当社の講演の形がおおむね固まってまいりましたので、方針という形で文書にさせていただいています。講演をご希望の方は以下サイトからご確認ください。なお、可能な限り、ご希望の内容にアレンジさせていただきますが、以下のような当社の講演のフォーマットを活用していただく場合が一般的ですのでご了承ください。
例)『発達障害の持ち味を活かした就職活動の進め方』 『大学生の就労支援の現状とこれから』 『発達障害児の将来を考える 家族が知っておくこと』 『発達障害の傾向のある人の雇用方法 人事や職場の上司向け』
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2. 今月のメディア・講演情報 「島根県東部発達障害者支援センター(島根・安来市)」他
各地で講演を行いました。
講演
- 12/11 島根県東部発達障害者支援センター「ウィッシュ」(島根・安来市)
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3. 今月寄せられたご質問・ご意見にお答えします 「自衛隊は発達障害の人に向くのか?」他
ニュースレターの登録時や説明会の申込みフォームなどでお寄せいただいたご質問、ご意見にお答えします。よくある質問はウェブサイトにまとめて掲載していますので合わせてご参考になさってください。
発達障害のグレーゾーン
Q1. 一度検査を受けた結果、アスペルガー寄りの発達障害グレーゾーンと診断されました。グレーゾーンに対する支援の有無の詳細について知りたいと考えています。
当社としては発達障害のグレーゾーンというのは医師には言ってほしくない言葉です。白黒をつけてほしい発達障害の傾向がある人に、何とも言えない状態にさせてしまうからです。グレーゾーンといわれた人は2つのタイプに分けられると思っています。一つは日常生活、学校、職場などで問題ないケース。特性はあるのだけれども、社会的に恵まれているのですから、支援は受ける必要はないでしょう。2つ目は日常生活、学校、職場などで問題が起きているケース。この場合は発達障害の特徴が見えづらい状態であっても、何らかの支援が必要だと思います。つまり、発達障害の程度で支援が決まるのではなく、社会の適応が難しいかどうかで支援の必要性が決まります。
では特性のうっすらとした人(グレーの状態の人)の支援と、それ以外の人の支援が違うかというと、実は方向性や内容は概ね一緒です。ご本人に自尊心を失わせないように、しかししっかりと特性の認識をしてもらい、ご自身に合うところに職業人生を誘導するとともに、周囲にわかってもらえるように配慮の求め方を覚えていくという形です。もし何らかの適応の難しさを感じているならば当社の利用説明会に来ていただくとよいと思います。
発達障害のチェックリスト
Q2. 発達障害の簡易問診方法などありますか?エンジニアの中には、有能な反面、対人のコミュニケーションが苦手な人がいます。そういうエンジニア向けのキャリアパスを早期に構築する事で、得意分野に特化した育成と配置をしていきたいと思っています。
当社で発達障害のチェックリストを作っています。ウェブサイトで公開しています。まだ公開してはいませんが、問診で傾向がある程度わかる仕組みも作っています。おっしゃる通り、会社で使えるような適正検査も作っていきたいと思っています。ただし難しい点が2つあります。
一つは上の質問とも絡みますが、発達障害というのは白黒がはっきりするものではないということです。極端なことを言うとすべての人はある程度は発達障害的です。精神障害は心の状態ですが、発達障害は脳の機能の違い。調査する方法も知能検査での凸凹があるかどうかが大きな位置を占めます。つまりもともと発達障害のチェック用に生み出されたわけではない知能検査で発達障害かどうかがある程度わかるわけです。実際発達障害という状態に当てはまる状態であっても、本人や人事が気付かないうちに、上手に人事的に配置している事例は非常に多いでしょう。おそらくそのような”ナチュラルフィット”ができた場合は、既存の職業適性検査や人事や現場上長の見立てを組み合わされて配属が決まっているのだと思います。何を言いたいのかというと発達障害という点にフォーカスをして職業適性検査を作っても、実は結構普通の職業適性検査になりがちだということです。
二つ目はまったく同じ発達障害の凸凹があったとしても、大きな傾向しかわからず、なかなか細かな配属や職種まで導けないという点です。例えばご本人の興味関心まで発達障害の検査では理解できません。また全く同じ数値が出ても、いわゆる発達障害のこだわりがあり、どうしても好きなところに惹かれていきます。そこを上手にナビゲートするのが当社の役割ではあるのですが、時間と根気が必要な支援でもあります。この辺りをどう会社の育成や配置につなげるかというのは大きな課題です。
ただ本当にうれしいのはこういう質問が人事や現場にいる方から頂けるところです。発達障害の傾向のある人の得意な面をとらえ、一方で苦手なところが目立たない、適材適所をするという思いに心強く感じました。同じように考えてくださる人が今後一人でも増えていただけるように、事業を展開していきたいと思います。
自衛隊は発達障害の人に向くのか?
Q3. 自衛隊で4年間勤務してきましたが、仕事や人間関係で生きづらさを感じ、精神科やカウンセリングにかかってきました。受けたアドバイスは「不況で転職が難しい時勢で、せっかく収入や地位の安定した職場にいるのだから、向かない面があっても我慢して続けなさい」という結論でした。心身の状態は悪化する一方で、数年のうちに何かの病気で倒れそうです。続ける以外の可能性ある選択肢を教えていただけませんでしょうか?倒れる前に何としても見つけておきたいのです。
A. 発達障害の方は自衛隊にたくさんいるだろうな、と個人的には思っています。もちろん臨機応変さやチームワークなど発達障害の人に苦手な部分が塊のようにあるでしょう。が一方で、秩序やルールが明確な部分はあり、発達障害の人に合いやすい部分でもあるからです。ただし、当社の利用説明会に参加いただいた方は記憶ベースで過去に10人程度しかいないと思います。数百人に一人ぐらいの出会いしかありません。
そのわずかな支援経験の中でご質問にお答えします。私もまずは周囲の医者やカウンセラーの先生のように、まずは今の仕事を続けられないかとアドバイスすることがほとんどです。ただし自衛隊以外でもしっかりと働ける道が探せる可能性は非常に高いでしょう。特に障害者枠を使えば、配慮が受ける中で働けます。しかも障害者枠の多くは大企業です。収入は確かに下がることは多いですが、ご質問を見るとそこに大きな価値観・優先順位を置いている方ではないのではないかと感じました。先々の心配をするのはとても良いことですが、その時に自分だけで悩むのはよくありません。当社などで構わないと思いますので支援者や協力者を頼って、転ばぬ先の杖を用意しておくとよいと思います。
ママ友から学べること
Q4. 今年度大学受験を控えて志望校選び中で、相談機関がなく本人も成長中でややこしい時期なので悩みながら大学選びをしてきました。保護者として先を歩く先輩や仲間との出会いが欲しいと思っています。療育時代からのママ友とは進む道が違ってきて疎遠になってしまったから家族の発達障害にて将来どのような就職が可能か、また就職までどのような支援が必要かを知りたいと思っています。
A. おっしゃるところ、とてもよくわかります。療育のママ友というのは、成長するにしたがって相互の学びが少なくなっていくことが多いです。場合によっては一方が安定し始めると、他方の人はうらやましがったり、自分の育て方が間違っているのではないかと感じたり、悪い影響を与えることさえあると思います。このため年齢に応じて新しいつながりを見ていくのが良いと思います。当社では「斜めの関係」と呼んでいます。つまり上でも横でもない、時々会う程度であまり気づかいをしなくてもよいような人たちで、かつ少し先に進んでいる斜め上の人からが一番学びがあることが多いでしょう。”斜め上の人”の中には共有精神が旺盛な人が一定程度います。彼らから学びを得るのが両者にとってウイン・ウインの関係になりやすいです。当社ではMeetupというセミナーの場でプチ保護者会を開いています。ぜひそういったところにお越しいただければと思います。