シリーズ「発達障害と間違えられやすい症状」 第3回 パーソナリティ障害


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先日の精神科医の学会で、以前は発達障害*の過小診断が危惧されていたが、次第に過大診断につながりつつあるという認識が示されていた。それほどまでに発達障害を診断する医者が増えてきたことは純粋に素晴らしいこと。一方で何が発達障害なのか、専門家ですらいつまでも議論が続いている証拠でもあると思う。

医者ではない僕は医者の診断を否定することはもちろんできないけれども、医者によって発達障害の定義はたしかに大きく大きく違う。そこで、その医者の間のずれをヒントに、「発達障害と間違えられやすい症状」をシリーズでまとめていこうと思う。

第3回はパーソナリティ障害について。

まずは、Wikipediaがわかりやすいので引用してしまう。

パーソナリティ障害 (パーソナリティしょうがい、英語: Personality disorder, PD)とは、文化的な平均から著しく偏った行動の様式であり、特徴的な生活の様式や他者との関わり方、または内面的な様式を持ち、そのことが個人的あるいは社会的にかなりの崩壊や著しい苦痛や機能の障害をもたらしているものである。青年期や成人早期に遡って始まっている必要がある。

実はKaienに来る方でパーソナリティ(人格)障害という診断を受けたことがある人はそれほど多くはない。でも確かに似ているので、精神科医でも迷うことがあるのかもしれない。

発達障害と似ている部分。先のWikipediaにも示唆されているが、僕なりにまとめるとポイントは、、、「発達障害と同じく文化・社会との関係性であること。そのため時代や国、周囲の環境などに応じて適切と思われるものや、不適切と思われるものが変わるということ。」だと思っている。

一方で、発達障害と似て非なる部分。それは、これもWikipediaに示唆されている通り、「発達障害は脳に関係しているため幼少期から、もっというと生まれた時からの特徴だが、パーソナリティ障害は大人になってから、少なくとも幼少期には見られず、10代以降になって人格が形成され始めた時にでてくる」ということだと思う。

もう一つの相違点は、発達障害が他人を操作しようとしない、作為がない、ところだと思う。発達障害の人はずれることがあっても、それは自分がずれる可能性があり、他人を巻き込んだり、なんらかのことを仕組むことによって、周囲を混乱に陥れることを仕組むことはない。あくまで嘘をつかず、自分目線で言動しているが、それがずれてしまうことがあるということだと思う。

パーソナリティ障害は、周囲とゲームをするような、挑発的に思えることがあり、その点が僕とすると難しい。メディアで出てくる「お騒がせ」の人たちについて、「空気読めていないから、発達障害なの、ああいう人?」と聞かれることもあるが、医師ではないが少なくとも僕の印象では「お騒がせ」の人は作為の塊なので、発達障害ということは可能性はとても低く、パーソナリティ障害の傾向が強いのだろうなと思っている。

なお、パーソナリティ障害は非常に一般的である。以下の英語のサイトでの説明によると、米国人の15%が何らかのパーソナリティ障害らしい。また、これは引用文献のリンクを探せなかったが、ビジネスリーダー(社長など)は、一般の比率よりもパーソナリティ障害に当てはまる人が多い、という研究成果もあるほど。

MEDICAL DICTIONARY The free dictionary
http://medical-dictionary.thefreedictionary.com/Personality+Disorders

第4回は双極性障害(躁うつ病)を予定。

*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます

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