Kaien秋葉原の鈴木です。当社の就労移行支援利用者の就職実績と、発達障害のある人の就職トレンドを毎月お伝えしている「Kaienマンスリーレポート」。今回は5月分のデータを基にお話ししていきます。
5月の就職者数は17名、昨年5月の2倍以上に
5月の就職者数は17名でした。昨年5月の8名より2倍以上増加しています。当社経由の求人紹介での就職が13名、ハローワーク経由が4名とどちらも昨年よりも大きく伸びています。特に大きな面接会などもなく、4月の入社ラッシュが過ぎてすぐの時期であるにもかかわらずこれだけの実績を出せたのは、地道に企業やハローワークの担当者と連絡を取りながら求人をキャッチして訓練生にご紹介できたからではと考えています。
月給平均は15.6万円/月でした。1日7時間以下での勤務の方が4割ほどいらっしゃったためやや数字としては低く出ていますが、月給18万円以上の方は5名、20万円以上の方も1名いらっしゃいました。一般枠で就労された方も1名いらっしゃいます。事務系の職種に就いた方が8割と圧倒的でしたが、軽作業や接客・販売のお仕事をされるかたもいらっしゃいます。
このようにたくさんの修了生の方が毎月修了されて大変喜ばしいのですが、一方で入社して新しい環境で業務を学び成果を出していくこれからが本番ですので、しっかりご本人の実力を職場で出せるだろうかというちょっぴり心配する気持ちもスタッフとしては入り混じります。入社後に職場定着支援に伺った時に順調に勤務されていると聞いた時のうれしさの方が、就職が決まったときよりも大きいなと個人的に思います。
就業中の方の生活面をフォローする「就労定着支援」が平成30年度より創設予定
発達障害のある人の就労支援では、求人に応募し内定を得て入社するまでの「就活支援」と同じくらい、入社して新しい仕事を覚え安定して働くための「職場定着支援」が大切です。就労移行支援でも就職された方の定着支援を行っていますが、職場訪問をして企業の担当者とご本人の話を伺い必要な調整を行うといった、主に働く場面での支援を行っています。しかし特に発達障害や精神障害のある人の場合、働く場面だけでなく生活の中での困り感が増えることで、働き続けるのが難しくなってしまうことが少なくありません。現在でも障害者就業・生活支援センターなど、働く障害のある人の生活面も支援する機関もありますが、就労移行支援を利用して一般就労する人が年々増えている中で、現在の支援機関数では将来的に十分な支援が実施できなくなる恐れがあります。
このような状況を踏まえて、厚労省は平成30年度(2018年度)から新たな障害福祉サービス「就労定着支援」を創設する予定です。対象となるのは、就労移行支援などを利用した後に一般就労した人のうち、就労にともなう環境の変化により生活面で課題が生じている人です。イメージとしては、就労移行支援事業所が定着支援を行うなかで、勤怠が安定しなかったり服薬の調整がうまくいかず業務にうまく集中できなかったりする人がいた場合、就労定着支援事業所につないで生活面の支援を引き継いでいく流れになるのではと思います。支援の内容としては①ご本人との面談で生活面での課題を把握し②就業先の企業担当者や医療機関などと連絡を取りながら③生活リズムや服薬管理などの支援をご本人に行うということです。
就労移行支援と就労定着支援の連携で働く発達障害のある人を多面的に支援
発達障害のある人の中には、働き始めて環境が大きく変わり、たくさん新しいことを覚えたり取り組んだりする必要があるために、とても疲れてしまったり戸惑いが大きくなり緊張感が高い状態が続いてしまう人もいます。そのような状況だと例えば眠れなくなってしまったり家事や身支度に時間がかかってしまうなど、これまでできていたこともできなくなってしまうこともあります。また働きはじめた直後に限らず、新しい業務を任されたり部署が異動になるなど、働き続けていれば職場で様々な変化が起こりますので、ある程度勤務年数が経過した後にもご本人に負担感が新たに生じることもあります。発達障害のある人が長く安定して働くために、この就労継続支援というサービスを是非就労中の皆さまに活用していただきたいです。
就労定着支援がうまく機能するためには、就労移行支援と就労定着支援がうまく連携を取り、それぞれの得意を活かして支援できるかがポイントになりそうです。制度的にまだまだ未知の部分がありますが、続報を引き続き追っていきたいと思います。
【参考】就労定着支援ってどんなサービス? ▽制度の概要 ▽内容と利用期間 ▽ 手続きと費用・必要書類(障害者手帳は必要?) ▽利用途中で転職した場合