Kaien代々木の黒木です。
当事業所が2017年7月に開所してはや5か月。次々と一般枠へのクローズ就労や、高収入の障害枠への就職が決まる中、苦労が実って就職に至ったエピソードを紹介したいと思います。
40社以上の応募も受からずKaien代々木へ
Kaien代々木に通所前に40社以上の応募するも実らず。Kaien代々木通所後にご自身の強みと適性に気が付き、Kaien利用開始後3か月で内定に至ったケースです。
都内在住のKさん。集団に馴染めずひたすら読書を繰り返していた学生時代。大学卒業後、ガス会社に就職しましたが、仕事はまったくうまくいかなかったそうです。とにかく業務実績が低く仕事をこなせなかったとのこと。例えば同時に複数の業務が重なると、通常のペースの4分の1の進捗。納期がないと延々と作業してしまう等など。同期入社は次々と昇進していく中、Aさんは様々な部署を渡り歩いたほか遠方出向などの人事異動を繰り返されるうちに20数年間その会社で勤務を続けました。
上司の気づきから診断へ
そんなKさんの働きぶりを見た上司に言われて、初めて受診した病院ではうつの診断。本人は全くピンとこず、後に発達障害*の診断が出て納得感はあったようです。ただし診断が出たことは隠して働き続けました。そのときすでに50代半ばで、やがて早期退職勧奨の初期対象者となり、半ば説得される形で退職することになってしまいました。再就職をすることはできましたが契約社員としての警備員。一年で契約更新されず、退職となってしまいます。
主治医からは障害枠での就労を勧められ、障害者手帳を取得し、40社ほどの応募をしました。ただ面接まで漕ぎつけたのがほんの数社。そのうち内定が出た会社もこれまでの仕事よりもシンプルなもので、自分がやりたい事はそんなものじゃないと辞退してしまいました。
Kaienで気が付いた自分の強み
再就職ができないまま半年が過ぎた頃、支援機関からKaienの就労移行支援を紹介されました。
でも、ここでも順調ではありません。訓練プログラムではオンライン店舗の業務に参加しましたが、作業のタスクの優先順位を上司に相談しようにも、自分でタスクを洗い出すことができず、動きが止まってしまったり、事務作業の体験プログラムでもパソコンの苦手さがあり満足な成果を残すことがほとんどできませんでした。
職場での苦手を克服(コミュニケーション・ミス・抜け漏れ) Kaienの就労移行支援
しかし、あるスタッフの「Kさんは個人作業なら成果は悪くない」という気付きから流れが大きく変わり始めます。
タスクを一つに絞れば、Kさんの良さが出るのではないかという狙いから、グループワークでもタスクを複数人で分けて行うチームに入ってもらうこととしました。すると、自分のやることが明確になり、継続力と集中力でコツコツと成果を残し始めます。また、年下ばかりのグループでも持ち前の物腰の柔らかさで、グループリーダーからも仕事が頼みやすいと信頼され、グループの歯車として力を発揮し始めるのです。PCの操作もExcelが苦手なだけで、タイピングは速かった!
そこで見つけた強みを生かして、就活では事務補助に的を絞り、履歴書では一つのタスクを継続して成果を残すことができる継続力を売りにし、面接では物腰の柔らかさを活かして、事務補助の仕事で内定を勝ち取ることに成功したのです。
ご本人の力が出る仕事内容で、給与などの条件もご本人が納得できる第一志望。Kaienに来てから3ヶ月、応募10社目でのスピード内定でした。
Kさん、ありがとうございました。今度は定着支援でお会いしましょう。
Kさん。本当におめでとうございます。就活書類の添削や、面接練習で何度も何度もうまくいかなくても、チャレンジを続け、20歳も年下の私からの指摘も謙虚に受け止め、訓練や就活での困りごとを何度も相談に来てくださいました。一度何故、そんなに謙虚でいられるのか聞いたことがありました。そのとき「それが私の処世術です」とおっしゃっていましたね。
発達障害の就活・職場での困り感を解消! まずはKaienの説明会へ
Kaienの就労移行支援では様々な訓練プログラムを試着するように実施し、自分の適性への気付きを生みます。それは経理や、軽作業といった仕事そのものではなく、仕事のやり方という場合もあります。今回、Kさんは一つのタスクを集中的に行うことで職場で輝くことができるということに気が付き、就職に繋がりました。
職業だけではなく、自分の職場でのあり方。働き方を体験的に見つけることができる。それがKaienの就労移行支援です。
*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます