Kaien/ガクプロの藤です。
先日、大学・専門学校の先生方をお招きして「発達障害*学生支援勉強会」を開催しました(7校・13名の先生方と5名のKaienスタッフが参加)。この会は、とある大学の先生との、以下のようなお話がきっかけで開催の運びとなりました。
「一つの学校だけではなかなか凸凹の特性がある学生支援のノウハウがたまらない」
「学生支援に携わる教職員だけでなく、他部署の教職員にも発達障害について理解をしてほしいが、なかなか理解が得られない」
「熱意がある先生ほど、目の前の学生を何とかしたいと思って働きかけるが、どうしたらいいかわからなくて困っている」
先生のお話をうかがえばうかがうほど、そのお気持ちや困り感は痛いほどわかります。当社の場合は、発達障害支援に特化してサービスを提供しているので、自分だけでは対応できないケースが発生したとしても、社内の他のスタッフと連携をして支援をすることができますが、学校となるとなかなかそうはいきません。そこで、実際に支援にあたっている先生方だけをお招きして、学校の垣根を超えた情報交換会をしようということになりました。いわば、学内の支援者の孤立を防ぐ会です。
発達障害グレーゾーンの学生にどう対応していく?
当日の話題は多岐にわたりました。一番の話題は「グレーゾーン、ないしはご本人の困り感がうすい場合にどう支援をしていくか」ということでした。
例えば、授業の場面でも、就職支援の場面でも、ご本人から「困っている」という申し出があれば対応の糸口を見つけることができます。しかし、そのお申し出がないと働きかけることが難しくなります。高校までと違い、大学や専門学校に進学すると実家を出て一人暮らしをするケースもある中で、そもそも誰に何を言っていいかわからない、学生課やキャリアセンターに行くことすら怖い、という状況に本人が陥った場合に支援していくことの難しさを感じられている先生方がいらっしゃいました。
できないのは努力不足?それとも…
また、学生本人が何かしら困っていて、教職員に助けを求めた場合でも、果たしてご本人のの努力が足りないからできないのか、それともそもそもどんなに努力してもできることではないのかの区別がつかずに迷うことがあるというお話も出ました。授業後にリアクションペーパーを書かせることがあるが、どんなに回数を重ねても感想を書くことができない学生がいる場合。もしご本人がASD(自閉スペクトラム症・アスペルガー症候群)の特性が強かったとしたら、正解のない感想を書くという行為は苦行でしかありません。そういった学生に、「とにかく書きなさい」という指導は不適切だったのでは…と振り返る先生もいらっしゃいました。
発達障害を学ぶことですぐ支援にいかせる
なかなか、すぐに答えが出る話題ばかりではないのですが、開催して強く思ったのは、参加者の先生方は本当に熱心に学生を支援されているので、発達障害の正しい知識や、実際の支援のケースを学ぶことで、すぐに支援にいかすことができるということです。ディスカッションで「発達障害の方に向いている仕事や職種が知りたい」という質問が出たのですが、いくつかケースをお話しすると皆さんすぐに特定の学生の顔が思い浮かんでいらっしゃるようだったので、やはり実際の支援以上に学べるものはないなと思いました。
【参考】ガクプロ 発達障害のある大学生支援プログラム
【参考】大学生の発達障害
次回開催
次回は11月頃に実施を予定しています。テーマは7月に当社が発刊する『発達が気になる子どものためのハローワーク』の読み合わせ会を考えています。(書籍の中で進学・進路についても詳しくふれています。) 当会は実際に大学・専門学校で支援にあたっている方限定の会ですが、興味を持ってくださった方はgakupro@gakupro.com までお問い合わせください。
*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます