意外?妥当? 職歴がない人の定着率は実は高い

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職歴有りのほうが定着率が低い!?

障害者の就業状況等に関する調査研究』(障害者職業総合センター2017年)によると、企業に就職した障害のある人のうち、「前職なし」の方の1年後定着率は83.4%(p.25)。就職しても5人に1人は1年内に辞めていく計算です。

この数字について、そうか職歴なしの人だから定着率が低いのか、と思った方もいるかしれません。

しかし、企業に就職した障害のある人全体の1年後定着率は58.4%(p.21)しかありません。つまり「前職なし」の方のみの定着率より25%も低いのです。5人に2人は辞めてしまいます。

考えられる理由は3つ?

どうして職歴なしの定着率が83%で、職歴有りの定着率は58%なのか…。

職歴がない人の選考の場合、企業側も採用時に慎重に判断するといった面も、確かにあるのかもしれません。

また職歴有りの方は年齢が高い可能性があります。パートナーや子どもの生活のために、無理して給与や仕事のレベルが高いところを目指しすぎて、失敗してしまっているのかもしれません。

あるいは前職までの経験があるからこそ、新しい職場への違和感を覚えやすく、適応しづらい。一方で新卒学生などは、「我が社は変かもしれないけれども、他の職場・上司を知らないから、これが当たり前だ」と思いこめるからかもしれません。

他にもあるかもしれませんが、私としては上記3つが思いつきます。

今後は発達障害の新卒層が青田買いの対象に、一方で中高年の再チャレンジ組の支援が重要に

上記の結果を見ても、今後増えるであろう発達障害の診断が有り、小さい頃から療育を受けてきた人たちが、障害者雇用を選ぶ場合、積極的に企業がプロモーションを掛けて採用していくことが考えられます。

一方で今までの失敗経験が大きかったり、どうしても給与や仕事で無理をしないといけない、中高年の再チャレンジ組への支援が重要になりそうです。中高年は私としても個人的に同世代なので興味関心が有り、なんとか企業に売り込み、そして売り込むだけではなくこのリサーチでも分かる通りしっかり定着する仕組みを提案していきたいなと思っています。

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文責: 鈴木慶太 ㈱Kaien代表取締役
長男の診断を機に発達障害に特化した就労支援企業Kaienを2009年に起業。放課後等デイサービス TEENS大学生向けの就活サークル ガクプロ就労移行支援 Kaien の立ち上げを通じて、これまで1,000人以上の発達障害の人たちの就職支援に現場で携わる。日本精神神経学会・日本LD学会等への登壇や『月刊精神科』、『臨床心理学』、『労働の科学』等の専門誌への寄稿多数。文科省の第1・2回障害のある学生の修学支援に関する検討会委員。著書に『親子で理解する発達障害 進学・就労準備のススメ』(河出書房新社)、『発達障害の子のためのハローワーク』(合同出版)、『知ってラクになる! 発達障害の悩みにこたえる本』(大和書房)。東京大学経済学部卒・ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院修了(MBA)。星槎大学共生科学部 特任教授 。 代表メッセージ ・ メディア掲載歴</