Kaien社長の鈴木です。
資本主義と発達障害*に架かる橋の両端を延伸する
Kaien11年目となる2021年に向けて二つの行動に力をいれつつあります。
一つは資本主義の世界に発達障害の人の力を活用する場所を切り開く活動。求人開拓や障害者雇用という分野に限らない提案営業ですね。もう一つは、働きたくてもファイティング・ポーズをとることに躊躇して就労移行支援にもまだたどり着けない人向けに生活訓練などをはじめとしたより福祉よりの(あるいは福祉から漏れる人への)支援です。
当社は資本主義と発達障害の架け橋となるのが目的です。そのうち、上の1つ目はより資本主義の方に橋を伸ばす、上の2つ目はより困難層に橋を伸ばすようなイメージです。生活訓練についてはすでにこちらの記事で2020年4月オープンを目指していることをご紹介しています(なお場所は当初予定していた秋葉原より、もう少し西側になりそうです。)が、今日は生活訓練とやや似ているものの少し異なる、平日日中により広い層に通って頂けることを目的とした「Kaienサードプレイス構想」をご紹介したいと思います。
Kaienサードプレイス構想とは?
Wikipedia Japanによると「サード・プレイスとは、コミュニティにおいて、自宅や職場とは隔離された、心地のよい第3の居場所を指す。」とのこと。もちろんすでに8拠点で運営している就労移行支援も、今度オープン予定の生活訓練も、自宅と職場(場合によっては学校)以外の、自分を表現できる場所を目指しているわけですが、どうしてもKaienやガクプロは「発達障害」「就職」をテーマにしているので、職場の影がちらつくサービスなのかなと思っています。それと発達障害という言葉が引っかかる人には来づらいかなぁと…。
なので思春期、例えば学校に行けていない高校の世代の子たちや、大学で休学をしたり中退をしたりしたばかりで自分探しをしている若者たち、自分の困り感や苦手には気づいているけれどもだからといって就労移行や生活訓練と言った福祉サービス(医療機関に繋がっていることを前提としている)はまだ決心がつかないという人たちにはKaienやガクプロはやや遠い存在なのだろうと感じています。それを少しでも埋めたいというのがKaienサードプレイス構想です。
ゲーム?論文?自分探し?就活?職業訓練?
と、宣言するのは簡単なのですが、自分探しの最中の10代、20代の人が来てくれるような時間に場所は確保できるのかということがあります。実はそれはすぐ解消でき、現在、職業訓練しか行っていないためやや中途半端な感じになっているガクプロの平日日中支援(月~木の10~15時)のリニューアルという形を考えています。違う言い方をすると、ガクプロの人(つまり大学生・専門学校生)しか来られないところから対象を広げること、また職業訓練しかしていないところからゲーム・論文・読書・就活準備・職業訓練など、思い思いに場所を使ってもらうことをイメージしています。そこに発達障害などの専門性や対応経験のあるスタッフを配置していく感じです。
没交渉、でも、だからこそ、の連帯意識を目指す
そんなまぜこぜな人たちの興味を、同じ場所で同じスタッフが受け止められるのか?正直なところここが最大の課題ですが、スタッフは既にやりたい!と言ってくれていて乗り気であることと、実はココが当社の肝でもありますが支援者が支援すると言うよりも来てくれている人同士がコミュニティとしてピアサポートをするような場作りができればと思っています。時に没交渉でそれぞれのことをしながらも、時に同じ場所を時空を共有した人たちとしてゆるく連帯感や絆を感じてもらうというイメージです。
無理な課題かもしれませんが、発達障害の児童期・思春期・青年期・壮年期という連続した世代を10年支援し続けているわけで、その経験を生かして頑張りたいなと。当社の場合は宣言したもののサービスがなかなか立ち上がらないことも稀にあるのですが…、今回は立ち上がることはほぼ確実です。Kaienサードプレイス。遅くとも2020年4月に開始予定です。ご利用を希望される場合は、やはり通常のご利用説明会にお越しいただければと思います。
文責: 鈴木慶太 ㈱Kaien代表取締役
長男の診断を機に発達障害に特化した就労支援企業Kaienを2009年に起業。放課後等デイサービス TEENS、大学生向けの就活サークル ガクプロ、就労移行支援 Kaien の立ち上げを通じて、これまで1,000人以上の発達障害の人たちの就職支援に現場で携わる。日本精神神経学会・日本LD学会等への登壇や『月刊精神科』、『臨床心理学』、『労働の科学』等の専門誌への寄稿多数。文科省の第1・2回障害のある学生の修学支援に関する検討会委員。著書に『親子で理解する発達障害 進学・就労準備のススメ』(河出書房新社)、『発達障害の子のためのハローワーク』(合同出版)、『知ってラクになる! 発達障害の悩みにこたえる本』(大和書房)。東京大学経済学部卒・ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院修了(MBA)。星槎大学共生科学部 特任教授 。 代表メッセージ ・ メディア掲載歴
*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます