就労移行支援事業所、Kaien横浜事業所の大野です。
私は現場支援の傍ら横浜・川崎で実施するご利用説明会を2015年から担当をしています。毎回お付き添いの方も含めて30~40名にご参加いただき、たくさんのご質問をその場でお受けしています。その中から頻繁にいただくご質問を取り上げ、今後ブログにて何度かにわたってお応えをしていく予定です。
発達障害*の診断がないとサービスを受けられない?
いいえ。Kaienは発達障害の診断がなくてもプログラムをご利用いただくことが可能です。Kaienでは「発達障害に特化」と標榜している一方で、「診断非重視」とも明言をしています。もともと民間サービスなので診断を必要としない学生向けサービス『ガクプロ』はもちろんですが、ご利用にあたり医師の診断を必要とする就労移行支援についても発達障害以外の診断(実例として双極性障害や統合失調症などが挙げられます)がある方にも多くご利用をいただいています。
「診断非重視」としているのにはいくつかの理由があります。ひとつめは発達障害は”虹色”と表現されるように閾値自体が曖昧なため、診断をされるお医者様によって判断が変わってくることがあるためです。診断の有る無しが必ずしもご本人の困り感の度合いに比例しているわけではないのです。
ふたつめは、診断名が仕事をする上で必要な自己理解に直結するわけではないこと。例えばASD(自閉スペクトラム症)と診断されてもその特徴全てに当てはまることの方が稀ですし、ADHD(注意欠如多動症)の特徴が部分的に重なったりすることもよく見られます。診断名に縛られることなく、特徴や困り感をベースに自己理解をすることを重視し、仕事の中の得意・不得意や向いている仕事を見極めることが重要だとKaienでは考えています。詳しくはこちらの記事をご参照ください。
最後は制度に関する話です。就労移行支援を利用するために取得が必要になる「障害福祉サービス受給者証」の認定を受ける際、特に診断名にこだわる必要はありません。Kaienの就労移行支援をご利用されている方々の約半数は大人になってから初めてクリニックを受診しています。仕事上の悩みをきっかけにクリニックにかかる場合うつなどの気分障害の診断を受けられていることも多いため、単純に手続きのことだけを考えれば改めて発達障害の診断を受ける必要は必ずしもないということです。
企業が求める”仕事力”を身に着ける
Kaienの職業訓練では発達障害がある方が困りやすい職場コミュニケーションの取り方や、計画力(自分で仕事の見通しをつける力)をなどお伝えしています。以前、事業所を見学された企業の人事担当の方が「この訓練は当社の新入社員研修でも行いたいですね」とおっしゃっていたことがありました。確かにKaienでお伝えするこれらの「仕事力」は、発達障害の有る無しに関わらず誰もが職場で求められるものです。ある意味では、Kaienの職業訓練は発達障害向けというよりは、お仕事を上手に出来ていないと感じる方向けの”仕事塾”ということができるかもしれません。当社の就労移行支援をご利用いただくかどうかを判断していただくうえで重要なのは発達障害かどうかではなく、提供している職業訓練がご自分に必要と感じるかどうかだと考えています。
2017年1月付の調査結果によると、就労移行支援の事業所数は3,200カ所とのことです。首都圏にお住まいの方でしたら通所可能な範囲だけでも数十カ所でしょうから、そこから自分に合ったところを選択するだけでも大変なことだと思います。Kaienではサービスのご利用検討をいただくにあたり、ご自身に合うかどうかをたしかめていただくためのセッションを数多く用意し、ご理解ご納得いただいたうえでご利用頂けるよう心がけています。
本文冒頭でお伝えしたご利用説明会はご家族のみの参加も可能です。また、説明会の後も当社のサービスを有効にご利用いただけるかについてご相談いただける個別無料相談をご希望者の方全員と行っています。その後も職業訓練を実際に体験しご自身が期待しているところとのフィット感をたしかめることができる体験セッションに複数回参加していただきながら、ゆっくりご利用するかどうかをお決めいただいています。
当社のサービスを必要とされている方に、出来るだけ多く当社のことを知っていただきたいと思っています。是非お気軽にご利用説明会にお越しください。
関連リンク
*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます