経済学から見る発達障害者の雇用とは?!

当事者講演@慶応義塾大学 ”発達障害アンバサダー”に会う
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横浜事業所大野です。

今日は普段から大変世話になっている三井化学様より、「Kaien出身の社員が慶応義塾大学の講義でゲスト講演をするのでよろしければ」とのご連絡をいただき、聴講してきました。

お声がけいただいてまず驚いたのが、発達障害*の当事者としての発表ということで、勝手に臨床心理学や福祉など分野をイメージしていたのですが、なんと商学部の講義でした。講座名は「障害者の経済学」。(僕はこれまで存じ上げず不勉強で恥ずかしいですが)ご担当の中島 隆信教授は経済学の観点から障害を取り扱う著名な先生です。

「俺、活躍できるじゃん」と日々感じられる職場

IさんはKaienの就労移行支援新宿事業所を利用し、昨年9月に三井化学に就職されています。いまでこそ三井化学さんはKaien出身者を積極的にお雇い入れをいただいていますが、そのパートナーシップも三井化学社内での発達障害者雇用第一号のIさんの活躍があってのもの。「先駆者」としての活躍は日常業務にとどまらず、社内ダイバーシティ推進を目的とした勉強会に当事者として講義をするなど、多方面で活躍をしています。

演題は「ADHDと共に歩む」
演題は「ADHDと共に歩む」

今日のIさんの講義で僕が特に印象的に感じたのは、Iさんが日々の業務の中で「会社の役に立っているな」、という実感を得ながら仕事をしているんだなあということです。新卒後すぐ就職した会社ではうまくいかなかったけど、三井化学で働く中で「案外、活躍できるじゃん俺」と思えることの積み重ねが、今日の自信につながっているように感じました。

スモールステップで、でもご本人の能力と意欲を考え、しっかりと会社の基幹的なお仕事を任せていく、そのマネジメントの姿勢に改めて感心されられました。それにしても、入社1年で社長に事業内容を説明する資料の作成を任されたそうで、任せた上司もすごいですが、それにしっかり応えたIさんもすごいです。。。

お話しぶりはまさに”発達障害アンバサダー”

多くの方が、発達障害は話すのが苦手という印象をお持ちかもしれませんがいちがいにそうとは言えません。大勢の前で堂々と話すIさんの姿を見て、改めてその多様さを再認識しました。

わかりやすい資料を作成する技術と、お話し上手という強みを持っているIさんはまさに発達障害の理解を社会に伝える「アンバサダー」にぴったりです。終始、笑いを交えての楽しい講義でしたが、今日最も盛り上がったのはIさんの趣味であるトレーディングカードゲームの「マジック:ザ・ギャザリング」で世界大会に出場したエピソード。学生の方からもゲームに関する掘り下げた質問があり、本題そっちのけで僕には理解できない専門用語が飛び交う一場面がありました。

講義後に少しだけ中島教授と障害者雇用や福祉事業についての意見交換をさせていただきました。福祉事業所だけでは雇用は生み出せないし、社会的な利益還元も難しい。改めて企業とのパートナーシップが重要であることを認識しました。

今後も積極的に企業とのおつながりを持つ機会を増やし、三井化学のような発達障害の方を積極的に社内で活用する先進企業とのパートナーシップの輪を広げていきたいと思います。

関連リンク

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*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます