Kaien秋葉原の鈴木です。当社の就労移行支援利用者の就職実績と、発達障害*のある人の就職トレンドを毎月お伝えしている「Kaienマンスリーレポート」。今回は昨年12月のデータを基にお話ししていきます。
12月の就職者数は前年比で倍近い22名、実習経由での内定目立つ
2016年12月の就職者数は6拠点合わせて22名でした。2015年12月の就職者数が12名なので、大幅にアップしています。どうやって就職者を伸ばすことができたのか気になり調べてみましたが、①昨年12月に開設したKaien川崎から就職者が安定して出るようになってきたことと、②当社経由の求人で選考を兼ねた企業実習に参加して内定を勝ち取った人が多かったのが要因のようです。
一般枠の就活ではあまりなじみがないと思いますが、障害者枠では選考の際に数日~2週間程度の実習を行うことがあります。応募書類や面接ではつかみきれない本人の特性や仕事ぶりを、実際に業務を行ってもらい確認することが目的です。実習は企業側だけでなく応募する側にとってもメリットは大きく、書類や面接で自分をアピールするのが苦手でも、実習で成果を出すことができれば企業への大きなPRになります。企業と応募者のマッチングを地道に行ってきた成果が出たのはスタッフとしてうれしい限りです。今月19日にはKaien主催の合同面接会も開催しますので、さらに今年度の内定者を増やしていければと思います。
Kaienの訓練修了→就職→離職→再度訓練利用するケースも
12月の就職者を確認していて、Kaienの就労移行支援の利用が2回目の方が複数就職されていたことに気づきました。訓練を経て就職された方が何らかの事情で離職することになり、再びKaienの訓練を利用されるケースは多くはありません。が、一定程度いらっしゃいるのは確かです。
離職の理由は様々です。例えば勤務していた事業所が閉鎖になるといった会社都合のケースもあります。また障害者枠で入社後に思ったより仕事ができると企業が感じ、もっと業務ができるのではと負荷を増やしてみたら本人が対応しきれなくなってしまったケースや、一般枠での就労にチャレンジしたが自分の工夫や努力だけで業務上のコミュニケーションなどの困難さを乗り越えることができなかった等のケースがあります。
離職時のフォローから再就職まで支援します
もし離職も視野に入れないといけないような状況になった時は、企業とご本人が希望される場合は当社スタッフが職場に伺い、現在起こっている問題を整理したり、継続して就労するための方策(業務アサインの変更、部署の配置替えなど)がないか確認をします。どうしても他に打つ手がなく離職が決定した場合は、ご本人の意向を伺いながら離職後の過ごし方についてご相談をお受けします。
再就職に向けて動きたいという場合は、再度就労移行支援を利用することをお勧めしています。事業所閉鎖など対処しようがない場合は別ですが、働く中で業務で成果がなかなか出せなかったり、周囲とうまくコミュニケーションできずつらい思いをしているような場合は、自身の特性を企業に伝えきれておらず、ミスマッチになってしまっている場合が多いです。これは最初の訓練ではご本人が気づききれていなかった特性があったり、気づいていて自分の工夫で何とかなると思いチャレンジしたけれど、結果的には自分ではカバーしきれなかったことなどが背景にあります。
離職の経緯を振り返り、どういう場面で困り感が出やすいか、どんな配慮があれば働きやすいか新たな気づきを得て、選考の際にどう自分のことを伝えていくか練り上げていくには、やはり職業訓練を受けながら就活支援を受けられる就労移行支援を利用していただくのが効果的だと考えています。
発達障害のある人の職業人生に寄り添う支援に
現在就活中の発達障害のある方にお伝えしておきたいのは、もちろん一度で自分にフィットする職場に出会えればラッキーですが、万が一就職先でうまく働くことができなかったとしても、離職して再度就職活動するという選択肢もあるので、安心して就労にチャレンジしていただきたいということです。特に就労経験のない方は実務からたくさんのことが学べるはずですし、障害者雇用の現状からすると数年後に離職やキャリアチェンジのために転職をするのは十分可能な状況ではないかと思います。1回の就職だけでなく、発達障害のある人の職業人生に寄り添い、お一人おひとりが充実して働き続けることができるように、必要なタイミングに支援を行えるようにしたいと思います。
関連ページ
- 就労移行支援 発達障害の人に特化した職業訓練・就活支援・職業紹介・定着支援
- ガクプロ 発達障害(含・疑い)のある大学生・専門学校生向けの就活サークル
- TEENS 発達障害のある小中高生向け 放課後等デイサービス 学習支援とお仕事体験
- 当社の採用情報
*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます