内定者数は落ち込んでいるか? コロナ時代の就活 発達・グレーゾーンの学生編

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結論からいうと落ち込んでいます…。

そもそも「例年」を振り返る

50%の内定獲得は高いか低いか? 発達障害のある大学生の 「2016 就活戦線」

まずは2016年のデータ。4年前(2016年)のスタッフブログから。お伝えしたい部分を抜粋します。

 まず(3月末の段階で)2年前はおよそ50%、去年は40%だった内定率は、今年は12月の段階ですでに42%まで高まっていました。もちろん早ければよいだけではなく、業種や職種・給与などへのご本人の納得感が大事ですが、1年前に下がった内定率を上げるというガクプロスタッフの共通した想いが数字に表れているのかと思っています。ちなみに、ガクプロにこの数か月に入った人も含めた数字が42%。半年以上通っている層に限ると、56%となっています。この50%程度という数字は高いか低いかは意見が分かれるところでしょう。発達障害の学生の支援をする大学の関係者に聞くと目をぱちくりして「それは高いですね」と驚かれる数字なのですが、親御さんからすると「100%じゃないのですか?」となります。(過去ブログ記事から)

つまり、発達障害やグレーゾーンの学生は、相当数、頑張っても卒業までに就職が難しいということになります。これはマイナスの意味だけではなく、そもそも在学中は就活と単位と卒論の3重の同時並行が苦手なので就活をしない人もいますし、在学中は一般雇用で納得いくまで就活をしてその後(卒後も受かりやすさが変わらない、むしろ上がることが多い)障害者雇用に切り替えるといった戦略を立てている人もいますので、その点は考慮していただきたいと思います。

ちなみにガクプロというのは当社の発達障害・グレーゾーンの学生向けの就活サークルです。

発達障害・グレーゾーンの学生向け

昨年度(2020年卒)も変わらず

また、JASSO(日本学生支援機構)の専門テーマ別セミナーに、今月先のブログを執筆した当社スタッフが御呼ばれして、『発達障害学生に対する民間企業の取り組み ~自己理解・職業訓練・就職活動~』を発表した資料の一部もご紹介します。

これは今年(2020年)3月のデータです。やはり半分ぐらいが就労移行生活訓練に卒後通った後に就職を目指しているのがわかります。

ではCOVID-19の影響をもろに受けた2021年卒の状況はどうなのでしょうか?

就労移行支援

自立訓練(生活訓練)サービスについて

 

影響を受ける2021年卒

今のところ内定者は26人。2021卒は現状で約100人なので、25%ほどしか内定していないことになります。上で分析した例年(12月時点で4割、3月時点で5割)と比べると弱含んでいますね。

もちろんガクプロは「習い事」のような形で日々通所するわけではないため、現段階では就活のすべてを把握していません。ですので補足していない、Kaienからすると隠れ内定者も多いと思われます。

またこれから障害者雇用が活況になる時期です。障害者雇用は前回の「コロナ時代の就労移行 内定者数は落ち込んだのか?」でも見た通りそれほど落ち込みがないため、今後ガクプロ生が内定を勝ち取るチャンスは大きいと思います。

とはいえ、年末までに5割程度の内定率まで高まるかというと残念ながら怪しい…。ガクプロを利用する方も最終学年は今後も増えるので、110人という母数も増えるでしょうから…厳しいなと思っています。

コロナ時代の就労移行 内定者数は落ち込んだのか?

理由は複数あるが…

就活に重要な時期だった4・5月。他の学生は緊急事態宣言下でもネットで就活を動かせていたが、ガクプロ生は難しかった。(あるいは我々の支援が足りなかった…)

またリポートが多く、学業が思いのほか大変で、出席は足りて単位は取れるが、リポートが増えたことで学業の時間が多くなり就活が進みづらい…。

など発達障害やグレーゾーンの学生が今年だけ苦戦している理由はありそうですが、今頃考えてもこれからの就活支援の対策にならないものばかりなので、これからしっかり動かしていこうと思います。

文責: 鈴木慶太 ㈱Kaien代表取締役
長男の診断を機に発達障害に特化した就労支援企業Kaienを2009年に起業。放課後等デイサービス TEENS大学生向けの就活サークル ガクプロ就労移行支援 Kaien の立ち上げを通じて、これまで1,000人以上の発達障害の人たちの就職支援に現場で携わる。日本精神神経学会・日本LD学会等への登壇や『月刊精神科』、『臨床心理学』、『労働の科学』等の専門誌への寄稿多数。文科省の第1・2回障害のある学生の修学支援に関する検討会委員。著書に『親子で理解する発達障害 進学・就労準備のススメ』(河出書房新社)、『発達障害の子のためのハローワーク』(合同出版)、『知ってラクになる! 発達障害の悩みにこたえる本』(大和書房)。東京大学経済学部卒・ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院修了(MBA)。星槎大学共生科学部 特任教授 。 代表メッセージ ・ メディア掲載歴