3日30時間 スタンフォード大学の「ニューロダイバーシティサミット2021」を”完走”

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昼夜逆転した生活が3日間。といっても仕事もあるので昼も寝られなかったですが、スタンフォード大学のニューロダイバーシティサミット2021を完走しました!!正確に言うと何度も寝落ちていて、あとで復習するところもいくつかあるのですが、寝てもすぐに目が覚めるほど、想像以上にとても楽しかったです。(数日前に投稿した2つの記事もご覧ください。)

スタンフォード大学でニューロダイバーシティサミットが開催中

日本はアメリカよりも発達障害フレンドリー?

日本は負けていないし、Kaienも負けていない

3日間通じた感想は、「日本は案外凄い、そしてKaienもびっくりするほど凄いのでは」ということです。

例えば、2日目に出た「Walgreens」という会社。日本で言うとマツモトキヨシみたいなものでしょうか?そこは商品の倉庫(ディストリビューションセンター)で1000人ほどの障害者雇用をしていて、世界一だ!!的な発表をされていましたが、実はユニクロ・GUのほうが雇用数が多いのではと思います。しかもWalgreensは全米7ヶ所だけですが、ユニクロは全ての店舗での雇用を目標としているのでより柔軟に働ける可能性があると思います。

もちろん競争しているわけではないですし、Walgreensの大事にしているポイントとか、障害者雇用をした上での学びとかを聞いていると、既視感がありまくりで、とても似た結論にたどり着くなぁと思うわけですが、ユニクロの例はもちろん、日本では良品計画さんとか、いま当社で動き始めている薬局のところとか、せっかく世界的に進んだことをしているのにあまり知られないのは残念なことです。

スタンフォード大学の次回のサミットに出させてもらうか、自分たちで日本から外に発信するのも面白いのではないかと思いました。

他にも、特に当社目線で言うと…

  • スタンフォード大学では大学生の支援を生活から学業、就職までしていますよという点も、日本では例えば筑波大学の方法と似ていて、遜色ないなと思いましたし、そもそもガクプロのような大学外の業者がサポートする仕組みはアメリカにはなさそうですし、
  • 「凄いでしょ、VRでSSTが出来るよ」(Floreoというサービス)という点も、日本でもKaienがジョリーグッドさんとemouを2019年から開発していますし、
  • オンラインで職業訓練ができるという仕組み(Daivergentというサービス)も、まさに当社が来月からミッテルというサービスを立ち上げる予定ですし、
  • スタンフォード大学で行っている「Strengths Based Model」(つまり病理ではなく強みとしてとらえた支援方法)も、Enabliing Excellenceという当社のミッションと同じで強みを活かす方法と全く重なって、

スタンフォード大学や米国の一流どころと同期していることに非常に勇気づけられました。

つまり方向性は間違っていないし、もっと加速させると日本だけではなく世界でも使ってもらえるかもしれないということですね。(とはいえ、元祖争いをいくら頑張ってもKaien式というよりも「スタンフォード流のStrengths Based Model」と伝えたほうが世間の通りは圧倒的に良いでしょうから、もう少しこのモデルを研究して、当社も準拠した形で運営・広報をしていくことになりそうです。)

スタンフォード大学/米国は流石だと思ったこと

一方で、少なくとも鈴木はまだ理解が追いつていないのがまず2Eの支援。

https://www.kaien-lab.com/contribution-miyao/%E3%80%90%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA%E3%83%BB%E3%82%AE%E3%83%95%E3%83%86%E3%83%83%E3%83%89%E3%80%91%EF%BC%92e%E3%81%AE%E5%AD%90%E4%BE%9B%E3%81%9F%E3%81%A1/

当社のアドバイザーの宮尾先生が経済産業省で発表しているほか、今年度は文科省でも2Eについての専門家会議が行われたと聞いていますので、日本もようやく始まったところですが、アメリカの場合は定義も広く、実践も圧倒的にありそうです。

定義が案外重要そうで

  • ニューロダイバーシティ(つまり発達障害*)があるので、得意なところが見えづらくて、本来の力が出し切れないタイプと
  • 得意なところがあまりにも目立つので、ニューロダイバーシティ(つまり発達障害)の弱みが見えづらく支援が受けづらくなって、結局良いところもつぶれるタイプ

というような感じで米国では使われている言葉のようです。

特に後者(つまり得意によって苦手が隠されていて、それによって結局大成しない人たち)の部分は日本はかなりいそうですよね。起業家や芸術家、天才肌の人たちをどうするかを真剣に考えないと、日本の経済大国としての復活は難しいかもしれません。経産省が注目しているのもそうした点でしょう。スタンフォード大学のサミットの動画ももう一度入念に見返したいと思います。

そしてPCORIですね。これは凄い…。

PCORIは「患者中心のアウトカム研究所」という意味のアメリカの非営利機関。政府からの資金で運営されていて、決してニューロダイバーシティだけに助成している団体ではなく、医療福祉のソリューション、難しい言葉で言うと社会実装ですか、にお金を付けている団体です。「研究でエビデンス化されてから実際の臨床の場で実用されるまで平均17年もかかる」というギャップ/無駄を大きく埋めるベストプラクティスを集めよう、それで社会を前進させようという予算で、ニューロダイバーシティ関係のプロジェクトに幾つも助成されているとのことです。

日本のように、福祉機関や医療機関だけを作って、そこで何をしているかはチェックしきれず、素人レベルの支援が横行しちゃっている国(と鈴木は思っています)とは違う。米国ではたしかに支援組織をボコボコ作るということはしないし、そういう器用なことはできない。ある意味自己責任の国ではあるけれども、良い事例は模倣しやすいように予算をしっかりつけて、あとはみんな勝手に真似てね、みたいにするのは効率的で効果的で本当に賢い。我が国の政治家もこういうことを目指してほしいと思った次第です。夜中3時ぐらいの講演だったと思いますが、日米の国レベルのお金の使い方のレベル差に、感動というか情けないというか、涙が出そうになりました。

実は私も筑波大学の佐々木銀河先生とRISTEXという社会実装の助成金を使って研究をしている最中なのですけれども、PCORIと比べてだいぶ予算総額も本気度も違うようで、こういうところをしっかり日本も頑張りたいなと強く感じました。

参加5000人中85番

今回はどれだけセミナーに積極的に参加したかというのが可視化されるHubiloにはまり、最終順位は5000人中の85位でした。まあそこそこいろいろなところに顔を出して、世界の皆さんとやり取りをして、コロナ禍でも(あるいはコロナ禍だからこそ)のつながりを楽しめました。このエネルギーをしっかり事業・経営につなげていきたいと思います。

*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます

文責: 鈴木慶太 ㈱Kaien代表取締役
長男の診断を機に発達障害に特化した就労支援企業Kaienを2009年に起業。放課後等デイサービス「TEENS」
大学生向けの就活サークル「ガクプロ」就労移行支援および自立訓練(生活訓練)「Kaien」 の立ち上げを通じて、これまで2,000人以上の発達障害の人たちの就職支援に現場で携わる。日本精神神経学会・日本LD学会等への登壇や『月刊精神科』、『臨床心理学』、『労働の科学』等の専門誌への寄稿多数。文科省の第1・2回障害のある学生の修学支援に関する検討会委員。著書に『親子で理解する発達障害 進学・就労準備のススメ』(河出書房新社)、『発達障害の子のためのハローワーク』(合同出版)、『知ってラクになる! 発達障害の悩みにこたえる本』(大和書房)。東京大学経済学部卒・ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院修了(MBA)。星槎大学共生科学部 特任教授 。 代表メッセージ ・ メディア掲載歴

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