「発達障害者の雇用に理解がある企業ってありますか?」


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Kaienスタッフの鈴木です。(秋葉原→新宿に異動しました。)
今回は求人応募時の企業選定の仕方、特に発達障害*に理解がある企業を見つけるにはどうしたらいいかをお話ししていきます。

志望企業選定はMust条件とWant条件を明確にすると絞り込みやすい

志望企業を選定するには、自分が働く際に重視するポイントを整理し、優先順位をつけることが鍵になります。業界・職種・雇用形態・給与・福利厚生・通勤時間などポイントはたくさんあるため、全て揃っている求人を探そうとしても難しく、かといって条件を広げすぎてしまうと数が多すぎてどの求人を選んでいいか分からなくなってしまいます。必ず満たしていないと働くのは難しいMust条件(例:通勤時間1時間30分以内)と、これを満たせば働きやすいというWant条件(例:通勤時間1時間以内)を区別するとさらに求人の絞込がしやすくなります。

求人票だけでは「発達障害に対して理解がある」企業かどうかわからない

キャリアカウンセリングで訓練生の企業選定をお手伝いしていますが、訓練生から「発達障害に対して理解がある」企業に入りたいという声をよく伺います。しかし求人票を見ているだけではどの企業が発達障害に理解があるかほとんどの場合わかりません。とにかく応募して書類通過し、面接にこぎつけたら、これまでの発達障害者の雇用実績や行っている配慮について直接面接官に聞くということもできますが、時間と労力があまりにもかかってしまいます。

当社経由の求人であれば発達障害者の雇用を積極的に検討しているのは確実

当社では企業から求人を頂いて職業訓練やガクプロ・人材紹介サービス利用者に対して紹介をしています。これらの企業は当社を通して発達障害者を積極的に採用しようとしています。ハローワークや他の人材サービスでは発達障害についてあまりよく知らなかったり、採用の対象としていない企業も中にはありますが、当社経由の求人であればそのようなことはありません。「発達障害に理解のある」企業を希望される方は、当社経由の求人を選択肢の1つとして追加いただくのが近道です。

発達障害のある方が働きやすくなる職場での配慮は人によって異なることがある

「発達障害のことを知っていて前向きに雇用しようとしている」というのが「発達障害に理解のある」企業のMust条件とすると、「発達障害のある社員に特性に応じて配慮をしている」のがWant条件と言えます。ただし、発達障害の特性というのは個々人ごとに業務や生活での現れ方がバリエーションに富んでおり、また特にコミュニケーションが苦手という特性は、どのような配慮をすればご本人に働いてもらいやすくなるのかが(時には本人にも)わかりづらいということがあります。したがって、発達障害のあるAさんが働きやすくなるために必要な配慮と、同じく発達障害のあるBさんが働きやすくなるために必要な配慮は違うことがあり、発達障害のある方への就労支援が難しいと思われやすい面でもあります。

当社経由の求人で修了生がどんな配慮を受けて働いているかお伝えすることもできます

志望企業がある程度定まったら、個別にスタッフまで「この企業ではどのような配慮を行っていますか」とご質問いただければ、これまで当社経由で就労された修了生への配慮の様子をお伝えすることができます。もしくは「このような配慮(例:聴覚過敏なので耳栓を使用したい)があると働きやすいがお勧めの企業はありますか」と質問していただければ、その時に募集を行っている求人の中からいくつかピックアップしてお勧めすることもできます。

自分の特性を知ってどんな配慮があれば働きやすいか説明できると企業も配慮しやすい

その際に重要なのは、「自分はどういう配慮があれば働きやすいのか」を理解し、当社スタッフへの相談時や企業への応募時に相手に伝わるように説明できることです。当社では全ての利用者の方に障害者枠での応募時には書類に「配慮事項」を明記するようお伝えしています。自分にはどんな特性があるか、それは職場ではどのような形で出て来やすいかを把握し、また自分が工夫することで対処できる範囲はどのくらいかを明確にすることで、企業にお願いしたい配慮がどういうものか自然とはっきりしてきます。企業としても必要な配慮を明確に伝えてもらえると、何をすればよいかがわかりやすく検討しやすいはずです。また自己理解ができていて、自分でも弱みをカバーするために前向きに工夫している、という自己アピールも結果的に一緒にできてしまうのもポイントです。

実習で「働きやすいか」「働いてもらえそうか」応募者・企業それぞれが確認できる

自分にはどのような配慮があれば働きやすいのかまだよくわからない場合には、企業実習に参加されることをお勧めします。発達障害のことを現時点で企業が知っているかどうかよりも、実際の業務を体験していただき、働きやすいか・入社して働いていただけそうか確認することが、ご本人にとっても企業にとってもなによりも重要な判断基準となります。また選考のあるなしにかかわらず、実習を受けることでどのような環境で働くのが自分に合っているのかを体感的に理解することができます。当社では独自の企業実習先開拓を行っており、実習を受けていたただく機会を今後も増やしていく予定です。

就活で困ったときにはまず相談

企業選定のためのMust条件・Want条件の整理や障害特性・配慮事項の説明も含め、とにかく就活で困ったら躊躇せずにスタッフに相談いただくようにお伝えしています。ご本人が活き活きと働くことができる就業先に出会えるよう、Kaienスタッフを「使い倒して」いただきたいと思っています。

*発達障害は現在、DSM-5では神経発達症、ICD-11では神経発達症群と言われます