「働くことに向いてない」と思っているあなたへ ~就労・就活での「現在地」を示すポジティブフィードバック~


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Kaien秋葉原スタッフの鈴木です。

当社職業訓練にはこれまでに400名以上の方にご利用頂いています。年齢層や職歴などは様々ですが、利用者の方に共通しているのが「就労・就活で困り感を持っている」ことです。

【就労時の困り感の例】

  • 口頭での業務指示の際、聞いているうちに初めに聞いたことを忘れてしまう。手順がわからないまま業務を始め、自分判断で作業を進めてしまい、結果としてミスになってしまう。
  • 上司や同僚への声の掛け方が失礼だったり違和感を感じさせている。直そうとしているが何が不適切で何が適切なのかが自分ではわからずどうしたらよいかわからない。
  • 業務でのアウトプットは問題ないが、日々の業務を行うだけでも人一倍神経を使っていて、とても疲れてしまう。イレギュラーで少し業務が増えただけでも対応できる許容量を超えてしまい、出勤できない程体調が悪くなってしまう。
【就活時の困り感の例】
  • 手当たり次第自分で求人に応募しているがなかなか内定を取ることができない。就活方針を検討したほうが良さそうだが、どう方針を立てたらいいかわからない。
  • 職歴が浅く、応募書類や面接でどう自己PRして良いかわからない。人より優れた点があるわけでもなく話せることがないと思っている。
  • 職歴がなく初めての就活で、そもそもどういう流れで就活をすれば良いかわからない。いずれは働かなければいけないとは思っているが就活スタートを躊躇している。
こういった困り感を、月に2回、各30分間のキャリアカウンセリングで担当スタッフが話を伺い、どういうアクションをすればその困り感を解消していけるのか、進むべき方向と進み方を一緒に確認しています。スタッフは「カーナビのように、ご本人が目指す目的地とそこにたどり着くための道順を示す」ようにしています。
 
しかし、長期間上記のような困り感を持ち続けていると、どうしても自己効力感が低下してしまい、前向きに行動を変化させていこうという気持ちになりづらいことがあるようです。ある訓練生がキャリアカウンセリングの際に「自分は働くことに向いていないんじゃないか」とおっしゃったことがあり、とても印象に残っています。

 

このようなことを踏まえ、訓練生にお伝えしようと心がけているのが、「これまでにこういうことができている」という実際のエピソードです。自己効力感が低下するパターンの1つとして、目標の達成度に対する評価の基準が厳しく、高い目標を一気に達成できないとそれ以外の成果は「できている」うちに入らないと考えてしまうことがあるようです。そこで、訓練の中で小さくても良いので達成できたことはポジティブフィードバックとして端的にお伝えしています。

【訓練での「できている」エピソード⇒次の課題例】
  • 口頭でやり取りする時にメモを取る習慣がつきましたね。(⇒今後はメモを箇条書きにするなど後で整理しやすいような書き方を工夫してみてください。)
  • 入室してまず最初に挨拶できるようになりましたね。(⇒挨拶する人の方に身体を向けて挨拶できるともっといいですよ。)
  • 自分から小休憩を取ることを相談できましたね。(⇒体調を安定させるため、休息がしっかり取れるようにご自宅での時間の過ごし方を見なおしてみましょう。)
【就活での「できている」エピソード⇒次の課題例】
  • 上手く就活が進まない時に立ち止まり方針をスタッフに相談頂いたこと、良かったと思います。(=>今後は就活の進捗状況を定期的にスタッフに報告いただき、どうアクションしていくか相談していきましょう。)
  • 先日の◯◯業務では確実に成果を出していたと講師から聞きました。(⇒自己PRでは◯◯という訓練で確実に成果が出せたことを具体的に伝えてみるのはどうでしょうか?)
  • この自身の強みについてのエピソードは聞いていて納得感があります。(⇒どう就活をスタートしていけばいいかわからないとのことでしたが、まずはこれを元に履歴書の自己PRを書いてみましょう。)
矢印で追記している通り、まず今自分ができていることを把握し認めると、次は何が課題となるのか、はっきりすることが多いです。また課題が具体的にスモールステップになるため、動き出しやすくなるのではと思います。カーナビの例えで言うと、「今ご本人がどこにいるのか地図を出して現在地を示し、まず最初にどの道をどちらの方向に進めば目的地に近づくかを伝え」ています。
 
訓練中にいろいろ思い悩んだり落ち込んだりされていた方々が、現在活き活きと職場で働いていらっしゃる話をいくつも伺っています。働く上での弱みは就労後も持ち続けているのだとは思いますが、それでも前向きに働いていらっしゃるのは、「できることとできないことを整理して理解し」「できることを1つずつ増やしていく」ことを訓練で学ばれたからなのではと思っています。つまり、「働く上で弱みがある」ことは、「働くことに向いてない」こととイコールではないのだと考えています。